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連携と一人

 撃つ。切る。爆発させる。


 私が使える手段は結局それだけだけれど……それが通じないとき、いったい何ができるだろうか。


「ハハハハハハハ! ぬるい! そよ風だぜ!!」


 ディオスは狂ったように爆笑しながら体で押しつけるように突進してきた。


『結火』の魔弾を浴びせ、爆炎の力を放つ斬撃を何度も胴に叩き込んだ。そのたびに鋼鉄の皮膚が壊れた。だけど破損は非常に軽微で、あっという間に再び育った鋼鉄が破損をなかったことにしてしまった。


 ――鋼鉄槍道〈分かれ道〉


 数百の突きが雨のように降り注いだ。


 いや、尖塔のような槍の大きさのせいでまるで都市が私に飛びかかってくるような錯覚がした。


「ふぅっ! せいやっ!」


 左手の『灰色の猿』で槍撃を受け流し、右手の『青いワニ』の魔弾の爆発でできるだけ軌道をはずした。槍自体の重い攻撃と空中を切り裂く風圧だけでも潰れそうだったけれど、なんとか踏ん張った。


 一方、有利であるディオスは不快な声を出した。


「ちぇっ、弱いくせによく耐えるな。何のトリックを使うんだよ?」


「……ふん。始祖武装も、握ったことが、ないから、分からないでしょ」


 降り注ぐ攻撃をかろうじて受け流しながらもそう答えると、ディオスは怒ったように攻勢の勢いを高めた。


『武神の指輪』――あらゆる道具を極限まで活用する知恵と技術を付与する始祖武装。魔道具の出力を限界以上に高めるのはもちろんのこと、扱う技術においても大きな力が与えられる。たとえば今のような場合には『灰色の猿』を操る剣術と、『青いワニ』の魔弾の爆発を絶妙に計算して最適な効率を出すことなど。


 剣を振り回す腕においてだけは、瞬間的にテリアさえ凌駕できるようにしてくれるこれがなかったら、私はとっくにディオスに圧殺されていただろう。


 まあ、そもそもこれがなかったらシドと二人で出撃するという決定自体を下さなかっただろうけど。


 ――『地伸』専用技〈地獄の使者〉


 シドが操る溶岩から五つの巨大な手が出た。溶岩の手がディオスの四肢――ではなく、槍を持った右腕に全部吸い付いた。一瞬だけど右腕の動きが止まった。


「役立たずめが!」


 ディオスは溶岩の腕を力いっぱい振り払った。灼熱の溶岩に触れたにもかかわらず、鋼鉄の皮膚はほとんど無傷だった。


 でも力でそれを振り払うのに気を取られちゃったその短い瞬間に、地中から飛び出したシドがすでに首の後ろまで近づいていた。


 ――ハセンノヴァ式暗殺術奥義〈次元交差斬り〉


 次元を越えた刃がディオスの首の中を狙った。


 精度を最大化した至近距離で鋼の皮膚の内側だけを正確に狙う一撃だったけれど、ディオスは完全に無視した。


「つまらない小細工など通じないぜ」


 ディオスは巨大な槍でシドを殴ろうとした。


 その瞬間、爆発で急加速した私がその間に割り込んだ。斜めにいなしながら、衝撃の余波と自分で起こした爆発の勢いを逆手に高速で回転した。


 ――『灰色の猿』専用結火剣術〈野性の爆撃〉


 装填された〈爆炎石〉をすべて斬撃の魔力に変換し、回転の勢いまで加えて放った。


 敵を深く切り、傷の中で爆発を起こす技。でもディオスは左腕で斬撃を振り払った。斬撃は鋼鉄の皮膚の表面をわずかに掻くだけで、魔力を爆発させるだけだった。


 けどディオスが再び私に突進しようとした瞬間、今回は彼の周辺に無数の人の姿が現れた。シドだった。


 ――ハセインノヴァ式暗殺術〈湖に映った月明かり〉


 数多くのシドが一斉にディオスに飛びかかった。


 その正体は魔力で作られた分身の軍勢。物理的な実体と魔力の気配を持っているけど、一つ一つの力は大したものではない。分身を皆合わせてもシド本体に太刀打ちできるかどうかわからないくらいだろう。


 ディオスは当然、ごまかしと牽制にすぎないその攻撃を無視しようとした。


「うむ?」


 でも分身の攻撃が鋼鉄の肌に小さな傷をつけた。本来なら傷すら出せない存在なのに。


 その時になってようやくディオスは舌打ちの音を立てながら槍を乱暴に振り回した。ハエを追い払う感覚で分身が大量に消滅した。あっという間にディオスの周りがきれいになった。


 その間に闇の中に隠れたシドが再びディオスの後頭部に殺到した。


「丸見えだぜ」


 ディオスは振り向いて槍を繰り出した。


 凄まじいスピードと威力だったけれど、シドはすでに予想していたかのように、槍撃が放たれる前に回避行動を取っていた。おかげで槍は直撃しなかったけど、風圧が彼を吹き飛ばした。


 それでも構わない。最初から彼の目的は時間稼ぎだったから。


 ――『結火』専用技〈太陽のカーテン〉


『結火』の赤い結晶が枠を構成し、その枠が赤い魔力場を作り出した。そして私は『青いワニ』でその魔力場の真ん中を照準していた。


 もう魔弾と魔力の装填は終わった。


 今日この瞬間のために。研磨し、研磨し、研磨した結晶体が入った引き金を引く。


 ――リディア式射撃術奥義〈ディオス殺し〉


 赤い宝石の魔弾がたった一発。銃口から発射され〈太陽のカーテン〉を通過した。


 その瞬間、魔弾が超高密度の魔力でコーティングされた。そして本来の速度をさらに超えてディオスに殺到した。


 ディオスもその一撃には脅威を感じたらしく、真剣に槍に魔力を集結した。


 ――鋼鉄槍道〈高速道路〉


 爆発するように噴き出した槍の閃光が魔弾と正面に激突した。


〈ディオス殺し〉はその名の通りディオスを殺すために開放たれた魔弾射撃術。鋼鉄を溶かして破壊することに特化している。


 衝突して噴き出した魔力が嵐になってあたりを荒らした――。

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