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戦いの終わりに向かって

 お互いさま。私もテシリタも人間の領域なんてずいぶん前に越えた。


 一瞬にして数多くの攻撃が交差した。テシリタの魔法陣が火と氷と雷電を吐き出し、見えない物理力と特殊な効果を持った光線が私を脅かした。それを私は紫光技の特性模写を利用した多様な特性で相殺し、砕けて散る魔法の透き間へ魔力の斬撃を打ち込んだ。


「は!!」


 ――神法〈魔法創造〉・〈神の傲慢な視線〉


 巨大な目の模様の魔法陣が展開された。その目の視界に入ったすべての魔力が破壊された。私の体にも破壊力が直接襲ってきた。


「くっ!?」


 見えないし、感じもしない。それでも私の体を分解しようとする力があった。魔力で細胞を堅く結束したおかげで怪我はしなかったけれど、全身が破れそうな激痛がずっと感じられた。


 テシリタが次の魔法陣を構築した瞬間、側面からロベルが彼女に飛びかかった。


 ――極拳流〈頂点正拳突き〉


 奥義に近い強力な一撃が目の魔法陣を狙った。けれど。


「丸見えだ」


 テシリタはロベルをあざ笑った。彼女が構築した魔法陣は最初から私じゃなくロベルを狙うためのものだった。


 ――神法〈魔法創造〉・〈天の鎖〉


 魔力の鎖がロベルを襲った。彼は素早く避けた。でも鎖は蛇のように動き、ロベルを追いかけた。彼が撃った魔弾は鎖の表面に触れるやいなや消滅した。


 鎖がロベルを束縛する直前、イシリンの魔法陣がロベルの目の前に展開された。


 ――第七世界魔法〈赤天竜波〉


 巨大で強力な魔力砲が鎖を破壊した。鎖だけでなくテシリタの本体まで届くほど力強い勢いだった。同時に反対側ではイシリンが両手に魔法陣を浮かべたまま飛びかかった。けれどテシリタのあざ笑いの直後、衝撃波がイシリンとロベルを吹き飛ばした。


 私の剣が衝撃波を切り裂いた。小さな隙間だったけれど、依然として〈雷鳴顕現〉で雷になっていた私はその隙間に自分自身を押し込んだ。そして『天上の鍵』に魔力を増幅して集束する機能を憑依させた後、〈雷鳴顕現〉の雷電を『天上の鍵』に凝縮した。


 ――天空流奥義〈空に輝くたった一つの星〉


 剣に集中した雷電の魔力を、憑依された機能がさらに増幅し凝縮した。触れるだけですべてを分解する刃をテシリタに振り回した。


 しかし、テシリタは相変わらず笑っていた。


 ――神法〈魔法創造〉・〈王の星〉


 莫大な魔力を凝縮したたった一発の魔弾が発射された。


 まるでわざと私の一撃に正面から力比べをしようとするような選択。イライラする力自慢だけど、間違った選択ではなかった。テシリタの魔弾は『天上の鍵』に集束された魔力を完全に相殺してもお釣が来た。残りの魔力だけでも私を吹き飛ばすには十分だった。


「くっ……!」


 直撃はなんとか避けた。けれど、テシリタとの距離が大きく開いてしまった。ロベルが私の隙間を埋めようと動いたけど、テシリタの魔法が彼を簡単に制圧してしまった。イシリンは彼を救出しなきゃならなかった。おかげでテシリタは私だけを見つめながら巨大で複雑な魔法陣を展開した。


 魔力の気配から何の魔法なのか直感し、対抗するために魔力を展開した。


 ――天空流〈ホシアメ〉


 ――『天上の鍵』権能発現〈記憶降臨〉


『天上の鍵』の力で無数の能力と逸話を召喚した。


『天上の鍵』が召喚できる〝過去〟は無限。けれど召喚する過去が多くなるほど、当然力の消耗と制御の難しさが高くなる。そして何よりも、その過去を宿すべき『天上の鍵』自体の容量限界のせいで無限な過去を活用することは不可能だ。


 だけど『天上の鍵』本体じゃなく、魔力で作り出した無数の魔力剣に宿るのなら話が違う。


「ほう。面白い活用法だな」


 テシリタは好戦的に笑って私を指差した。


 ――神法〈魔法創造〉・〈暴君の意志〉


 巨大な魔法陣が小さな魔法陣を無数に展開した。


 おそらく、様々な魔法を並列に多重展開させる魔法。限界がどの程度かは分からない。でも少なくとも今の私たちにとって非常に脅威的であることは確かだ。


 巨大な魔法陣が生んだ無数の魔法陣がそれぞれの魔法を吐き出した。様々な効果を持つ攻撃、拘束、精神操作、幻術……考えられるのはほぼ全部飛び出したような光景だった。それに対抗して、『天上の鍵』の権能を喰らった〈ホシアメ〉を展開した。


 魔力剣を撃ち、時には手に握って振り回す。火炎には水を。氷には火を。押さえつける物理力には力場を消滅させる力で対抗し、鈍化の呪いは加速で相殺する。


 降り注ぐ魔法の雨をそれぞれに当たる対抗の魔剣で破壊することを数秒。私の鼻から血が流れ落ち、頭が割れそうな頭痛がした。『天上の鍵』の力を無理に乱用した代価だ。けれど、おかげでテシリタの魔法をほぼすべて相殺した。


 テシリタは目を細めた。


「こんなに戦う甲斐のある相手は本当に久しぶりだ。感謝する、小娘」


「まぁありがとうねぇ!」


 ――天空流〈彗星描き〉


 テシリタに近づくために、私は〈雷鳴顕現〉の雷電をばら撒く彗星となった。テシリタの牽制魔法が雷電の怒涛に消された。それでも強力な防御魔法に突進が阻止されたけど、どうせ私の目的はこの一撃じゃない。


「イシリン!」


 イシリンは直ちに私の呼びかけに答えた。竜人少女の形が崩れ、膨大な魔力が私の左手に集中した。私は左手の栄光の剣を投げつけた。その空席に新しい剣が現れた。


 ねじれた形相。ただ存在するだけで畏敬を抱かせる圧倒的な力。しかしあまりにも不吉で異質なため、手に取ることさえ恐れさせる至高の魔剣。


 今のイシリンの素顔――邪毒の剣。この世界最強の魔剣が私の手から不吉な光を放った。


「それは……!?」


 テシリタは珍しく当惑しながらも徹底していた。すでに構成が終わった魔法が光と魔力を吐き出した。私の左手からイシリンが鼻で笑う音が聞こえた。


 力強く振り回されたイシリンの刃先から至高の魔が溢れ出た。

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