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タイトル未定2024/06/03 19:08

 私も、そしてディオスも。魔力の閃光と嵐が静まるのを待つつもりはなかった。


 今のと同じ魔弾を『青いワニ』と『灰色の猿』に装填し、魔力の嵐の中に飛び込んだ。


 実体のように固い鋼鉄の魔力と壊れた鋼鉄の槍の破片、そして私の『結火』の熱気と爆発が一度にあふれた。それを魔力の障壁と『結火』の壁でできる限り防いだ。けれど当然それで完全に防御になるはずがなく、体のあちこちに傷が増えていった。


 それでも前進する――その途中、まだ魔力の嵐が暴れている上を巨大な鉄の拳が横切った。衰えかけていた魔力の嵐がその一撃の影響で完全になくなっちゃった。


 現われたディオスはやっぱり傷のない姿だった。ただ直接魔弾と激突した槍の刃が完全に破壊されて消滅しただけ。あまりにも魔力が強くなったため、力が消耗した様子もなかった。


 だけどディオスの〈高速道路〉を相殺して槍刃を破壊しただけでも、ある程度対抗可能な威力を発揮したといえるだろう。


 再び〈太陽のカーテン〉を展開し〈ディオス殺し〉を撃った。目標はディオスの足。


 ディオスの足から厚くて巨大な鋼鉄が育った。莫大な魔力を抱いたその障壁の防御力はさっきの〈高速道路〉の相殺よりもさらに強力だろう。


 障壁が〈ディオス殺し〉を受け止めた。再び魔力が暴れたけれど、魔弾の威力は障壁を溶かして破壊するだけ。完全に突破するよりディオスの『鋼鉄』の力が再び復旧する方が早かった。


 でも散らばった魔力が周辺の地面を完全に溶かし、さっきの衝突と合わさって莫大な量の溶岩が新しく作られた。


 ――『地伸』専用技〈戦場の甘え〉


 シドの力が溶岩とその下の地面まで丸ごと操った。ディオスの足が膝まで地面と溶岩に埋もれ、地面が激しく揺れ、ディオスのバランスを失わせた。


「面倒くさい小細工を……!」


 ディオスは私を無視してまず足の邪魔をすることに集中した。


 私の力を見下した結果だろうけど――それこそ私が狙ったことだ。


 ――『結火』専用技〈太陽のカーテン〉


 再び魔力場を展開した。今回は一度に五つを一直線に。


 ディオスは一歩遅れて私の方に視線を向けたけれど、曖昧に足が封印され揺れている状況なので対応が遅れた。


 私は『灰色の猿』をまっすぐ繰り出した。装填された魔弾の力が極限まで圧縮された魔力の突きとして放たれた。それが〈太陽のカーテン〉に触れるたびにさらに濃密で巨大な破壊の怒涛で増幅された。


 最後の五番目のカーテンを通過した時は、すでにディオスの巨体を飲み込むほど巨大になった。


 ――『灰色の猿』専用結火剣術奥義〈陽光一刀〉


 光と熱と魔力がディオスを飲み込んだ。




 ***




 面倒でうざい。


 浴びせられる灼熱の魔力を全身で受け止めながら、率直にイライラした。


 俺は強くなった。もうあのバカで下等な奴に負ける理由がない。実際、今の攻撃も俺の肌を突き抜けて内側まで熱く燃え上がるほどではあったが、俺の鋼鉄の再生力で十分に耐えられる威力だった。


 この圧倒的な力の差さえ理解できないほど愚かなのか?


 あいつならそうだと思うが、それでも頭にくるのは仕方ないね。


「いい加減にしろ!」


 槍の刃を修復し、集束された魔力を突きと共に解放する。


 ――鋼鉄槍道奥義〈開拓者の光〉


 絶対的な突きが灼熱の魔力を吹き飛ばして道を開いた。


 突きの衝撃波が大地に長く巨大な傷痕を残した。俺をイライラさせる灼熱の魔力と溶岩もその軌道では消滅した。それだけでなく、地平線まで届くほど伸びていたので、当然リディアにも届いた。


「ッ……!」


 リディアは直撃を避けたようだが、衝撃波を完全に殺すことはできなかったのだろう。左半身が血まみれだった。特に左腕は完全に壊れた骨を『結火』の宝石で無理やり補強して持ちこたえているのがはっきりと見えた。


 あいつの魔力ならダメージを回復するのに長くはかからないだろうが、これだけ力の差がある状況であれだけのダメージなら勝算はない。


 それでもあの生意気な目は何だというのか。


「……ムカつくぜ」


 前に足を踏み出しながら、思わず声が溢れた。


 以前はああではなかった。あいつの顔はいつも下に向いていて、視線は地面に固定されているだけ。自分の分際をよく理解し、隅に閉じこもって、バカな面を無駄に見せて俺の目を汚そうとするのをしない程度の分別はある奴だったのに。


 テリア。あのクソ女が介入してからすべてが台無しになった。あのバカなリディアの奴でさえ自分の分際を忘却して俺をあの忌々しい目で睨んでいるのではないか。


 今まで全然全力じゃなかったし、これからもあえて全力を尽くさなくてもあの生意気な奴をぶっ殺すのは問題ないだろう。


 しかしあの目を一秒でも長く放っておくのが腹が立つ。


「今まで生かしておいたことも今さら考えると頭にくるぜ。いい機会だ。これを機に俺の手でぶっ殺してやる」


 別にこの場で生かせるつもりはなかったが、余裕を見せていたのは否めない。


 リディアはまだ力の差を理解していないかのように笑いやがった。


「ふん。リディアを殺すなんて、あんたなんかにそんなことができると思う?」


「そんな状況になっても見栄を張るのかよ。いいぜ、貴様を虫のように踏んで殺せば、貴様も自分がつまらない虫だということに気づくだろう」


 槍を握り魔力を開放する。


 それだけでも爆発のような衝撃波が四方を襲ったが、リディアの奴は歯を食いしばって耐えながらも依然として戦意を燃やしていた。


 あの目を抜き取って躙ることを考えると気分がよくなりそうだぜ。

活動報告で今日2回更新すると申し上げたのですが、作業が遅れて2回更新は木曜日にしなければならないようです。

申し上げた日程を守れなくて申し訳ありません。

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