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『境界』と『光』

 堂々と宣言する『光』の姿を、『境界』は鋭く睨みつけていた。


 魔力が衝突し空間自体が振動した。あまりにも強大で濃密なため、魔力の感覚がなくても目に見えるほど激しかった。


 ここは空間と境界の神であり最強の結界術師である『境界』が自身の領域を展開した場所。本来なら敵対する者は地面に縫い付けられたまま頭すら上げられないほど弱くなるはずだ。


 しかし相手が同じ神ならば、そんな常識なんて少しも通用しない。


【傲慢なり。汝が我らの核心であったことは否定せぬ。されど汝一人の力のみですべてを成し遂げたと錯覚しておるのではないか? 汝が我らを導く者であったがゆえに朕もまた自制しておっただけだ】


【へぇ、そう? どれだけ自制したのかあたしが直接確かめてあげようか?】


『光』は瞬時に魔力を引き上げた。彼女が優雅に腕を広げると暖かな光が四方に広がっていった。


 普段なら恩恵さえ感じるほど暖かく祝福に満ちた光。でもその中に込められた魔力はまさに神のものと言えるほど強大だった。


『境界』はこれに負けじと闇のような黒い魔力を高めた。彼の魔力はシエラのものとは違い漆黒のように深く、どこか鋭い感じがあった。


 本当の闇ではなかった。ただ空間を完全に支配した絶対的な力が、一片の光さえ漏出を許さなかっただけ。


 二つの魔力が激しく絡み合った。純白と漆黒。昼と夜。二つの対照的な力がお互いを圧倒しようと必死になる姿が壮観だった。


 けれどそれさえも前哨戦に過ぎなかった。


【よかろう。朕の境界がすでに汝の光を超越したことを証明してみせるぞ】


 言葉を終えた『境界』は黒い魔力を一点に集めると指一本を弾いた。


 その瞬間、数十筋の黒い線が空間を突き破って現れた。四方を瞬時に覆い尽くした線の群れが『光』に向かって放たれた。まるで闇の中から飛び出す暗殺者の刃のように。


 一方シエラは指一本動かさなかった。ただそこに立っているだけ。それでも『境界』の線は彼女の近くに到達した瞬間まるで切り取ったかのように途切れて消えた。


【それで? いつまで自制するつもり?】


 あからさまな挑発だったけれど、『境界』はその挑発に怒ったような顔で両手を大きく広げた。


 ――バルメリア式結界術〈分節乱立〉


 黒い線がより太くなって速く動き始めた。


 今度は単純な攻撃ではなかった。『光』の周辺空間を複数の破片に砕いて分割する空間の隔離だった。


 分割された空間の破片はそれぞれ異なる方向と速度で動き始めた。


 内部のすべてをズタズタに引き裂いてしまう空間の嵐。人間ならば、いや神でも間抜けな者なら形さえ残らず引き裂かれるだろう。


 しかし『光』は相変わらず平然としていた。


【なんと……!?】


『光』に向かって突進していた線があたかも彼女に触れるのを恐れるかのように立ち止まった。


 同じ『万魔掌握』の保持者だからこそわかった。『境界』の魔力を一つ一つ正確に捕らえ、それを力で押さえて止めていたということを。


 単純だけどかなり細密な力のコントロール。それでいて巨大で強力な力が必要だ。私も相手が格下の存在なら可能だけど、同格の神を相手にはやり遂げる自信がない絶技だった。


【そろそろ見物はこの辺にしておくわね】


『光』の手振りが虚空に無数の光の粒子を浮かべた。まるで星明かりのように美しい光景だった。


 でもそれは美しいほどより恐ろしかった。


『光』が展開した魔力の星の海が一瞬に天の川に変わった。そうとしか表現できないほど、一つ一つが神にも致命的な破壊の閃光となって降り注いだ。


 空間への干渉力を帯びた光の群れが『境界』の分割空間に向かって飛んでいった。刃よりも鋭い光が黒い線を切り裂き、神の結界術を紙切れのように引き裂いた。


 もちろん『境界』が萎縮するほどではなかった。


【そう、汝はいつも最も輝く存在であった。しかし光が強いということは目によく見えるという意味に過ぎぬ】


『境界』は左手の『大地の盾』を空高く掲げた。盾から強烈な青い光が噴き出した。


 ――『大地の盾』権能発現〈大地母神の足跡〉


 盾を中心に巨大なエネルギーが爆発するように広がっていった。


 まるで恩恵を受けて強くなったかのように、〈隔離世界〉の無数の黒い線がより強い魔力を発した。以前にも神の力にふさわしい存在だったけれど、格自体が一次元高いところに到達したのだ。動き自体は鈍くなったけど、放つ巨大な力が一帯全体を支配してしまえばその程度の欠点など意味がない。


 結界をより堅固で絶対的な存在にすること。それが『大地の盾』の権能。その代わり結界の流動性が落ちてほぼ固定型になってしまうけど、戦場全体を支配する規模になれば関係ない。


 空間を支配する結界の力が『光』の周りを嵐のように包み込んだ。遠くから眺めているだけだった私にまで余波が来るほどだった。


 空間制御の力を混ぜた魔力障壁を展開した。あの力が私を直接狙ったものだったらこの程度の障壁では防げないだろうけど、今『境界』は『光』に全力を注ぎ込むのに必死で私を気にする余裕がない。私に到達したのもただ力があまりにも巨大な余波に過ぎなかったから。


 一方その攻撃が直接向かった当事者である『光』はどうかと言えば。


【ふーん。さっきよりはマシね】


『光』の全身が眩しい光で輝き、彼女の目から黄金色の炎が燃え上がった。


 特に意図的な現象ではなかった。ただ膨大すぎる魔力が一度に燃え上がることがそのような形で見えるだけ。


『境界』はお構いなしに結界の線で『光』を完全に覆い尽くした。しばらく彼女の姿が見えなくなった。


【その力ごと押し潰してやる】


『境界』が前に伸ばした拳を握りしめると、『光』周辺の空間が急激に圧縮された。どんなものもあの中では耐えられない一撃だった。


 相手が平凡だったならば、だけど。


 光さえ閉じ込められるはずだった漆黒の圧縮空間から一筋の光が漏れ出ると思えば、巨大な閃光が空間を切り裂いた。


 眩しい光の中からシエラが再び現れた。相変わらず傷一つない清潔な姿で。

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