禁止区域の結界
「やはり一気にわかるか。そうだ」
当てても全然嬉しくないクイズだ。
今感じられる魔力は安息領の些細な結界レベルではなかった。単純に言えば、あの魔力を爆発させるだけでも王都タラス・メリアを消滅させてもお釣りが来るほどだ。
それ自体も問題だが、それが王城の最深部へ堂々と存在するのが非常事態だ。しかも十三年前は確かにこんなのがなかったのに。
「これはどういうことですか? まさか安息領が王城に?」
「いや、それは違う。安息領とは関係ないのは確かだ」
「原因が判明したのですか?」
「そうだ」
父上はそう断言したが、前に進むことも説明もしなかった。ただ真剣な顔で通路の向こうを睨むだけだった。
父上が口を開くまでには一分ほどかかった。
「ケイン。結界のある所まで行くぞ」
「なぜですか? いいえ、それより危険です。私はもちろん、父上も接近してはいけません」
「大丈夫だ。何の問題もない。この父を信じろ」
父上はそうおっしゃるだけだった。普段は何でも具体的に説明する御方なのに。
……まさか。
「父上。何を企んでいらっしゃるのですか?」
「疑うのは理解する。だが隠そうとしてるのではない。ただ説明するのが複雑だからだ。信じがたい話だと思うしな」
「説明をしてください。信じるかどうかの判断は私がします」
「歩きながら説明する。ただ一つだけ約束してくれ」
父上はこれまでにない真剣な目で私を見た。なんとなく必死な感じさえするほど。
「結界に直接触れるな」
「そりゃ邪毒の結界に直接触れるようなバカなことをするつもりはありませんが……なぜですか?」
「お前も直接見れば結界の特性を分析するだろうが、接触すれば内部に吸い込まれる可能性がある」
そうか。邪毒の結界に吸い込まれては何に遭うか分からない。適当な判断だろう。
しかし単純に安全だけのためなら、そのまま接近しなければいい。それでも今こんなに私を連れてそこに向かうというのは理由があるだろう。たとえばいつまでも放置しておけない事情があるとか。
とにかく直接見れば分かることだ。私自身の能力と父上の能力に対する信頼を土台にそのように判断した。
進むほど結界の力が濃く感じられ、……それに比例して結界の具体的な特徴も次第に理解した。ついに到着して結界を直接目で見るようになった時、その感じが極大化された。
通路の先にあるのは真っ黒な邪毒の壁だった。確認のため結界の糸を伸ばして結界を少しでも分析し、眉をひそめた。
「これは……どういうことですか?」
「余もそれは知らない」
一応質問をしてみたが、父上も心から知らない様子だった。
結界にはどこかバルメリアの結界術に似たところがあった。まるでバルメリアの結界術がはるかに強力で高次元的な形に進化したようだ。
邪毒のため正確な構造を判別するのに多少問題があったが、この程度の魔力量と魔力の流れならある程度は把握できる。
「この壁自体はただの侵入を防ぐ防御結界に過ぎません。ですが内部から他の力が感じられます。邪毒の撹乱でそれが何なのかはわかりませんが」
「余のと同じ診断だな。余がなぜお前を呼んだのかも理解できるか?」
「……はい。お手伝いできる人は私しかいませんでしょう」
この場所自体が禁止区域だ。こんな場所にこんな結界があるということを公開することはできないから、大人数を動員することはできないだろう。
圧倒的な力で無理に結界を破壊するのも論外だ。不可能ではないが、その程度の力を使えば外部に確実に公開されるしかない。最悪の場合、王城テロと間違えれば物事が複雑になる。
しかし、結界が私たちバルメリア王家の結界術と類似した様式なら他の方法がある。
「いくら強大であってもバルメリアの様式である以上、同じ結界術の熟練者であれば技術的に結界を解体することができます。しかしこの程度の結界だと一般的な結界術師には不可能……結界術を強化する始祖武装『覇王の鎧』くらいは必要です」
「正確だ」
父上は嬉しそうに頷いた。
現在、バルメリア王家で『覇王の鎧』を覚醒させたのはたった二人だけ。私以外の一人が、まさに二つの始祖武装をすべて覚醒させた父上だ。
もともと継承順位がかなり低かった父上は、二つの始祖武装をすべて覚醒させただけですべての権力構図を覆して国王になった。そしてそれに相応しく強力な結界術能力を備えていらっしゃる。それでも一人ではできないほどこの結界が強力だということだね。
「父上の意図は理解しました。それではそろそろ始めましょう」
「ああ。中心は余が引き受ける。お前は隣で補助しなさい」
「はい」
私と父上は同時に『覇王の鎧』を顕現させた。結界の糸が邪毒の結界に接続され、次第に邪毒の結界に私たちの糸の線が広がっていった。
結界の構造を解析し、侵食して強奪する。単に解除するのではなく、まずは制御権をある程度奪って内部の力を究明した上で完全な解消を狙う。何かを誤って触って結界の力が暴走したりすれば大惨事が起きるだろうが、私と父上ならそのような愚かなミスはしない。
しかし状況が悪化する要因がミスだけではないという当然の真理が私たちの前を遮った。
【何か企んでいるのは知っていたが、なかなか建設的な妨害工作だ】
急に頭の中で声が響いた。
「何者だ!?」
「無視しなさい。我々はやるべきことだけやればいい」
父上は突然の声をきれいに無視して解釈を進めた。
まさか父上はこの声の正体を知っているのか?
一方、声には妙な笑い声が混じっていた。奇怪に変調された声で笑うともっと耳障りな音がするね。
【息子の力を利用すべき立場でありながら、息子を守るための苦肉の策か。悪くないが足りない】
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