万華鏡の中の進展
「なかなか頑丈だね」
見えたことについて率直な感想を言うと、ラースグランデは悔しそうに歯を食いしばった。
〈無限を夢見る光の演舞〉は跡形もなく消滅した。そして〈万華鏡〉は内側が大きく破壊され余裕空間が広くなった。
だけど〈万華鏡〉はただ内部の一部が破壊されただけで、術式自体が崩れたわけではなかった。
正直、〈万華鏡〉まで丸ごと破壊するつもりだった私としてはそれだけでも計算外だった。さらに〈無限を夢見る光の演舞〉は〈万華鏡〉の力を局所的に強化する奥義。この程度のダメージは修復できる領域だろう。
「その未来を強制する力はもう使えないみたいですね」
ラースグランデは〈滅界雷電〉の余波に遭い、ダメージを受けた状態だった。左腕はほとんど使えなくなり、その他にも全身が雷電に焼けて真っ黒な姿だった。『万壊電』の力が残留したせいで回復もままならないだろう。実際、〈万華鏡〉も空間に残留した『万壊電』の権能のおかげでまだまともに修復されていない。
でもラースグランデはもともと肉弾戦が得意ではなく、彼女の魔力はまだ膨大だ。実質的な戦闘力はそれほど減少しなかっただろう。
一方、私は彼女の言葉通り、目の金色の眼光が消えた状態だった。〈五行陣・金〉の力で〈滅界雷電〉が暴走しないように制御することで限界に達したのだ。目と頭がずきずき痛い。私自身の戦闘力に大きな変化はないけど、〈五行陣・金〉を使うのはしばらく無理だよ。
しかも……ミッドレースオメガたちの姿がない。〈万華鏡〉の中に隠れている彼らには攻撃が届かなかったという意味だ。
案の定〈万華鏡〉から再びミッドレースオメガたちの魔弾が発射された。ラースグランデも動く右腕を私の方に突き出した。彼女の指先から空間の魔力がきらめいた。
突撃した私の剣とラースグランデの指先が激突した。
――『空間操作』専用技〈拒否のハンマー〉
――天空流奥義〈二つの月〉
斥力と打撃で物体を拒絶する空間の魔力を、〈満月描き〉をそれぞれ宿した双剣が破壊した。〈万華鏡〉の魔力が動き同じ空間の術式を何度も作り出したけれど、閃光のように走る剣が空間を壊し続けた。そのたびに少しずつ前進することができた。
だけど何度目かわからない剣撃の直後――状況に変化が起きた。
目の前の空間が歪んで、魔物の触手が飛び出した。槍のように尖った先を剣で切って雷電で燃やしたけど、するやいなや隣から漆黒の爪が飛び出した。それをまた切ると今度は数十個の触手が頭を突き出した。
再び剣を振り回した瞬間、空間のきらめきと共に触手の位置が変わった。触手のうちいくつかは刃と『万壊電』に破壊されたけど、本来の意図より少ない数だった。
残りの触手たちはそれぞれ槍のように私の体に突き刺さるか、あるいは先を開いて魔弾を吐いた。同時に空間の刃が四方から私に飛びかかった。
「ふぅっ!」
『万壊電』の魔力を全身から放出した。
〈万華鏡〉の力で敵の位置を撹乱するとしても、結局攻撃するためには直接突撃してこなければならない。その部分を『万壊電』で全部燃やしたのだ。
空間の刃は紫色の雷電を突き抜けて私に殺到したけれど、私はそれを防げなかった。
――紫光技特性模写『復讐』
空間の刃に切られた全身が血まみれになった。
魔力をたっぷり含んだ血が刃を染めた。それをばらまくように剣を振り回して〈三日月描き〉を放つと、普段よりもさらに大きく鋭い魔力が噴き出した。
三日月の斬撃は触手や爪を切る力はいつも通りだった。でもラースグランデの空間の魔力と激突した瞬間、強力な魔力を発散して早く進んだ。
「うっ!?」
ラースグランデは目の前の空間を無数に分裂させた。小さく断絶した空間一つ一つが強力な盾になって斬撃の力を削った。〈三日月描き〉はその盾を突破するだけで力尽きた。
でも言い換えれば、分裂した空間の盾を突き破ったという意味だ。
ラースグランデに突進した。スピードを落として攻撃をする時間さえ節約するために、そのまま肩で激突した。私とラースグランデは一緒に〈万華鏡〉の目まぐるしい空間に飛び込むことになった。
ラースグランデの顔に笑みが広がった。
「恐れもなく私の〈万華鏡〉に自ら飛び込むなんて、まったく……」
ラースグランデの挑発に言語で応酬する代わりに、『復讐』の魔力の力で増幅した一撃を走らせた。
本来なら〈万華鏡〉の変化に富んだ空間を力で破壊することは不可能だろうけど――。
――紫光技特性模写『看破』
目まぐるしく変化する〈万華鏡〉の核心を見抜き、剣でその核心を突き破壊した。
もちろん〈万華鏡〉はそれ一つで全体が瓦解するほど甘い結界ではない。しかし当面の周辺をきれいに空ける程度の効果はあった。
「何!?」
ラースグランデもまさかこんなに簡単できれいに〈万華鏡〉が破壊されるとは思わなかっただろう。
しかし私の目は、驚愕して急いで空間の魔力を展開するラースグランデよりも、壊れた〈万華鏡〉の領域で明らかになった敵に向かった。
さっき〈万華鏡〉の中に隠れたミッドレースオメガ部隊。全体ではなく一部に過ぎなかったけれど、隠れたまま一方的に攻撃だけをしていた敵の一部を引き出したことはそれなりの成果だった。
ラースグランデも私がどちらを狙っているか気づいたようだけど、遅いわ。
ラースグランデとミッドレースオメガたちが空間の刃や魔弾のような攻撃を私に浴びせた。しかしそれが私に到達するよりも、私の両腕が奥義を放つ方が早かった。
――天空流奥義〈五行陣・火〉
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