逆転と逆転
「くっ……!」
わき腹の傷は浅かった。けれど魔力場の力が私を押し出した。その直後、凝縮された『獄炎』の力を槍が耐えられず消滅したけれど、タールマメインは引き続き水槍を握って〈穿孔水流〉を放った。
〈万物穿孔〉の本体が作り出す槍に比べると貫通の力は弱い。だけど平凡な水槍に〈万物穿孔〉の力を宿すのだから、一つが消滅しても作り直して〈穿孔水流〉を放ち続ければいいだろう。
もちろん放っておくつもりはないけど。
「ふん!」
折れた魔力剣を捨て、右拳を〈万物穿孔〉の槍に打ち込んだ。その間に〈穿孔水流〉が脇腹に刺さったけど無視した。どうせ凝縮された『獄炎』の魔力で歩く太陽のような存在になった私には擦過傷しか負わせない。
〈万物穿孔〉の槍が蒸発した直後、新しい水槍が〈万物穿孔〉の構造物の中に形成された。でもそれが発射される前に私の方から先に突進した。タールマメインの〈穿孔水流〉が超高速で何度も放たれたけれど、『獄炎』の魔力で輝く体で受け止めながら前進した。
ついにタールマメインを拳で殴れる距離まで接近した瞬間――私は〈五行陣・水〉を解除した。そして私の体に入れておいた『獄炎』の魔力をすべて解放した。
「うっ!?」
熱気が大爆発した。〈五行陣・水〉が掌握した領域よりも広い範囲を太陽のような熱気が燃やし、地の水と雨が蒸発した。〈万物穿孔〉の水の構造物とタールマメインが召還し続けていた外の水もすべて蒸発した。
けれどタールマメインはむしろ目を輝かせた。
――『水源世界』専用技〈大源流〉
〈五行陣・水〉を解除したということは、すなわち〈水源世界〉の力を活用できるということ。タールマメインの魔力が莫大な量の水を具現するのが感じられた。
解放された『獄炎』の魔力の領域の中では水が存在できない。けれど大量の水が生成されるやいなや蒸発することを続ければ、熱気も早く冷めることになる。それを通じて『獄炎』の領域を弱化させるのが目的だろう。
もちろん私も黙ってはいなかった。『天上の鍵』と邪毒の剣を召喚し、直ちに斬撃を放った。するとタールマメインはどこかから取り出したナイフで自分の手のひらを切った。
――『水源世界』専用技〈血源魔装〉
タールマメインの血が長い槍を作り出した。
血はその人の魔力が大量に凝縮された最も強力な媒介体。水槍とは異なり、血の槍は『獄炎』の領域内でも蒸発しなかった。
――自在水芸〈両方旋回〉
それぞれの方向に回転する槍刃と槍の柄が双剣を受け流した。その後も私は攻撃を続け、タールマメインは血の槍を様々な武器に変えて攻撃に対応した。全体的な状況は私の方が攻勢だったけれど、〈五行陣〉と関連した大きな技を放とうとするたびにタールマメインの神妙な自在水芸が隙を狙った。
そのようにしばらくの互角が続く間、『獄炎』の魔力が消えた。そもそも技で縛ったのじゃなく、ただ大量の魔力を一度に放出したに過ぎず、タールマメインの〈大源流〉が引き続き『獄炎』の魔力を相殺したから仕方ないだろう。
状況が変わった瞬間、タールマメインが先に動いた。
――自在水芸『水源世界』専用技〈水葬閃〉
血の槍の斬撃が走った。私じゃなく、私の周りの土地に向かって。私を包むような形で大地に傷痕が刻まれ、その傷痕から津波のような勢いで水が噴き出した。そうする一方、再び降り始めた雨が水槍に変わって私を牽制した。あっという間に私の周りに水がたまった。
タールマメインは私の心臓をまっすぐ狙った。それ自体は剣で防いだけれど、その瞬間血の槍から強力な魔力が噴き出した。
――『水源世界』専用奥義〈水葬暴挙〉
血の槍の刃先を中心に魔力が揺れた瞬間、私の足元の地面が消えた。
いや、ただ消えただけじゃない。突然地面が完全に消え、巨大な穴ができたのだ。強力な力が私を穴の中に引き寄せ、水が私を閉じ込める牢獄になった。
平凡な〈水源世界〉の水じゃなかった。魔力を強奪する機能が極端に強化された水だった。その水でできた巨大な水たまりに対象を水葬させて魔力を封じて溺死させること、それが〈水葬暴挙〉だ。
〈五行陣〉の技を使おうとしても今私は水中。水の抵抗のせいで普通に速度が出ない。その上、極端に強くなった魔力強奪が魔力をあっという間に奪ったせいで〈五行陣〉をまともに発動することさえ不可能だった。上に上がろうとしても私を引き寄せる力と上から押さえつける血の槍が脱出を阻んだ。
「そのまま眠れ。お前の魔力は俺様が有用に使うぞ」
タールマメインの声が水中に響き渡った。
ふん。どうやら私のことを単なるテクニシャンだって思っているようね。それが錯覚だということを悟らせてあげる。
――『万壊電』専用奥義〈滅界雷電〉
体内で凝縮した『万壊電』をそのまま放出した。
普通なら魔力を放出する技は〈水葬暴挙〉の水たまりにそのまま吸収されるだけ。けれど〈滅界雷電〉はそんな〝普通〟とは格が違う。世界を滅ぼすという名前に似合うほど規模も威力も本当にすごいし……今の私が使っても小さな国一つくらいは一撃で滅ぼすことができるから。
暴れる雷電が〈水葬暴挙〉の水たまりを完全に吹き飛ばした。おまけに私を押さえつけていた血の槍の前の部分も。
「なっ!?」
タールマメインは珍しく当惑した。
まぁ、私からはむしろこの程度で済んだことにもっと驚いたけれども。やっぱり〈水葬暴挙〉というか。小さな国を滅ぼすほどの力をただ水たまりの水を全部消滅させる程度に抑えちゃったから。そうだと思って大げさな奴を取り出したんだけれども。
タールマメインは当惑しながらも無数の水槍を作り出し、私はそんな彼に飛びかかった。
――天空流奥義〈五行陣・火〉
炎のように広がる斬撃の暴風とタールマメインの水の軍勢が激突した。
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