圧倒
「これまで見えたということですか?」
「もちろん。ここまで引き出すのは面倒だったけどね」
そもそも『バルセイ』では今よりもっと早い時期にミッドレースオメガが完成した。
奴らの実験を妨害するためにあらゆる努力をしたおかげだろう。私としては時期を遅らせただけで結局防ぐことはできなかったということが腹が立つことだけれど、安息領は私が妨害に腹を立てたはずだ。
ミッドレースオメガを動員するという確信はなかったけれど、完成したようだという情報はすでに収集した。それなら登場する可能性が高いと思った。それで〈五行陣・金〉を発動してみるとオメガが登場する未来が見えたし。
私の態度が超然としているのを見て何かを感じたのだろうか。ラースグランデは眉をひそめて私を警戒しているようだった。
「貴方を見ていると才能以上の何かが感じられます。単に力が強いことが問題ではなく……」
まぁ、私に前世の『バルセイ』の記憶があるからだろう。正直、外から見ると情報力が尋常ではないように見えるだろうし。
ラースグランデは何かひどく悩んでいるようだったけど、私は軽く笑い飛ばした。
そして平然として自然にラースグランデを奇襲した。
――天空流〈三日月描き〉
あっという間にラースグランデに近づき、横の斬撃を放った。
ラースグランデは〈万華鏡〉の力で斬撃の範囲内に入ってくる人員をすべて転移させた。自分自身を含めて。
私の後方に現れた者たちは――ラースグランデだけが深く切り傷を負った。
「っ……!?」
「これから早く行くわよ」
再びラースグランデに突進して剣を振り回した。莫大な魔力が強力な衝撃波となり、剣を振り回すたびに〈万華鏡〉の中をめちゃくちゃに荒らした。
ミッドレースオメガたちはその衝撃波だけでも吹き飛ばされたけれど、ダメージ自体は大きくなかった。その上、彼らが発射する魔弾やあらゆる魔力が斬撃の威力を削った。それにラースグランデの『空間操作』が加わると斬撃がほぼ相殺された。
――そうすべきだったけれど、平然と防御を突破した斬撃がラースグランデの肩と脇腹を斬り裂いた。
「うぐっ!? まさか……!」
「あら、気づいたみたいだね」
平然と話しながらも、ラースグランデに攻撃を浴びせ続けた。
ラースグランデも気づいたみたいだね。〈五行陣・金〉の権能を全部彼女だけに集中しているということを。
〈五行陣・金〉の力で未来の可能性を切り取るたびに大きな力を消耗する。それに体にもとても大きな負担がかかる。正直に言って、私が今この力を乱発していることさえもイシリンと『浄潔世界』の無限の魔力のおかげにすぎない。
にもかかわらず、目の前のすべてを直ちに壊して勝利するには消耗が大きい。だからラースグランデにだけ力を集中していた。
どうせミッドレースオメガは今の私には大きな障害でもないし。
「いいです。貴方がそうするなら」
ラースグランデの手から強力な空間の魔力が噴き出した。
――〈万華鏡〉派生技〈万華鏡の処刑場〉
空間が光った直後、ミッドレースオメガたちの姿が消えた。
直後〈万華鏡〉のあちこちで魔弾の弾幕が放たれた。
――『空間操作』専用技〈絶対切断〉
弾幕に加え、ラースグランデも強力な空間の斬撃を放った。前回と違って今回は一つの巨大な斬撃だった。
「ふん」
――天空流〈半月描き〉
オメガ部隊の魔弾を吸収し、その魔力に私の魔力を加えて形成した巨大な刃でラースグランデの斬撃を斬り裂いた。その刃はそのままラースグランデに届いた。
ラースグランデはきらめく空間の破片を無数に展開した。一つ一つが強力な空間の壁に匹敵する力を持っていた。それらを突破しながら魔力を最低に消耗する可能性だけを残したけれど、それでもほとんど力が消耗した。
ラースグランデは笑った。
「そうですね。この程度の力なら突破できないようですね」
「そう思う?」
直接突進して刃を突き出した。
――〈万華鏡〉派生奥義〈無限を夢見る光の演舞〉
視界が歪んだ。
まるで〈万華鏡〉の中に〈万華鏡〉をもう一つ具現化したような光景。その上、きらめく空間の破片も無数に飛び散った。
単純に空間を断絶する壁を展開したのではなく、めちゃくちゃに絡み合って連結された空間だった。私が突き出した刃が私の横から私に向かって飛び出してきた。
――紫光技特性模写『空間操作』
――『空間操作』専用技〈空間中和〉
空間の魔力を中和する力を魔力に混ぜ、『万壊電』の雷電を斬撃として散らす。もつれた空間が壊れていった。だけど一方が壊れる瞬間、もう一方がより複雑に変化し、そっちを攻撃する瞬間に壊れた空間の迷路が再び復旧された。
なるほど。絶えず変化し修復される空間の監獄ね。
外から攻撃が殺到したけれど、私は最低限の魔力障壁を張り巡らせ魔力を集中し始めた。障壁を突破した攻撃が私の体に少しずつ傷を積み上げていったけれど無視した。
左手に魔力を集中。それだけでも大気が振動し、空間が揺れるほど膨大な魔力を、手の内に集中して握りしめる。
凝縮の極に達し、結局耐え切れず雷電の魔力が漏れる瞬間、私は左手を高く持ち上げた。
――『万壊電』専用奥義〈滅界雷電〉
タールマメインの〈水葬暴挙〉を粉砕した奥義。
しかし、その時の〈滅界雷電〉はただ放出しただけで、完成型ではなかった。その時はあえて必要なかったから。
持ち上げた手から紫色の雷電が広がった。それが膨大な魔力場を形成した。その魔力場は左手に残る莫大な魔力と共鳴した。
その瞬間、魔力と空間が暴走した。
ゴロゴロとの音と共に閃光が視界を覆った。あまりにも眩しい光といっぱいの魔力が感覚を完全に麻痺させるほどの力が、空間の力ごとにすべてを滅ぼした。
暴れる力が弱まり、少し遅れて視界が戻ってきた。
その視界に映ったのは――。
夜明けに仕事を処理していましたがつい今日午後6時というものすごい朝寝坊を達成してしまいました……それで更新が遅くなってしまいました……
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