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次に向けた準備

「ところでさ、今さら言うことではなさそうだけど」


 ジェフィスはいっそう冷静な顔で尋ねた。


「その夢が本当に起こることだろうか? 君も正確な推移を把握したわけではないと言ったよね?」


 本当に今さらだね。


 でもまぁ、妥当な疑問ではある。啓示夢とは基本的に邪毒神の仕業だから。邪毒神が見せるものを無条件に信じるのはバカなことだ。私はゲームの記憶があってそれが事実だということを知っているだけだし。


「百パーセントとは言えないわ。今も違うことがあるでしょ?」


 私はジェフィスが腰についた剣を指差した。適当な大きさの長剣が二本。規格で言えば、私が使う双剣と同じだ。


 フィリスノヴァの狂竜剣流はもともと巨大で重い重剣を使う。ゲームのジェフィスもそうだった。ゲームの内容と同じようだった啓示夢でも同じだったし。この現実のジェフィスも私に師事する前までは重剣を使っていた。


 でも私に師事して以来、ジェフィスの最大の変化が武器の交換だった。


 最初はそのまま重剣を使っていた。でも私に教えてもらっている間、ジェフィスが先に武器を変えると提案してきた。私は慣れた武器を交換することに反対したけど、ジェフィスがその方がいいと強く主張し、結局頷いた。


 彼が今腰につけている双剣は彼のために私がプレゼントしたものだ。……とはいえ、私はただ父上に頼んで発明品をもらっただけだけれども。


「今の貴方は武器から違うでしょ。小さな要素ではあるけど、違いがあるということだけでもそれが避けられない未来ではないって考えられるじゃない。そして、たとえ全面的にそれを信じるとしても、私たちのすべきことは変わらないでしょ。だから気にする必要はないの」


「……そうだね。やっぱり師匠の解答は明快だ」


「解答というほどじゃないけど。それより私はもっと気になることがあるの」


「何?」


「邪毒よ。啓示夢はもともと微弱な邪毒が残したけど、長い間残留するほどじゃないわ。記録された事例の中では一番長かったのが一時間くらい? ところで、貴方に残っていた痕跡がまだ残っているのがおかしいわよ」


 実はアルカの時もそうだった。普通より長く残っていた。


 ジェフィスもその部分については頷いた。


「それはそうだね。だからといって自然消滅が長くかかるほど邪毒量が多くはなかったようだけど」


「そもそも今まで残っていたのも私じゃなかったら気づかなかったはずよ。浄化能力者でも下級なら感知力がよくないから」


「じゃあ、君が気づくようにわざわざ長く細工した可能性は? 僕が伝言をきちんと伝えなかったときのための保険とか」


「……それは信憑性があるわね」


 アルカの時もそうだし、今もそうだし。冷静に考えてみれば、あいつの干渉はすべて私と関係があったの。それにいろいろな事件があったけど、一つ一つ詳しく見てみると……少なくとも私に害を及ぼすことじゃなかった。


 アルカの場合、私としてはとても面倒で意外だった。でも結果的にアルカが刺激を受けながらさらに早く力を覚醒し、去年の王都襲撃事件の時もアルカがかなり活躍できた。


 ジェフィスの場合、彼に詳細な光景を見せて痛感させた。そして堂々と私に伝言を伝えてほしいという発言まで。ここまで来たら確かに何かがある。


【今まであったことだけでは貴方を助けようとしていると言えるでしょ。でも根本的な目的が何なのか分からないわね】


[まぁね。息苦しさこの上ないわ]


 まぁ、今悩んでも答えが出るわけでもないけど。


「いいわよ、これはもう考えないで。どうせ出るだけの意見は十分出たと思うから。修練時間を無駄にすることはダメよ」


 私の言葉にジェフィスは頷いて剣を抜いた。


 さぁ、今日も力強く動いてみようか。




 ***




 ジェフィスの訓練が終わった後、私は練習場近くの休憩所に座っていた。


「ロベル」


「はい」


 先ほどまで誰もいなかった周辺の風景が歪んで、まるでカーテンを取り外すような感覚が感じられた。取り除いた空間を通過するようにロベルが現れた。


「『隠された島の主人』の信奉者たちに関する情報を収集してちょうだい。特に集会の日程や幹部について」


「集会と幹部……ですか。彼らと直接接触でもされるのですか? なぜですか?」


「情報が必要なのよ。彼ら……いや、『隠された島の主人』についての情報が」


「以前信奉者たちと接触した時は有意義な情報がほとんどありませんでした。だから今度は幹部を狙えばいいですか?」


「そう。彼らを率いる幹部なら、『隠された島の主人』についても別の情報を持っているかもしれないわね。ただ……今回のことは密かに進めてちょうだい」


「密かに、ということは?」


「貴方が何をしているのかを他の人はできる限り分からないように。特にケイン殿下には絶対にバレないで。そっちは接触目的を疑ったり面倒くさくしたりする可能性があるの。だから我が家の要員たちだけ、その中でも隠密行動に優れ、口が重い人だけ使ってね」


「かしこまりました。別に信奉者勢力との会談の約束を取りましょうか?」


「結構よ。そっちから応じるかどうかも知らないし、何より約束を取るだけの言い訳がないの」


「かしこまりました。すぐに進めます」


 よし、これからはロベルに預けておけばいいだろう。その間、私はアカデミー内をもう一度調査しないと。


 間もなく起こるはずの悲劇、予定より早くアカデミーを離れ行方をくらましてしまったピエリ、本音が分からない『隠された島の主人』。頭の痛い要素は山のようだけど、今すぐ大きな事件が起きる気配はまだない。


 まだ余裕がある今、できるだけ準備をしておけばいいだろう。

読んでくださってありがとうございます!

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