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激突と準備

 ディオスは悲鳴をあげて倒れた。


 突きは彼の左肩に命中した。強力すぎて濃密なあまり肩が貫通したけれど、それでも力に押されて倒れたのだ。


「くっ……何だよ!? 何してんだ!」


 ディオスは片手で肩をつかんで立ち上がった。


 恐れ……までではなかったけれど、明らかな当惑が感じられた。遠くから正確な突きで自分の防御力を一気に貫いてしまったからだろう。


 正直、あの静かで余波のない突きがどれほど精巧でレベル高く精錬された魔力なのかを考えると、私としては体が震えるほど怖かった。もしその突きのターゲットが私だったら何もできずに殺されただろうから。


 でも生き残ったなら状況を機会に活用することが優先。


 ――『結火』専用技〈太陽のカーテン〉


 ディオスに突進しながら〈太陽のカーテン〉十門を直線で配置した。そして最初の真ん中を剣でまっすぐ刺した。


「む!?」


 ディオスは素早く反応した。傷を握りしめていた手を再び戻すのは遅れたことに気づき、魔力だけを操って周辺の鋼鉄の槍で包囲攻撃を浴びせたのだ。


 私はそのすべてを無視して剣を突き出した。


 ――リディア式結火剣術終結奥義〈宇宙を照らす一筋の陽光〉


 光の刃が〈太陽のカーテン〉を一枚ずつ通過するたびにさらに増幅され加速された。


『魔竜の翼』の増幅能力。シドが集めて凝縮した溶岩の質量と莫大な魔力の集束。それを〈太陽のカーテン〉に増幅することで、私一人では具現化できない絶技となった。


 爆発する閃光と炎の余波が鋼鉄槍の軍勢を吹き飛ばした。だけどその程度では完全に破壊することはできず、完全には壊れなかった槍と破片が私の体をめった切りにした。


「っ……!」


 激痛をこらえながらも、すべての力を攻撃に注ぎ込んだ。


「うおおおおっ!?」


 ディオスは鋼鉄の槍を中心に腕の鋼鉄を盾のように拡張した。鋼の再生力と灼熱の一撃が激しくぶつかり、魔力を散らした。


「ぐうぅぅっ……!」


「はああぁぁああ!」


 少しずつだけど鋼鉄の盾が溶けて消えていった。私の灼熱が鋼鉄の再生力を少しでも上回っていたのだ。


 ディオスは私を攻撃していた魔力をすべて回収し、防御に集中した。それでも灼熱が僅かに優位だったけど、ディオスが腕に力を入れて少しずつ私の魔力を上方に押し出した。


「うりゃあ!」


 ディオスはついに灼熱の閃光を吹き飛ばした。


「まだよ!」


 けれど〈宇宙を照らす一筋の陽光〉は巨大な魔力の剣。血が出るほど強い力で剣の柄を握りしめ、もう一度剣を振り下ろした。


 一撃を吹き飛ばして突撃しようとしたディオスは再び防御態勢を取った。


 ――『鋼鉄』専用奥義〈神鉄極盾〉


 巨大な鋼鉄の盾が灼熱の閃光を受け止めた。鋼鉄を激しく溶かす熱気と、絶えず再生され熱に耐える鋼鉄の力が拮抗した。


 だが――長い時間のように感じられた激突でも、結局決着はついた。


「うっ、はあ、はあ……」


 灼熱の魔力が衰えた。『魔竜の翼』の刃が完全に消え、私の魔力も完全尽きた。体から力が抜けて膝が地面に触れた。


 そしてディオスはどうなったかというと。


「くっ……なかなか、危なかったぜぇ……」


 右腕が消滅し、体の前面の鋼がほぼ溶けた。今の彼としては重傷といえるだろう。


 しかし致命傷というほどではなかった。


「正直、肝を冷やしたぜ。褒めてあげる。だがもう力が尽きたようだな」


 降り注いだ熱気の魔力がディオスの再生を抑えていたけれど、ゆっくりと肌の鋼鉄が育っていた。その上、そのように消耗しても依然として莫大な力が残っていた。すぐに元の肉体に戻るだろう。


 魔力が健在で肉体も徐々に再生されるディオスと、力が枯渇してガラガラになって体も満身創痍の私。ここで勝負は決まった。


「ふぅ。最後だから少しは認めてやるぜ。この俺を煩わせるほどの力はあったんだ」


 ディオスは傲慢に言いながら左手を上げた。魔力が集まり、巨大な鋼鉄の槍が現れた。


 ディオスは〈宇宙を照らす一筋の陽光〉の余波が作り出した溶岩を踏みながら近づいてきた。巨大な槍の刃が私を狙った。物理的な距離はなかなかあったけれど、ディオスの巨体と槍の大きさならこの程度は至近距離に他ならない。


「終わらせてやるぜ」


 ディオスは槍を上げた。槍の刃の先に莫大な魔力が凝縮されていた。それだけでなく、彼の視線が私に完全に集中しているのが感じられた。


 すでに魔力を使い果たしてしまった私を相手にしても油断しないということだろう。彼の力と集中力から、私の一挙手一投足さえ逃さないという意志が感じられた。


 私を殺す――それだけに集中したせいで、他の所に目を向ける余裕がなくなること。ほんの少しの隙間。


 その隙間を突くように、静かで透明な一撃がディオスの胸に打ち込まれた。


 鋼の肌が溶けて防御力が弱まった胸に。


「うむ?」


 もちろん、鋼鉄の肌が消えたって簡単に食い込める肉体ではなかった。


 でもその魔弾はディオスの筋肉と肉を貫き、内側に食い込んだ。


「む? ……ぐあぁっ!?」


 ディオスの体内から魔弾の魔力が解放され、彼の膝が地面に落ちた。


「ぐあぁ……こ、れは……!?」


 ディオスは槍を手放し胸の傷をつかみながら私を睨みつけた。


 でも私はディオスを睨みながら微笑むだけ――その時、再び魔弾が飛んできた。私じゃない他の方向から。


「がはぁっ!?」


 二つ目の魔弾は一つ目と同じ位置に着弾した。


 今頃ディオスの体内では灼熱の魔力が体を浸透して燃やしているだろう。


 もちろんそれだけではない。


「ふぅ。これでいいのかな?」


 魔弾が飛んできた方向からシドが歩いて来た。


 ディオスの顔がシドに向けられた。けれど苦痛をこらえながら怒りを燃やすだけで、動くことはできずにいた。


 私は満身創痍になった体の激痛を耐えながらも、ディオスを挑発する微笑を浮かべて見せた。


「どう? 心を込めたプレゼントよ」

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