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決着の次に向かって

 幾多の斬撃の乱舞が水の軍勢を瞬時に殲滅した。〈五行陣・火〉の勢いは衰えずそのままタールマメインに殺到した。


 ――『水源世界』専用技〈断絶水壁〉


 巨大な水の壁が盛り上がった。『バルセイ』では破壊不可能な無敵技だった壁。〈五行陣・火〉はその壁まで破ってたけれど、それでも強力な防御壁であるだけに今回は斬撃の勢いと魔力が大きく減った。


 ――自在水芸〈無限回天〉


 無数の水の武具が現れて回転した。まるで〈五行陣・火〉の斬撃をすべて受け流そうとするかのように。その程度の数ですべて処理することはできなかったけれど、斬撃の軌道を外して他の斬撃とぶつからせることでさらに数を減らした。おかげでタールマメインは致命傷を免れた。それでも斬撃の一部が到達して怪我をさせたけれど。


 まぁ、〈五行陣・火〉は一撃の威力より物量に特化した技だから。こうなることもあるだろうね。


 タールマメインは追撃する私を迎撃しようとするかのように大きな水槍を作り出した。


「――させない!」


 その瞬間、遠くから巨大な魔力が凝縮された矢が飛んできた。それが水槍を一撃で破壊した。アルカだった。


 そこをちらっと見ると、安息領の兵士たちが全員制圧されていた。予想より早いわね。しかも先ほど発射した矢にはタールマメインの魔力が混ざっていた。それが水槍の魔力を奪って無力化したため、槍は復旧しなかった。


「手伝います、お姉様!」


 ――アルカ式射撃術奥義〈九頭の竜〉


 九本の矢が飛んできた。大砲のような威力が周りの水を吹き飛ばし、タールマメインを攻撃した。ごついけど威力だけは恐ろしいそれをタールマメインは〈断絶水壁〉で防いだ。防がなければ一撃で死んでもおかしくない威力だったから。


 けれど〈断絶水壁〉は彼にも大きな力を消耗しなきゃならない防御技。当然私の方に対応する力が減るしかなかった。


 ――天空流〈フレア〉


 最速の斬撃がタールマメインの肩を深く切った。水槍で受け止めながら速度と威力を削ったおかげで、私が意図したより傷が浅かった。けれど戦闘に十分影響を及ぼすほどの負傷だった。


(とど)めよ!」


 ――テリア式天空流『邪毒の剣』専用技〈赤月の影〉


 超熱の斬撃が水と大地を切り裂いた。


 タールマメインは強力な水の壁と水槍の軍勢で防御を試みた。けれどイシリンの力が集約された斬撃はそのすべてを突破し、タールマメインの右肩に食い込んだ。切り取られた右腕が宙を飛んだ。


 その隙に私はタールマメインの目の前まで突っ込んだ。


「暴走した時のジェリアはこれくらいの攻撃なんか簡単に対処したのにね」


 タールマメインは左手だけで水槍を振り回し、剣撃を防いだ。


「防げられなかったのだと思ったか?」


 その瞬間、私の足もとから水槍が湧き出た。それだけでなく四方から水が宙に飛び上がって多様な武具を具現した。物理的な攻撃だけのためじゃなく、お互いに共鳴して複雑な魔力場を形成する包囲陣だった。


 笑いが出た。


「お粗末な罠ね」


 ――アルカ式射撃術奥義〈九頭の竜〉


 アルカの支援射撃が一帯を揺るがした。水の武具の半分が消滅した。でもすべて消滅させるには魔力場が強力すぎて、武具はあっという間に復旧した。


 でも復旧に若干の時間がかかった。私にはとてもいい隙が。


 ――天空流奥義〈五行陣・水〉


 水の軍勢と魔力場をすべて吸収した。


 いや、全部じゃないね。タールマメインもすでに予想していたのか、半分くらいは外から召喚した水だった。魔力場は〈五行陣・水〉の力に無力化されたけれど単純に数が多い。アルカの支援射撃が水の軍勢を減らしたけれどすぐ復旧した。


 ふん、数だけの攻撃なんて。


 ――天空流奥義〈五行陣・木〉


〈五行陣・水〉で集めた魔力に私の魔力まで加えて絶対の斬撃を放つ。


『水源世界』の魔力強奪も、強力な魔力で強化された水の武具も。〈水源世界〉の大地ごとすべてを切り裂き、タールマメインの右肩から股間まで一直線に切断した。


「がは……!?」


 タールマメインは『水源世界』の力で血を操り、再び体をつなげようとした。それと同時に水を操縦して私を牽制することは立派な制御力だと言えるだろう。


 けれど体の再生に力を割らざるを得なくなった時点すでに勝負は決まっている。


 ――紫光技〈七柱の牢獄〉


 タールマメインを囲む形で七本の魔力柱が展開された。それらがお互いにつながって巨大な魔力の檻を形成した。


 私が使える最も強力な封印技。さらに紫光技の特性模写で魔力を霧散させたり封じることに特化した特性を付与した。重傷を負った今のタールマメインならこれに対抗できない。


「しまっ……」


 タールマメインが言葉を終える前に牢獄が完成した。強力な封印の力が彼を完全に拘束した。


 ――紫光技特性模写『封印』


 特殊な力が魔力の牢獄を圧縮した。タールマメインの本来の体躯より小さい大きさまで圧縮されたそれはやがて私の手でも握るほどの大きさの宝石になった。


 原理は少し違うだろうけど、安息領がレースキメラを携帯するのと似た方式。宝石の封印を解除すればタールマメインを取り出すことができるけれど、内部はほとんど時間が止まったのと変わらないから中から脱出することは不可能だ。


 タールマメインが封印されたことにより〈水源世界〉も消滅し、元の世界が戻ってきた。『水源世界』の雨も止んだ。


「お姉様!」


 私の胸に飛びつくアルカを軽く抱きしめてくれた。アルカはしばらく気持ちよく笑ったけれど、すぐ真剣な顔に戻った。


「トリアを助けに行きましょう!」


「もちろんよ」


 安息八賢人を制圧するのがボス戦に他ならなかったけれど、そもそも私の第一の目的はアルカとトリアを救出すること。トリアを救い出せなきゃ意味がない。


「ジェリアの方も勝ったみたいだし、早く行こう。これからは時間との競争よ」


「はい!」


 私たちはすぐに支部の建物に突入した。


 もう少しだけ待ってね、トリア。

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