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「もちろん大丈夫よ。さっさと言ってみて」
こいつがこうするなんて、変だね。何でも遠慮なく尋ねると思ったのに。
【それだけデリケートなものかもしれないわよ】
ああ……そういう可能性もあるかもしれないね。
「じゃあ、好意を受け入れるぞ。ケインから聞いたんだが、何か未来のことにヒントとかあるんだって?」
……それか。デリケートなものだね。
ジェフィスは初耳のように目を丸くし、私の後ろでロベルとトリアも私を注視するのが感じられた。
そういえば、ロベルとトリアもその問題のことは知らない。話したこともないしヒントをこぼしたこともないから、当然なら当然というか。まさか寂しがらないわよね?
「ヒント、ね。何の話を聞いたの?」
「ボクも詳しいことは知らないぞ。最初からケインの奴も詳しいことは聞けなかったと言ってたな。ボクが聞いたのは、ふむ……君がこれから何か大変なことが起こると言ったことと、それを防ぐために四大公爵家の力を集めようとしている? 大体そんな内容だったぞ」
あの口軽い王子め!!
いや、別に言ってはいけないわけではないけど。ただ雰囲気に乗ってケイン王子に悪口を言ってみたかった。そもそもジェリアにこぼすことを予想して話していたのだから、あえて秘密を守ってほしいと頼まなかったし。ケイン王子の立場では悔しいだろうけどね。
「そういう話はしたわね。で? 虚しすぎて信じられない?」
「バカなこと言うな。君がそんなことを冗談で言う奴ではないということくらいは知っているぞ。まぁ、ボクを飛ばしてケインに話したのは寂しいがな。ただもう少し詳しい話を聞きたいだけだ。力を貸す立場でも、どうやって貸せばいいのかを知っておくのが役に立つからな」
「一理あるわね」
まぁ、この程度なら予想した範囲内だ。そんな話を聞くと当然気になるだろうし、信じてくれるならそれはそれでどう行動するか指針が必要だから。
ただ、こんなに早くも話したということだけは予想外だった。それに、多すぎのことを話すことはできない。なら何を話せばいいのかしら。
私に集中した視線を感じながら、私はゆっくりと口を開いた。
「詳しいことは言えないわ。言いたくないんじゃなくて、私としても不確実で曖昧なことが多いのよ。それでもできる限り言えることだけを言えば……これから大きなことが起こるわよ」
「良くないことだな? どこで?」
「国全体が巻き込まれるの。それでもあえて詳しく言えばアカデミーで先に、そしてそれとは別にいろんなことがあちこちで起こるわよ。騎士団や公爵家の勢力ぐらいはあってこそ対処ができるの」
実際には騎士団とか公爵家の勢力があっても、別々に動けば耐えられないけどね。直ちにゲームではどんなルートであれバルメリア王国が一度滅亡するのは同じだった。
結局再建することはできるけれど、一度滅亡したということはすなわち多くの人々が死んで多くのものが破壊されたという意味だ。正直言って、そうなれば国を再建しても失ったものは戻ってこない。そもそもそのような状況が来ないようにするのが最善だろう。
【模範解答がないというのが一番の問題なんだけどね】
[そりゃそうよね。私が準備するのは結局ゲームの情報を土台に効果があると〝推定〟することだけだから]
それでもどのように失敗したかは知っているので、それを反面教師にすれば良いだろう。
「ちなみに、今回の視察ルート周辺に安息領に関連のある場所があるはず。その辺を拠点にして何かをやるのもあったの。正確な位置は私も知らないけど……恐らくケイン殿下も何か情報を得てそっちをターゲットにしたと思うわよ」
実際には正確な位置も知っているけれど、そこまで言ってしまえば正確度が高すぎるから自制しなければならないだろう。 今もゼリア以外の人々の目には、大きくても小さくても疑問が浮かんでいた。
ちなみに私が言ったのは、さっきまで会話のテーマだったあの村のアジトだ。たとえ長く放置されたものの、ゲームのストーリー後半にそのアジトを利用して何か企む部分があった。厳密に言えばアジト自体がそんなに重要なことではなかったけれど、どうせこうなったついでに今壊しておいた方がいいだろう。
それはそうと、みんなが疑問を見せる渦中にもジェリアだけは平気であることが少し気にかかった。でもそれを尋ねたりする前に、ジェリアが先に口を開いた。
「そんな情報をどうやって得たのかは問わないぞ。多分予測できる魔力を組み合わせたりしたんだろう。その代わり、個人的に気になることを一つ聞きたいのだが」
その瞬間、私は直感した。これこそジェリアが取り出したかった本論だと。
ここまで遠回しに聞くくらいなら、すごく重要だったり、それとも気まずいことだろう。突然変なことを言うようではないけれど、ジェリアは時々安心できない面がある。精神的にも物理的にも。
ジェリアの質問は少し予想外だった。
「その未来のこと、ジェフィスと何か関係があるのか?」
「はい?」
突然名前が出たジェフィスがジェリアを振り返った。
……どうやらケイン王子がジェフィスのことは言ってなかったようだね。他のことは全部話したのに、なぜそれは外したのかはわからないけど、結果的に分かってないのを見るととにかくしてないんだろうね。
しかし逆に、話をしなかったとすれば、なぜそのような考えに到達したのかが少し疑問だ。
「なんでそう思ったの?」
「ジェフィスが一緒に修練したいと言った時、君が言った言葉が気になったぞ」
「うん? 私が何て言ってたの?」
「覚えてないのか? ジェフィスに強くならないといけないと言っただろ」
〝大丈夫です。みんなで強くなる方が人を守るにもいいでしょ。そして一緒にいれば十分強くなれます。強くならないといけませんし〟
……あ。
そういえばそうだった。あまり意識して言ったわけではないので、早く思い出せなかった。
つまりそうよね。〝強くならないといけない〟という発言に違和感を感じ、それが今回のこととつながって〝今後貴方と関連したことが起きるから強くならないといけない〟という意味かもしれないと思ったのだろう。
まぁ、別に言えないことはない。むしろケイン王子がその部分を除いて話をしたことに驚いたほどだから。
「あるかないかさえ言うなら、あるわよ。命に関わることが」
「命……か」
「それは一体……」
ジェリアは目が鋭くなり、ジェフィスは突拍子もない話に当惑した。まぁ、それもそうはず。突然自分の命に関わる問題が起こるという話を聞くと、慌てないのがおかしい。
……ここではもう一つ投げておこうか。
「でも正直、そのことが本当に起こるかは定かではないわよ」
「どういうことだ?」
「私が一年生の時にあったこと、覚えてるの?」
「あの一年間あったことは多いんだな。だが、今あえて話すというのは……序盤にあった安息領事件のことか?」
「そう。実はあの時探した邪毒陣が大きな事件の原因になるかもしれなかったの」
ジェリアはそこまで聞いただけですぐに脈絡を理解した。
「その邪毒陣で何らかの事件が起こるはずで、その事件がジェフィスを危険にさらす……ってことか? それをなくしたから事件が起きないのか?」
「だいたい合っているけど、起こらないというのも確信ではないわよ。何かが起こる可能性はあるけれど、その原因がその時消した邪毒陣だという確証がないのよ。私も特に本当に未来を予知したりしたわけではないから、すべてが確実ではないの」
実際、ゲームでも事件の原因が邪毒陣だということは、あるキャラの推測に過ぎなかった。情況上、それ以外の可能性は公開されなかったけれど、だからといって明確な証拠があるわけではなかったし。
さらに、首謀者であるピエリがまだアカデミーの中にいる以上、別の方法で事件を起こすこともありうる。一応邪毒陣はまた設置しないか監視していて、他にもできる限り行跡を追おうとしてはいるけれど、すべてを完璧に見ているのは不可能だから。
一方、会話を横で聞いていたジェフィスは、かなり当惑した様子だった。
「え……で、僕に何が起こるということですか?」
「そういう可能性もあるということですの」
正直、もっと混乱すると思った。でもジェフィスの反応は思ったより弱かった。その姿にむしろ私の方がもっと気になってしまった。
「全部信じるんですの?」
「まぁ……正直、全部信じるにはちょっと混乱しますが、少なくとも空しいことを冗談で言う人ではないと思いますからね。事実なら言うまでもないし、たとえ嘘だとしてもそんな嘘をついた意味があるでしょう。姉君の友達だから悪い意図で僕を騙そうとするのではないと信じています」
こいつ、詐欺に弱いタイプだね。……そう思ったけれど、口に出しては問題になるからやめた。
【あちらが自分で信じてくれるからいいじゃない。後で本当に詐欺にあいそうなら、貴方が守ってくれればいいのよ】
[私の目の前で起こることならともかく、そうでなきゃ私もいちいち保護してあげることはできないわよ]
まぁ、今はイシリンの言う通りに仕事が楽になったことをいいと思うことにしようか。
そう思いながら、私は集まったついでに視察のことをもっと話し合うことにした。




