新しい装備
奴が咆哮して突進してきた。
大きくて重い体が疾走するだけでも地面が揺れる感じがした。しかも速度も速くて、あいつはあっという間に僕の目の前まで近づいた。
――極拳流〈一点極進〉
奴と同じタイミングで拳を突き出した。さっきと同じ技だと気づいたらしく、奴が鼻を鳴らしたような気配がした。
見下しては困るよ。
――『虚像満開』専用技〈幻影実体化〉
幻影で構成したブースターが攻撃を急加速させ、拳を包んだガントレットが炸裂の瞬間に実体化した。それだけでもさっきとは威力が変わった〈一点極進〉が奴の拳を潰した。
「クソ!?」
慌てた奴の腕を足で蹴上げた。やはり〈幻影実体化〉で具現した道具で速度と硬さを強化した蹴りだった。腕が跳ね上がって奴に隙ができた。
隙間だらけの体に赤い標識を一握り浮かべた。浴びせられる弾幕が容赦なく奴を叩いた。
その間、僕は袖に隠されたブレスレットと首のチョーカーに魔力を吹き込んだ。そして『虚像満開』の魔力を全身にまとった。
――『虚像満開』専用技〈ロベルスーツ〉
……恥ずかしい名前だが、僕がつけたのではないから仕方ない。
僕の全身に現れたのはまるで燕尾服をアレンジしたような黒いボディスーツ。それがブレスレットとチョーカーの形をした魔道具と共鳴した。『虚像満開』の幻想だが、スーツからは明らかな質量と質感が感じられた。
恐縮にもテリアお嬢様が考案し、ご主人様が作ってくれた魔道具と『虚像満開』の魔力の融合からなる〈ロベルスーツ〉。名前はこうでも効果は強力だ。
瞬間移動を彷彿とさせる速さで、魔弾の弾幕をいっぱい撃たれている魔物の後を取った。
――極拳流〈一点極進〉
今度は魔力を足に集中して奴の背中を蹴った。蹴りの衝撃が奴を前に倒し、射撃組の弾幕が奴の顔に浴びせられた。続いてつま先に魔力を集めて再び振り回した。
――極拳流〈刃蹴り〉
蹴りの風圧が刃となって奴の肩を切った。傷自体は浅かったが、傷ついたという事実自体が奴の当惑と怒りを誘った。
「グワアアッ!」
ぱっと立ち上がった奴が僕に飛びかかった。しかし僕の標識に向かって飛んできた魔弾が奴の腕の軌道をそらした。僕は姿勢が崩れた奴のあごをぶん殴った。奴はまた飛ばされた。
そのすべての攻撃ごとに、〈ロベルスーツ〉が変形しながらブースターや鎧などの形状で攻撃を補助した。
これが〈ロベルスーツ〉の能力。一瞬の実体化に過ぎない〈幻影実体化〉の維持時間をもっと増やし、スーツの幻影が実体化するタイミングを自由自在に調節できる。
だが本質は幻想であるため、その形態は変換資材である。そこに自由な〈幻影実体化〉の力が加わり極限の活用度を誇る。特性の直接戦闘能力が低い『虚像満開』の短所をむしろ長所に昇華させる形態。このアイデアをくれたテリアお嬢様にはいくら感謝しても足りない。
もちろん、これ一つで簡単に討伐できるほどの敵ではない。
「キャオオ!」
邪毒の霧が魔物の腕を覆った。それは邪毒の塊となって魔弾を消滅させた。しかもそれ自体が攻撃範囲を大きく拡張する要素となった。
「くっ」
〈ロベルスーツ〉で盾を形成した。奴の攻撃をいなすつもりだった。ほとんど意図通りにはなったが、いなす時の衝撃で腕がしびれた。その上、隙を与えずに邪毒の真っ黒な火の玉が飛んできた。
――『虚像満開』専用技〈偽りの盾〉
瞬間的に実体化させた虚像の盾で火の玉を防いだ。盾は完全に邪毒の火の玉に飲み込まれて侵食されたが、いずれにせよ一時的に実体化した幻影。すぐに廃棄し、魔物に向かって跳躍した。
――極拳流〈頂点正拳突き〉
莫大な魔力を凝縮した拳を放つ。
スーツのブースターまで加わった一撃で、奴の腕一つを破壊するつもりだった。でも奴は短い息を吐き、いきなり邪毒の霧を拳に集中した。
……まさか!?
拳と拳がぶつかり――魔力が相殺された。
「この……!」
驚愕しながらも、すぐに〈刃蹴り〉を放った。でも奴は再び邪毒を凝縮した拳で〈刃蹴り〉を相殺した。奴の行動を制約するための援護射撃は再び拡散した邪毒の霧に阻まれた。
もう一度飛んでくる拳を避け、僕は確信を得た。
こいつ、極拳流のコツを真似してる……!
魔力を一点に集中して破壊力を極大化するのが極拳流の特徴。奴は僕と戦いながらその根本的な特徴を吸収したようだ。さらに力を凝縮する時と拡散する時を明確に区分して扱っていた。
力も力だが、知能のレベルがザコの魔物たちとは違う。
幸いなことに、僕たちの戦いの余波と騎士さんたちの奮闘のおかげで、今この戦いに他のザコは割り込めずにいるということ。この状況が崩れてしまう前に奴を確実に始末しなければならない。
――『虚像満開』専用技〈雷神の偶像〉
僕の後ろに巨大な女神の上半身の虚像が現れた。同時に巨大な魔槍数十本の幻想を魔物の上に浮かべた。〈幻影実体化〉で実体化した魔槍が奴の手足に集まった邪毒の霧を霧散させた。直後〈雷神の偶像〉が巨大な雷電の槍を投げた。
一発、二発、三発。繰り返し発射された雷電の槍が雄大な雷に変わった。実体化したのはほんの一瞬だったが、その一瞬が重なって奴の体の表面を燃やした。奴がうめき声をあげてふらついた。
しかし跳躍して奴の頭を蹴飛ばそうとした瞬間、奴の体から邪毒が噴き出した。それはあっという間に巨大なハンマーの形に変わり、僕を打ち下ろした。直後奴の拳が僕を殴り飛ばしてしまった。
「ぐはぁっ!?」
僕は飛ばされてしまったが、お礼に〈雷神の偶像〉の雷電槍と赤い標識射撃をセットで食わせた。おかげで奴の追撃を防ぐことができた。
……でも、今回はかなり打撃が大きい。
血が流れる口元を指で拭きながら、僕はしばらく物思いにふけった。
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