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変化する戦況

 丸見えの大地で土と岩が立ち上がった。


 今のディオスより巨大な大地の腕が八つ。それもシドの全力が凝縮した攻撃だった。それがディオスに飛びかかって彼の全身を拘束した。


 ――『地伸』専用奥義〈母なる大地の足かせ〉


 大地の腕の形が解除され、岩と土がすべて一つに融合してディオスを固く縛った。邪毒獣でさえ、しばらくは捕まえておくことができる封印だった。


 でも邪毒獣程度なら長く拘束することはできないだろうし、邪毒獣より強い今のディオスなら言うまでもなかった。


「無駄なあがくだ」


 ディオスが体に力を入れただけで拘束が破壊された。だけど拘束術式自体の力は依然としてあり、魔力が絶えず供給され拘束を再構築した。シドの魔力が残っている間は拘束と破壊を繰り返すだろう。


 けれどいくらディオスであっても、あの拘束を壊さずに私を攻撃することはできなかった。


 ――『結火』専用技〈猛進の操り人形〉


 壊れた骨を全部『結火』の宝石に置き換え、灼熱の熱気で体を動かした。自らの力に燃え尽きる危険を甘受して無理に体を動かす秘術だった。


 長くは続かないけど、どうせ長く時間を稼ぐつもりもない。


 ――『アーマリーキット』具現兵器・万能型多重武装『鋼のハリネズミ』


 多様な武装を一つに盛り込んだ巨大なトンファー型武装を具現し、内蔵された銃口をすべて開放した。巨大なハリネズミのような形が私の周り全体を狙った。


 ――リディア式射撃術〈華麗なるパーティー〉


 すべての銃口が火を放った。


 装填されたのは一発一発が猛烈な爆発を起こす特製品。時間がかかるので事前に作って貯めておかなければならないそれを惜しみなく浴びせた。


 ディオスは私をあざ笑った。


「何やってんだ? 全然だぜ」


 彼の言う通り、魔弾の照準は彼に向けられていなかった。


 爆炎が華やかな花園のように満開した。鋼鉄が壊れた範囲をさらに広げ、大地が溶け込み、もう一度灼熱が周辺を覆った。


 もちろんディオスに直撃した魔弾はなかったし、たとえ直撃したとしても大したダメージは与えなかっただろうけど……どうせディオスに合わせるために放った攻撃ではない。


「は、どこを狙ってんだ?」


 ディオスは鼻で笑いながら大地の拘束を解いた。すでにその直前から魔力の供給が途絶えた状態だったし今回は復旧しなかった。


 ディオスが足を進めると溶岩が彼の足を避けた。いや、一ヶ所に集まり始めた。


 私の目の前に。


 ――『アーマリーキット』具現兵器・物魔集束型最終武装『魔竜の翼』


『アーマリーキット』のすべての部品で刀の柄を一つ作り出した。


 私の前に集まった溶岩がシドの力で圧縮された。物理的な限界を超えて、ほぼ一つの点のレベルまで圧縮されて光点となったそれを柄に詰め込んだ。


『魔竜の翼』の柄から熱気が噴き出し、取っ手だけの柄から光の刃が飛び出した。


 ディオスの巨大な鋼鉄の槍が殺到した瞬間、私はその刃で槍を切った。巨大な刃がばっさりと切れた。


「ほぉ? 何を小細工したんだ?」


 ディオスは大したことないかのように言って、切り取られた槍を振り回した。しかし切り口に残った熱気が槍の再生を妨害した。


 ディオスは槍の刃を切り取って作り直したけれど、『魔竜の翼』をいらだたしそうに眺めた。


「何だそれ? 何のトリックを使いやがった?」


「このわかりやすく直観的なことも疑うなんて、自分の力で強くなることもできない卑怯者らしいね」


「……いいぜ。殺してやる」


 ディオスは怒りを燃やしながら突進してきた。


 人間を超越した巨体が人間を超越した速度で動くとその速度はすごかった。繰り出す槍撃もさっきの閃光のように殺人的な威力だった。


 でもその攻撃に合わせて剣を振ると槍は簡単に切断された。光の刃に触れた部分があっという間に溶けて連結を切ったのだ。


 私自身が強くなったわけではない。むしろ壊れた体を無理矢理動かすくらい、自分自身は弱くなったといえるだろう。しかし剣の威力が純粋に強かった。


「なるほど。さっきの溶岩を凝縮して威力を極大化したのかよ」


 ディオスは大量の魔力を放出した。あっという間に大量の鋼鉄が作られ、巨大な鋼鉄の槍が数十本も生まれた。


「単純に剣が強いのなら簡単だぜ」


 何十本もの槍が一斉に私に殺到した。


 もう一度『武神の指輪』の力で予測力と剣術の腕を極限まで高めた。すべての槍の軌道を完璧に予測し、一歩先を行く振り回しで槍をすべて切り取った。スムーズに切り取るだけでなく、斬撃の瞬間に広がった熱気が残った部分まで破壊した。


 だがディオスは意気揚々としていた。


「外の力を凝縮したからにはその剣の力は有限だ。ずっと消耗を誘導するだけでも簡単に対処できるぜ」


「勝てないから消耗戦なの?」


「貴様を殺すことぐらいは簡単だぜ。だがその後も力を入れるところは多いぜ。節約できる時に節約しておくのも戦略だということだ」


 ラスボスの威厳なんて欠片もない発言だね、本当に。


 でも言ったこと自体は十分合理的だ。このままでは消耗の末に力尽きて倒れるばかりだろう。


 もちろん突破する方法程度は――。


「え?」


 思わず目を奪われた。私だけじゃなくてディオスまで。


 突然横から湧き出た強烈な魔力。ここまで近づくまで全く感じられなかった強大な力が、突然すぐ傍に来たように身近に感じられたのだ。


 そして私もディオスも何か対応しようとする前に、極端に凝縮された魔力の突きがディオスを襲った。


「ぐあっ!?」

もともと明日と明後日も2回更新するとお伝えしていたのですが、どうやら明日は1回更新だけしなければならないようです。

もうすぐ12章が終わりますが、まだ以降のプロットについて調整している状況ですので、13章を始めるには少し時間が必要になりそうです。

明日は1回、日曜日は2回更新するようにします。


読んでくださってありがとうございます!

面白かった! とか、これからも楽しみ! とお考えでしたら!

一個だけでもいいから、☆とブックマークをくだされば嬉しいです! 力になります!

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