それなりの結論
……少し申し訳ないほど冷たい声が出てしまった。でも私の意思は明確に伝わったのだろう。
冷たい態度で立ち上がったけど、マルコは依然として穏やかに笑っていた。
「ご武運を。貴方にあの御方の世話が共にありますように。たとえ貴方が望まなくても」
「……それは呪いですけれども。ところで、最後にもう一つだけ聞きます」
実は聞きたいことがとても多い。でもマルコの態度はさておき、まともな答えを聞けるような質問がほとんどない。多分マルコも知らないだろうから。
今から聞く質問にもある程度答えは予想しているけれど、確認はしておかないとね。
「貴方たちは『隠された島の主人』と直接コミュニケーションできますの?」
「あの御方の啓示はいつも一方的です。啓示夢であの御方が直接お越しいただき、私たちの話を聞いてくださる場合には私たちも意思を伝えることができますが、私たちが先にあの御方に話を求めることは不可能です」
やっぱりそうだね。
確かに、もしこっちから邪毒神と連絡することができれば、安息領もより過激で直接的な方法で邪毒神を引き入れたはずだ。長い間、邪毒神を崇拝してきたあいつらにもできないことを信奉者たちにできるというのも不思議な話だし。
一方、マルコの言葉はまだ終わっていない。
「ですが、あの御方は本当に助けが必要な者を絶対に無視しません。先に声を上げる方法がなくても、切に救いを望むならいつも手を差し伸べてください。だから心配は要らないのです」
「特に心配なんかしてませんわよ。とにかく、お返事ありがとうございます。予定もない突然の訪問でごめんなさい」
「いいえ。予定ならもう『主人』が決めてくださいました」
「そんなことまで恩を主張するつもりですの? ……ふむ。有意義な時間ありがとうございました。それじゃ」
私はロベルを連れて部屋から出た。マルコは穏やかに笑って私たちを見送るだけだった。
私たちはわざと姿を隠さず堂々と歩いた。どこかから奇襲でもかけてくるのじゃないかと内心緊張したけれど……そんな気配は全くなかった。むしろマルコの護衛たちがその間に話を広めたのか、私たちを見るやいなやぺこりと目礼する人が多かった。
そうして私たちは集会場を抜け出して、あらかじめ待機させてくれた馬車に乗り込んだ。その時になってようやくロベルが口を開いた。
「あの男の言ったことがすべて事実でしょうか?」
「全部信じるつもりはないわ。結局は邪毒神に心酔しただけの人だから。けれども……」
しばらく、馬車の窓の外に視線を向けた。遠ざかっていく集会場の建物は一見平凡に見えた。実際、集会場自体は特に特別なものじゃなかった。その上、邪毒の気や関連魔道具が多い安息領のアジトとは異なり、信奉者たちの場所には邪毒の気もなかった。知らないうちに普通の集団だと思うほど。
でも彼らの……いや、あの邪毒神の特別さはそんなものじゃなかった。
「意図はともかく、かなり大事なことを知っているということだけはわかったわ。それをどう活用するかは分からないけどね」
「確かにそうですね。重要な情報があるということは、それで何をするかが重要だという意味でもあります。その点で、あの邪毒神は爆弾のような存在かもしれません。何を狙っているのか分からない奴が情報を握っているのはとても不安です」
やっぱりロベルも私と同じ考えをしているね。
それでも安心できる要素……と言えるかは分からないけど。あいつがジェフィスを通じて言った言葉の中に明らかに、〝今回は私が助けることはできない〟という言葉があった。ということは少なくとも今回のことであいつが直接介入しないということだろう。
……その言葉自体が嘘だと言えば話は変わるけれど、そんなことまで一つ一つ心配してはきりがない。もちろん可能性は念頭に置いておくけど。
[イシリン、貴方はどう思う? この前はあいつに妙な親しみを感じると言ったじゃない?]
【そうだけど、貴方の考えも一理あると思うわよ。元邪毒神である私が言うのもおかしいけれど、邪毒神というのは実際に信じられない奴らだから】
[貴方が言うとすごく心に響くわね。ところで、良い邪毒神って本当にないの?]
マルコの言うことを真似しているわけじゃないけど、邪毒神という理由だけで悪だと断定するのは難しいだろうから。イシリンという事例もあるし。
でもイシリンの声は否定的だった。
【優しい奴らは意外と多いわよ。この世界の外はね。けれど、その善良な奴らはこの世界に関与しないの。この世界が自分たちを受け入れないということをよく知っているから。世界がここだけにあるわけでもないし、他の世界の中にはこの世界と違って異世界の存在を断らずに受け入れる所もあるよ。あえてこの世界に執着する理由もないわね】
……異世界とか言うのにはちょっと驚いたけど、考えてみれば私も厳然と日本からこの世に転生した人だね。他の世界がもっとあってもおかしくないだろう。
それよりイシリンの言葉通りなら、あえてこの世界に関与しようとする邪毒神の奴らがさらにけしからん。いったい何をしようとしているのよ、あいつらは。
【優しい奴があえてこの世界に関与しようとするのなら、邪毒の副作用を甘受してでも成し遂げなければならない目的がある場合なんでしょ。今までそんなケース見たことないけどね】
……そういうことなら、いっそ善良な邪毒神なんていないと思った方が現実性があるだろう。
今はこれくらいで整理すればいいだろう。結局やるべきことは変わっていないけど、『隠された島の主人』の意図について悩むことができただけでもかなり有益だった。
「ロベル、しばらく信奉者たちを注視する人員を配置してちょうだい。多い必要はないし、ただ主要な近況を報告してもらう程度でいいの」
「かしこまりました。すぐに人を選びます」
よし、次に進もうか。
揺れる馬車に身を委ねて、私は今後のことについてまた考え始めた。
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