負けない戦い
――天空流奥義〈五行陣・木〉
極限まで凝縮して鋭く整えた斬撃が〈万華鏡〉を縦に切り裂いた。
その軌道に立ったのは大剣のオメガとラースグランデ。
ラースグランデは空間の力で横に素早く待避しようとし、大剣のオメガは魔力を集中した大剣で防御しようとした。
でもあいつの力なんかじゃ防御どころか威力を削ることさえできない。
「ぐぅっ……!?」
大剣のオメガの体が肩から股間まで一直線にきれいに切断された。
ミッドレースオメガの生命力ならこの程度で死ぬことはないけれど、『万壊電』の力で再生を抑えれば無力化することはできる。
一方、この攻撃の本命であるラースグランデは右腕の肘の下を失った。けれど空間能力まで活用した戦力の回避のおかげなのかしら。彼女のダメージはそれだけだった。
「逃さないわ!」
真っ二つになって倒れる大剣のオメガをそのまま押しのけてラースグランデに突撃。刹那の瞬間に剣が届く距離まで接近した私が剣を振ると、ラースグランデは残った左腕で魔力を展開した。
空間の盾が私の剣を防いだ。でもラースグランデがニヤリと笑ったのは、ただ防御に成功したからではなかった。
「行きますよ!」
ラースグランデの左手の手のひらが魔力が輝いた。
さっきミッドレースオメガたちが私を相手にしている間に集めた魔力。私の斬撃を避けたり防ぐ間も、別に集中していた魔力を維持し続けていたのだ。
ラースグランデは左手を私の方に向けた。
――『空間操作』専用奥義〈越えられない地平線〉
空間が二つに割れた。
単純に空間を断絶する斬撃を放った程度じゃなかった。広大な空間全体を『空間操作』の権能で統制し、空間を二つに分割して強制的に切断する奥義だった。
普通ならただ殺されるだけの絶技だけれど――。
――紫光技特性模写『空間操作』
――天空流奥義〈五行陣・土〉
膨大な量の魔力を散らし、それを利用して空間全体を握りしめた。
まいた魔力で周辺の魔力と環境を掌握する〈五行陣・土〉の力に『空間操作』の力を加えることで、〈越えられない地平線〉で分かれようとする空間を強制的に捕らえた。
このような戦いは結局どちらの支配力がより強力なのかの戦い。いくら空間を操る『空間操作』の力を持っていたとしても、天空流の至高の境地である〈五行陣〉に空間の魔力を加えた力に勝つことはできない。
もちろん圧勝というほどの優位でもなかった。
「うぐぅっ……!」
「はあっ!」
しばらく力比べが続いた。空間を断絶しようとするラースグランデの力と空間を固定しようとする私の力がお互いに争いながら空間がきしむようになった。
優劣で言えば有利な方は私の方。空間をぎゅっと握って少しのズレも許さなかった。その上、周りの空間を完全に掌握して固定しているため、ミッドレースオメガたちも拘束され、外から入ってくる攻撃も遮られた。
でも少しでも力を抜いた瞬間、ラースグランデの術式が空間を割ってしまうだろう。私は空間ごとに切断される。私の魔力ならそれだけで即死はしないけど、その状態でラースグランデとミッドレースオメガたちの集中砲火が来るとさすがの私も耐えられない。
そのため、長く耐えるつもりはなかった。
「はあぁっ!」
――〈五行陣・土〉派生技〈一つたる大地の刃〉
瞬間的にさらに大きな魔力を放出して〈五行陣・土〉の支配力を強化し、一時的にラースグランデの魔力を押し出した。その間に掌握した空間と魔力を一つの巨大な刃として編み放った。
斬撃というよりも巨大な怒涛に近い一撃。むやみに急いで放出した攻撃なので密度は少し低かったし、ラースグランデは集中した空間の盾で自分自身だけをやっと守ることで持ちこたえた。だけどそのまま伸びていった怒涛が〈万華鏡〉の壁を破壊した。巨大な穴があけられ外の光景が見えた。
それもそれなりの成果だったが、私が狙ったのはそれほどではなかった。
「しまっ……!」
ラースグランデは再び魔力を高めたけれど、十分な魔力を凝縮する前に私の方から飛びかかった。
〈一つたる大地の刃〉は〈五行陣・土〉で支配したすべての魔力を一つの刃として凝縮して放つもの。私のものじゃない魔力まで全部引っ張って行ってしまう。つまり、競合していたラースグランデの魔力まで全部。おかげで〈越えられない地平線〉の術式が破られた。
――天空流〈流星撃ち〉
突進の勢いをそのまま突きに変えた。ラースグランデは首を動かしながら左手を上げた。空間を横切る刃が下から私を狙った。
それを私は『空間操作』の魔力を込めた足で踏んで壊した。そして右手の剣でラースグランデの左腕を斬り、左手の剣でラースグランデの肩を深く刺した。
ラースグランデは自分の左腕に空間の魔力を集中させて斬りを防いだ。肩を突く剣を防御する魔力がないため、剣が彼女の肩に深く突き刺さった。
「くっ……今です!」
その瞬間、ラースグランデは肩に刺さった刃を空間の魔力で固定させた。その間に姿がすでに明らかになった奴らとまだ〈万華鏡〉の中に隠れている奴らまで、すべてのミッドレースオメガの攻撃が私に浴びせられた。
私はつかまった左の剣を手放し、右手の剣を両手で握った。
――天空流奥義〈五行陣・金〉
戦いながら回復した力でもう一度金色の眼光を輝かせる。その状態で回転しながら剣を大きく振り回した。浴びせられた攻撃がその一回の攻撃ですべて撃墜された。
攻撃の余波はラースグランデにまで届いた。けれど空間の力で自分の剣を固定していたラースグランデは、皮肉にもその空間固定のせいでその場から後退するすることができなかった。慌てて展開した空間の盾が攻撃を防いだのがラースグランデには幸いだったのだろう。
――天空流〈彗星描き〉
でも直後に続いた突撃を防ぐ力は足りなかった。
空間の盾を突破してラースグランデに直接剣を振り回した。ラースグランデは空間の魔力を巻いた左腕で防いだ。魔力が衝突してほんの一瞬の力比べになった。
その瞬間、私は左手を伸ばしてラースグランデの肩に刺さった剣の取っ手を握った。
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