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決められたもの

 父上は腕を組んで低くうめき声を上げた。


 呪われた森の浄化は国が狙っている事業だ。まだ事前調査の段階だけど、厳然として公式に進められていることを妨げるというのは敏感な問題だろう。さらに、公爵である父上が直接そのようなことに乗り出すということは大きなリスクがある。


 もちろん、実際にはむやみに妨害するのじゃない。適切な口実で中止を進言することになるだろう。でもそれにしても、そこにどんな意図があってどのような裏工作をしたのかバレる可能性がある。そうなると政治的にかなり面倒になる。


 もちろん不純な意図があるわけでもなく、父上なら何とか口実を作り出して回避できる。けれどその作業自体が面倒だろう。


 父上はしばらく考えた後、再び口を開いた。


「今すぐ何かをしようとしているわけではないんだね?」


「はい。今回、騎士科の現場実習で呪われた森の調査隊に参加するつもりですわ。私も森が強くなった原因を知らなければなりません。その原因が本当に邪毒神なら、それを利用して浄化を取り消させる議論を誘導するつもりでした。むやみに邪魔するのは私のやり方じゃないんですわよ」


「ふむ。ならばまずはその現場実習で助けが必要だね」


 父上は頷いた。


 呪われた森の知識は誰も父上に匹敵することがない。だから騎士団調査隊を私が追い抜くのを手伝うこともできるだろう。そして森が強くなった原因を調べた後、それが私の思った通りなら……政治的なことは父上に押し付けばいい。


 父上もその意図をすべて理解したかのように苦笑いした。


「こんな方向で君を教えた覚えはないけどね。いつの間にか私のやり方を真似している」


「父上の娘ですからね。私はその事実を本当に誇らしいですの」


「後で君が騎士になって高い地位に上がると、その騎士団はいろんな意味で怖い組織になりそうだね。……いい。まずは今度の調査を手伝ってやる。浄化を取り消す計画を助けるかどうか、助けるならどう助けるかはその調査の結果次第で決める。もし原因が君の思ったことと違うなら、そしてやり方が相応しくないと思ったら……その時は新しい方法を一緒に悩んであげる」


「ありがとうございますわ」


 この程度なら、望む回答はすべて得た。そう思った私は純粋な喜びの笑みを浮かべた。


 ……父上と母上はそれを見てかえって苦笑いしてしまったけれども。




 ***




「お久しぶりです、ジェリア様」


「セリカだったか。どういうことでボクに会おうと言った?」


 ボクは修練騎士団の執務室で珍しい顔を迎えていた。


 セリカ・アリエンス。『隠された島の主人』の信奉者だ。彼女と接触したのは主にテリアだったので、ボクは通りすがりに顔を合わせただけだ。ボクにも布教をするのではないかと思って警戒したが、いざそんな方にはほとんど近づいてこなくて意外だった……程度が彼女に対するボクの印象のすべてだ。


「マルコ様がジェリア様に話を伝えてほしいと頼みました」


「マルコ……君たちの幹部だったのか。幹部が出たというのは、また『隠された島の主人』の伝言か?」


「はい、そうです」


「あいつは邪毒神のくせに本当に一生懸命世界に関わっているんだな」


 まったく、こんなに頻繁に部下に話しかけて世界に関わる邪毒神はあいつだけだろう。本来、邪毒神は啓示夢を一度使うことさえ制約にかかるのに。


 セリカは苦笑いした。


「私はあの御方に仕える身ですが、そのお言葉には同意せざるを得ませんね。あの御方は本当に特異な御方です」


「ふむ。それで? あいつの伝言は何だ? ボクと雑談でもしろと送ってはいないだろう」


『隠された島の主人』はテリアに注目している。あいつの真意が何なのかは差し置いても、その中心に常にテリアがあったことは明らかだ。だから今回のことも彼女と関連がある可能性がある。


 もちろんあいつがテリアだけに話しかけたわけではない。いや、むしろ直接話しかけたのはアルカとジェフィスが先だったな。


 しかしだからこそ、あえてこのような形でボクを呼んだ理由がわからない。テリアに煩わしい手段を取ったのは、彼女に啓示夢を見させることができないからだ。ボクには啓示夢を見せることができるのに、あえてこのような間接的な形の伝言に頼る理由がわからない。ひょっとしたら啓示夢に何か制約があるのか?


 ……わからないんだな。どうせ伝言を伝えに来た者が目の前にいるから、あえて一人でよく知らないことを悩む必要はないだろう。


「『主人』がジェリア様に会いたいっておっしゃいました」


「ボクに? なぜだ?」


「理由はマルコ様にも教えてくれなかったそうです。ただ、ジェリア様と会いたいという意思だけを伝えたそうです。そして……お越しになるのが面倒でしたら、『主人』が直接ジェリア様のご希望の場所にお越しいただくこともできるとおっしゃいました」


「……ふむ。分身体でボクと話をしたいということか?」


「その通りです」


 啓示夢を使わずにあえて分身体を通じてやり取りする、か。『隠された島の主人』に限ってはもう不思議ではないが、なぜよりによってボクなのかは分からない。


 だが、テリアも奴をある程度は信じている。少なくとも今すぐには害を及ぼすことはないと思っている。だからこのやり取りに応じる程度なら大丈夫だろう。


「いいぞ。ボクが訪ねて行くようにしよう」


 奴が来ると言ったから呼んでも構わないが、邪毒神の行動半径を広げたくはない。ボクが直接訪ねて行くからといってそれを制約できるわけではないが、少なくとも歩き回る言い訳を作らない程度は可能だから。


 セリカは少し驚いた様子だった。


「本当に大丈夫ですか?」


「呼んだのはそちらだろう」


「ですが……いや、ジェリア様はそんな方でしたよね」


 セリカの言葉に苦笑いした。こいつは別にボクをよく知っているわけでもないのにあんなことを言うんだな。修練騎士団長として活動している間、ボクが自分自身について何か見せられたということだろうか。


 いずれにせよ、決めた以上時間を浪費する必要はない。そう判断したボクはすぐ日程を決めた。

読んでくださってありがとうございます!

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