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崇拝する魔女

 相変わらず本気で取り組んでいないわね。


 無理もない。テシリタはすでに私たちの力の大きさを把握しているだろうし、魔力だけではわからない技量も今の攻防で一通り把握しているはずだ。だからこそ自信を持って私を、私たちを見下すのだ。まだ私も全力を尽くしてはいないけれど、たとえ全力を尽くすとしてもテシリタを倒すことはできない。


 しかし、それが私の刃が何の役にも立たないという意味ではない。


「……一つ聞きたいんだけど」


「アァ? いきなり入ってきたくせに、いきなり何だ? 無駄なやり取りで時間を稼ぎたいと思う実力ではないはずだが」


 うわぁ、あれくらいならテシリタにしては私をすごく高く評価しているという意味なのに。


 ゲームの設定を思い出して感心するところだった。ダメ、こういうことで乱れるのはやめよう。


「この工場、最初から空っぽだったのに。何をしたの?」


「あ? それか? 確かに気になることもあるんだな」


 文句を言ってきたくせにテシリタは誠実に答えてくれる勢いだった。堂々と魔法陣をきちんと完成させて挑発してはいたけれど。


「大したことない。敵が近づいてくるのを感知したから全部片付けただけだ。つまらない奴らの命などオレの知ったことではないが、ここはあの御方のために存在する所だから無駄にするわけにはいかない」


 やっぱり手下は全部テシリタが避難させたらしいわね。テシリタの力なら工場全体の人々を空間転移で移動させることくらいは簡単だろうから。慈悲じゃなく、自ら言った通り工場の人材を維持するためだろうけど。


 しかし、それだけでも私には十分に有用な手がかりだった。少なくとも敵の目の前で思念通信を送るほどでは。


「……貴様、たった今思念通信を送ったんだな」


 思念通信まで探知してしまうなんて。かなりうまく隠蔽したのに。テシリタの感知力がこれほどだったのかしら。


 けどテシリタは思念通信をあまり気にしなかった。力で私を制圧し、他の人たちも皆殺せば終わりだと思っているだろう。


 ――天空流〈フレア〉


 何の前兆もない奇襲。けれど、閃光のようにきらめく剣閃はテシリタの防御魔法陣に当たって弾き飛ばされた。テシリタは鼻で笑った。その音に呼応するように、四つの魔法陣がそれぞれ異なる魔法を吐き出した。火、雷電、閃光、そして斬撃。単純だけど威力の高い攻撃が発生し、私の連続斬撃がそのすべてを相殺した。


 ――神法〈魔法創造〉・〈歴史の雨〉


 ――天空流〈ホシアメ〉


 無数の歴史の弾幕に立ち向かって、『天上の鍵』の権能を剣一つ一つに重ねた〈ホシアメ〉を放った。無数の兵器と魔力剣が衝突して壊れた。飛び散る破片をかき分けて突進した私が剣を振り回し、テシリタは盾の魔法で防御した。


 その瞬間、イシリンがテシリタの後ろに現れた。


 ――第七世界魔法〈赤天の軍勢〉


 イシリンの魔力が大量の赤い槍を形成した。テシリタはそっちにも盾の魔法を展開したけど、〈赤天の軍勢〉が盾を乱打するとひびが入り始めた。


 テシリタの表情に興味が宿った。


「ほう。それはまさか?」


「あんた。その魔法、誰に教わったの?」


 テシリタが口を開いたのがチャンスであるかのように、イシリンは彼女を睨みながら言った。テシリタは意気揚々と笑った。


「筆頭がオレに伝授してくれたのだ。オレが仕えるたった一人の邪毒神の力だぞ。すごいんだろう?」


「それが誰の力か知っている?」


「もちろん。……おっと」


 やり取りの隙を狙ってロベルが〈頂点正拳突き〉を放ったけれど、テシリタは一瞥すらせず盾の魔法で防いだ。その直後、私の〈三日月描き〉が放たれたけれど……。


 ――神法〈魔法創造〉・〈斬撃複製〉


 テシリタは魔法で〈三日月描き〉をそっくり複製した。二つの斬撃が互いに相殺され、テシリタはため息をついた。


「せっかちだな。今話しているんだろう?」


 ――神法〈魔法創造〉・〈星空の雨〉


 ――天空流〈半月描き〉


 テシリタの無数の魔弾を吸収した。その魔力が剣に宿り、巨大な刃を作り出した。それを振り回すとテシリタは眉をひそめ、魔力砲で相殺した。


 そんな中でもイシリンはテシリタに話しかけていた。


「その筆頭って奴は正体が何?」


「盛んに戦っている中で何をしている。やり取りで注意を引いてみるというのか?」


 テシリタは舌打ちした。彼女が指パッチンをすると、突然上に巨大な魔法陣が現れた。魔法陣から飛び出した鎖が私たちを拘束した。


「まぁいい。他のテーマだったら応じる気なんてないが、あの御方の話なら話が違う。慈悲を施す、黙って聞け。聞いて敬拝せよ」


 テシリタは本当に戦闘さえ中断し、話に集中する態勢だった。


 これが『崇拝する魔女』の一面。残酷で傲慢だけど、自分が仕える存在について話すと変な活気に満ちてくる。まるで好きなことについて熱心に騒ぐ子どものように。依然として今にも戦闘を続行できるよう魔法陣を構成しているけど、それを直ちに発動する気配はなかった。


 テシリタから情報を調べるつもりは特になかった。でも安息八賢人の筆頭のことも、テシリタの魔法……神法の根源も。『バルセイ』に出たことのない情報だ。今度こそ私さえ知らない情報がわかるかもしれない。そう思って黙って聞いた。


 ……しかし、それは非常に苦しい過程だった。


「オレがあの御方に初めて会ったのは二百……いや、三百年だったっけ? よく覚えていない。とにかくあの御方を初めて見た瞬間から……」


 長い!!


 テシリタの話は長くて無駄だった。筆頭に初めて会った時にさかのぼって、あらゆる話をペラペラしゃべり始めたのだ。筆頭がどんな奴なのか少しでもわかる話ではあったけど、これはまさにオタクマシンガントークの悪い例だった。耳から血が出る気分だけど。


 ロベルも少し呆れたような表情だった。真剣に聞いていたのはイシリンだけだった。


「無駄な言葉が長すぎるわよ」


「アァ?」


 イシリンの言葉にテシリタが怒ったけど、イシリンは後に続いた言葉で彼女を落ち着かせた。


「筆頭という奴についての要点だけ言いなさい」


 テシリタはニヤリと笑った。


「いい。あの御方がどんなに偉大な御方なのか注入してあげる、よく聞け」


 ……これも長いだろうね。

読んでくださってありがとうございます!

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