最初のラスボスの決着
何度目かわからない一撃をいなし、魔力の鎖と〈五行陣・金〉の力でジェリアの動きをほんの一瞬封鎖した。
それで作ったのはほんの一瞬の隙間に過ぎなかったけれど、それで十分よ。
――トリア式融合技〈傀儡の渦〉
――極拳流奥義〈双天砕〉
――ハセインノヴァ式暗殺術奥義〈次元交差斬り〉
――『灰色の猿』専用結火剣術〈紅蓮の鎖〉
――天空流奥義〈空に輝くたった一つの星〉
トリア、ロベル、シド、リディア、アルカ。そして騎士隊と魔導兵団まで。みんなの攻撃とバックアップがジェリアに浴びせられた。
ジェリアが〈冬天世界〉を剣に凝縮したおかげで、戦場全体を支配していた酷寒の魔力と吹雪が消えた。おかげでみんなが負傷をある程度回復し、戦線に復帰する余裕ができた。
でもジェリアは剣を一度振り回すことでそのすべてを振り払った。強烈な魔力の衝撃波と吹雪がみんなを荒らした。トリアの〈傀儡の渦〉がジェリアの力を一部受け流したけれど、すべて処理するには膨大すぎた。
「みんなバックアップとサポートに集中してね!」
ジェリアが他のみんなを追いかける前に私が先に突進した。ジェリアも最優先目標を間違えないかのように再び私に注意を集中した。
『冬天覇剣』に圧倒的な魔力が集束されるのを感じた。『冬天覇剣』自体が持つ力に〈冬天世界〉の魔力が加わり、そのすべてが一つの刃で鋭く製錬されていた。
おそらくこれは今のジェリアの最強の一撃。ラスボスの権能と力が集約された、『バルセイ』でも最も脅威的な攻撃パターンだった最後の全滅技。
それに対抗する私が選んだのは正面対決だった。
〈五行陣・金〉の目が私自身をくまなく解剖した。自分自身のすべてを解明し、自分が持っている力と武器の底を目の前に広げて見せた。
そして選択する。本来ならあまりにも希薄な確率のせいで実現可能性のない道を。
『天上の鍵』に宿る浄化神剣の力と、素顔を取り戻し最大に発揮される邪毒の剣の力。本来なら決して混ざるはずのない二つの力が一つに融合した。自分自身の限界を越える制御能力を具現し、混ざり合わない二つの力を混合し、それをさらに回転させ極限まで凝縮し、安定できない力を強制的に安定化させた。
有り得ない現象。できるはずのない技。不可能なレベルの圧縮。そのすべてを〈五行陣・金〉の力で一つ一つ実現していく。
一寸だけ間違っても、誤った可能性を選択してしまう瞬間私自身が〈五行陣・金〉の力で消滅する。そんな危険さえ甘受する絶技を今この場に。
私たち二人の準備が同時に絶頂に達し――私たちは完全に同時に力を解放した。
――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用終結奥義〈冬天の証明〉
――テリア式天空流終結奥義〈真 太極〉
ジェリアが放ったのは〈冬天世界〉のすべてが圧縮された極寒の怒涛。
私が放ったのは白黒の力が一つの線に圧縮された突きであった。
世界の重みを突きが壊して暴く。究極の突きを極寒の世界が圧倒し散らせる。圧倒的な魔力の激突が暴風を起こした。カラオーネ砂漠の砂が爆発するように舞い散った。
周りを見回す余裕はない。〈五行陣・金〉のすべての力を〈真 太極〉の具現だけに注ぎ込み、死力を尽くして集中しなきゃならなかったから。ただみんなが余波に耐えてくれることを願うだけだ。
それにもかかわらず、少しずつ押されるのは私の方だった。
「ッ……はあああああ!」
初めから〈冬天の証明〉に百パーセント勝つことなんて望まなかった。私が望んだのはただ極限の一点突破でジェリアに届くことだったから。
衝突の余波で削られていく体を必死に支えながら前を睨んだ瞬間、ジェリアと目が合った。
理智を失った目に一瞬、光が戻ってきたような気がした。
「ジェリッ……!」
刹那の瞬間、〈冬天の証明〉の勢いがほんのわずかに弱まってきた。
「ッはあああああああああーー!!」
ほんの一瞬、ほんの少し。それだけの隙間だったけれど、全力を浴びせるには十分だった。
〈真 太極〉が〈冬天の証明〉の怒涛に強く食い込んだ。そのまま世界の重みを押しのけて突破して前へ。激しい抵抗に遮られ、力を失いつつも核心だけは失わなかった。
そしてついに突破した突きがジェリアの肩を貫いた。
【がは……!?】
恐ろしい密度の力がジェリアの腕を無力化した。〈冬天の証明〉の怒涛が力を失って散った。
〈真 太極〉の半分は浄化神剣の力。邪毒に浸食された今の彼女には猛毒だ。ラスボスとして力で押さえつけて毒を中和することはできるけれど、彼女にも力のほとんどをそこに割かなきゃならないほど余裕がないのだろう。
私も満身創痍になって追撃をかける余裕はなかったけれど……そもそもそうする必要もなかった。
私にはみんながいるから。
今度こそという勢いでみんながジェリアに力を浴びせた。本来のジェリアなら死んだほど。それでもラスボスジェリアを殺すことはできなかったけれど、彼女の動きをしばらく押さえつけることは可能だった。
その一瞬こそ私にとって最も必要な隙間だった。
――天空流〈彗星描き〉
今できるだけ最速の突進でジェリアに近づいた。まだ腕を癒していない彼女は『冬天世界』の魔力で私を阻止しようとした。けれど〈冬天の証明〉を放った後遺症のせいで力がまともに発揮されなかった。
ジェリアの目の前で彼女に手を伸ばす。
「今元に返してあげる」
――『浄潔世界』専用技〈浄純回帰〉
力を消耗し、一時的に無力化されたジェリアを『浄潔世界』の魔力が優しく包んだ。同時にみんながジェリアに浴びせていた魔力を収めた。
ジェリアを侵食した邪毒が激しく抵抗するのが感じられた。けれど『浄潔世界』の魔力は邪毒を食べるほど強くなり、狂って暴れる邪毒の力は次第に減った。
一分か、一時間か。曖昧な時間感覚の中で、ついにジェリアの邪毒が消滅した。力を失った彼女の体が前に倒れた。私は胸で彼女を受け止めた。
私の胸に顔をうずめたジェリアは小さく呟いた。
「……まったく。君も本当に無謀だな、テリア」
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