仲間だった敵
まぁ、そっちの方ならあたしこそ言いたいことがたくさんあるけどね。
長い年月の間、世界の秩序維持という名分の裏で真の意味を忘れてしまった眼差し。かつての夢も情熱も理想も、今の彼らは覚えているのかしら。
息を吸い込み、手を上げた。指先から魔力が光の形となって流れ出た。
あたしの秩序、あたしのやり方で再調整される戦場の流れ。この世のすべての光を力の源泉にして手足とする神としての権能で、戦場全体を支配する旋律を敷き詰める。
法則を支配する『境界』の権能と戦況を掌握する『幻惑』と『鍛冶』の軍勢に一人で対抗しながら、ふとアルカに初めて会った日を思い出した。
数億年に及ぶ時を経てきた疲弊した魂。それでも姉を救おうとする意志だけは折れなかったその眼差し。
彼女を初めて見たとき感じたのは単なる憐れみではなかった。あたし自身さえ半ば忘れていた、かつての悔恨と目標に対する今更の回想だった。
あたしが救いたかったのに、結局救いきれなかったイシリン。それが原因で破綻してしまった一人の少女と、彼女を救おうとしてさらに壊れてしまった少女。その二人があたしの子孫だってことを置いておいても気にならないはずがない。
そんな彼女たちのためにも崩れられないという意志を込めて手を振るった。あたしの指揮に従って光の筋が動き、攻撃を開始した。
『境界』の結界が揺らいだ。彼の結界が強要している最大の法則はあたしの権能、つまり光を力とする能力そのものを抑制すること。それにあたしの力が正面から否定して対抗した。しかしどちらか一方が一方的に相手を圧倒することはできず、結局両側とも弱まった。
『幻惑』が複製したあたしの虚像はあたしの動作をそのまま真似るけど、あたしの権能と力を完全に模倣することはできない。それらにできるのはあたしが振るう光の鞭に触れて散るだけだった。
けれど『境界』の力に対抗するために消耗した光の権能をさらに消耗させるには十分だった。
その後を『鍛冶』の兵器たちが続いた。
剣や槍のような兵器たちが精密で無駄のない軌道で動いた。敵を撃殺するためだけに最適化されたその動きの後ろで、銃や弓や大砲のようなものたちが射撃を浴びせた。
狂って暴れるように乱立しながらも、すべての兵器がお互いに干渉せず、敵の動きを抑制したり直接攻撃したりすることにのみ機能していた。
まさに芸術的とも言える調整だったけれど、そこにわずかな攪乱が混じるだけで崩れる調和でもあった。あたしが奏でる光の流れがあらゆる兵器の軌道を乱し、お互いにぶつかって壊れると隙間がさらに広がった。
でも――これはまだ前哨戦に過ぎない。本格的なものはまだ取り出してもいない。あいつらも、あたしも。
『境界』の結界がさらに堅固になり、『幻惑』の幻想がさらに多彩になり、『鍛冶』の兵器は数が減った代わりにさらに強く圧縮された力を放った。
そして何よりも、遠くから力を振るうだけだったやつらが一歩前に踏み出した。
かつて五人の勇者と呼ばれたあたしたちは一人も例外なく肉弾突撃が得意だったバカたち。つまり力を手に握って直接突進することこそが私たちの真価だ。
あたしもまた剣を抜き、指先で指揮していた光の流れを刃先に集約した。
刃先でさらに明るく輝く光の権能はこの空間を照らすと同時に、内面の闇も照らし出した。
邪毒神だったイシリンを討伐した後、彼女の魂を結局救うことができなかった。でも彼女をあたしの手で救うという夢に執着するあまり彼女を世の中に残してしまい、それが禍根となってテリアとアルカの人生が歪んでしまった。
あたしの無能と我執が作り出した悲劇。しかしあたしが正そうとしているのは、それがあたしの過ちだからだけではない。
もしかしたら変えられたかもしれず、救えたかもしれなかった命と人生。しかし神として個人への介入は許されなかった。それだけなら悲しむにしても反発はしなかっただろう。しかしこの世界を蝕むバリジタへの対応さえ、あいつが世界の均衡と秩序を致命的に壊さないという理由で禁止された。
そんな癖にアルカがテリアを救おうとする心を積極的に踏みにじるのが正しいことなのか? 彼女の目標はたった一人の少女を救うことだけなのに?
根拠と論理は実はたくさんある。でもそのうち半分以上は今この瞬間くどくどと論じる意味のないものに過ぎない。だからこそあたしは五大神としての義務と束縛に背を向けたのだ。
思わず魔力に怒りを込めて発散したそのとき、『鍛冶』が口を開いた。
【今貴女は何のために行動なさっているのです? 貴女が追求なさっていた理想の道からお外れになったようにしか拝見できません】
彼女の声には疑問だけでなく、微かな動揺が混じっていた。
あたしは彼女の胸の内を知りながらも、いや知っているからこそ冷たく吐き捨てた。
【あなたこそよ。あたしたちが望んでいたものが何で、あたしたちにとって何が大切なのかさえ忘れてしまったあなたたちに言うことなんてないわ】
『鍛冶』は沈黙した。しかしあたしは感じ取れた。
彼女の歩みが少し遅くなり、魔力が中心からわずかに揺らいだ。
『鍛冶』――『万兵を鍛える鍛冶の神』、リゼティネ・マスター・アルケンノヴァ。誰よりも周りのみんなを守ろうとし、人を守るための大きな構造と秩序を守ることが即ち小さなものを守れる盾だと信じていた。
しかし神になった後、彼女は忘れてしまった。自分が守ろうとしていたのが世界だったのか、あるいはその中で生きる人々だったのか。
その中の誰が泣いて、誰が生きているのか。あなたの目に映っているのか、いつから忘れてしまったのか聞きたいものよ。
【あたしたちに与えられたのは世界を守護するという役目よ。でもね、あたしたちが守ろうとしていたものは一体何だったの? たかが世界という大きな枠組みが壊れないようにするのがあたしたちの望みだったっていうの? あたしたちが何を守ろうとして立ち上がったのか、あの最初の日にあたしたちが見たものがその頭の中に残っているのかしら?】
あたしの言葉に『鍛冶』の目が揺らいだ。
この程度で揺らぐほど弱くはない。しかし決定的な瞬間にその刀先の鋭さを鈍らせるほどの躊躇いはあった。
読んでくださってありがとうございます!
面白かった! とか、これからも楽しみ! とお考えでしたら!
一個だけでもいいから、☆とブックマークをくだされば嬉しいです! 力になります!