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サリオンの力

「拳だけで勝負するつもりはないよ!」


 私自身が炎の嵐となって突進する中、右腕だけは炎風が消えてその姿を現した。


 いや、消えたわけではない。ただ拳の先という一点に凝縮されただけだ。


 ――極拳流〈頂点正拳突き〉


 先ほどと同じ技。しかし凝縮された魔力の質も量も違う。


 サリオンは同じ〈頂点正拳突き〉で応じた。拳と拳がぶつかり魔力が爆発した。


 衝撃波が再び周囲を席巻する中、今度は私もサリオンも少しも退かなかった。


「はあっ!」


「面白いのぅ!」


 拳。手刀。足。膝。肘。瞬く間にあらゆる手段の攻撃が交差し、時には回避し時には受け流しながら合いが続いた。


 わずかな瞬間にそれが十を数え百を超え千に達する頃、私とサリオンは同時に大きく動いた。


 ――極拳流〈閃拳・連式〉


 ――極拳流〈壊山掌〉


 私が両手で閃光のような拳の連打を放つのと同時に、サリオンは掌から強力な破壊の魔力波を放出した。


 双方の魔力が衝突して散った。莫大な魔力が一瞬霧のように目の前を覆った。


 その直後突然魔力が一方に吸い込まれていった。サリオンの拳の方だった。


 しかしその時すでに私の炎風が広く吹き荒れていた。


 ――トリア式融合技〈傀儡の渦〉


 ――極拳流〈界縮凝拳〉


 吸い込まれていた魔力の半分を奪い取った。そして私は奪った魔力と炎風を、サリオンは私に奪われずに吸収した魔力をそのまま拳に込めて同時に打ち出した。


 拳と拳が衝突した衝撃波がお互いの体を襲ったけど、足の魔力が地面をしっかりと掴んで踏ん張った。


 触れ合った拳が互いに離れた瞬間手を開いてサリオンの拳を掴んだ。同時に残りの拳を繰り出すとサリオンがその拳を掴んだ。


 互いに相手の拳を握力と魔力で押し潰す力比べの形になった。


「なるほど。やはりかなりの力じゃ。こうも意欲が燃えるのは久しぶりじゃ」


「老人扱いして申し訳ないね。あんたこそ化け物じゃない」


 言いながら奇襲的に肉体を操作。腹部から触手のように第三の腕を炎風と共に射出した。


 ――極拳流〈一点極進〉


 第三の腕が自身の鳩尾を狙った瞬間、サリオンはむしろ体を少し前に出した。第三の腕が打撃する地点に正確にサリオンの魔力が集中し、結局腕の一撃を防ぎきった。


「変な部位で極拳流を使うなんて、奇怪ね」


「魔力とはいつどの部位でも同じように使えるものじゃ」


 サリオンが先に息を強く吐き出しながら私の手を強く押し返した。その直後魔力が集中した足先が第三の腕を叩き切った。その一撃で腕が破壊されただけでなく、風圧と魔力が私の頭まで狙った。


「ふん!」


 その遠距離攻撃を〈傀儡の渦〉で逆に奪った。その間サリオンが肉弾突撃を仕掛けてきたけど、私はむしろ迎え撃ちながら魔力を集めた。


 ――『融合』専用技〈魔原阿修羅〉


 左右に二つずつ、合計四つの腕が生えた。元々の腕を含めると全部で六本。


 サリオンの左手と私の三つの右手が同時に放たれた。


 ――極拳流〈一点極進〉三連


 ――極拳流〈壊山掌・圧線〉


 サリオンが繰り出したのは〈壊山掌〉の魔力波を凝縮して威力を向上させた技だった。


 腕の負傷を覚悟でそれを突破。すでに打ち出したままの右腕をそのまま盾のように展開し、三つの左腕にも炎風の魔力を凝縮した。


 ――極拳流『獄炎』専用技〈火山撃発掌〉


 左手の一つを開いて『獄炎』の魔力波を放った。サリオンは腕を立てて〈火山激発掌〉を受け流し、そのまま盾を立てたように突進してきた。


 ――トリア式極拳流〈極点炎風突き〉


 小さく圧縮された炎風の渦を二つの拳に纏った。


「ふむ!」


 サリオンは腕を振るって私の魔力を払い、集中した魔力で二つの拳の〈極点炎風突き〉を受け止めた。しかし威力を全て殺しきれず大きく後ろに押し戻された。


 サリオンの腕に拳の形の火傷が残った。たったそれだけのダメージだったけど、これまでで唯一のダメージでもあった。


「お主が『獄炎』と『天風』の力を扱うと聞いて期待したが、これは期待以上じゃ」


「それがあんたとどんな関係がある? 極拳流だから?」


「それだけではないがのぅ」


「あっそう!」


 サリオンが何かをする前に打撃を食らわせようという心構えで突進した。


 しかしサリオンが全身から魔力を噴き出すのが早かった。


 ――『獄炎』専用技〈太陽降臨〉


 サリオンの全身が激しく燃え上がった。


「!?」


 サリオンの炎が壁となって炎風を防いだ。魔力の炎同士がぶつかり合い、自然現象では不可能な力比べを作り出した。


 太陽のように明るく燃え上がるサリオンがニヤリと笑った。


「儂の長い人生の中でも同じ『獄炎』と競い合ったことはなかったのぅ。初めての経験がお主のような強者で嬉しいわい」


 サリオンは全身から炎を噴き出しながら突進してきた。彼の体から噴き出す炎は〈傀儡の渦〉にもほとんど強奪されなかった。


「っ!?」


 サリオンは体格と魔力量を前面に押し出して津波のように押し寄せてきた。私は六本の腕と炎風の渦で受け止めたが、勢いに負けて数メートル押し戻された。


 しかし筋力と魔力なら私も負けない。


 ――トリア式極拳流〈極点炎風突き〉


 本来の右腕を後ろに引き、瞬間的に魔力を凝縮して繰り出した。体で押し寄せていたサリオンは耐えきれず後退した。


 サリオンの特性が『獄炎』だとは予想していなかったが、どうせ関係ない。相手が強敵であることは最初からわかっていたし、特性が何かは重要ではないのだから。


 それに私にもまだ切り札は残っている。

申し訳ございません。作業が遅れてしまい、時間が遅くなりました。

予定していた今週の二回の更新は、本日のこれで終わりとさせていただきます。

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