ピエリ
思わず稲妻のように振り向いた。
いつの間にかピエリがこちらに来ていた。彼は私が作ったクレーターをのぞき込み、嘆声を発した。
「すごいですね。新入生とは信じられないレベルです。これくらいなら騎士団の平騎士のレベルにはなります。しかし……」
ピエリは私を振り返り、ニッコリと笑った。
「これが全力ではないですよね?」
「なぜそう思われたのですの?」
「そりゃあからさまでしょう。そんなに余裕が見えますから。見たところ魔力量も十分だと思いますし。担当助教のテストもかなり楽しみな……」
そう言っていたピエリはジェリアをちらりと見て口をつぐんだ。するとジェリアは何か疚しがる顔で顔を背けた。
「ジェリアさん、今体調があまりよくないですね」
「……やはり先生の目はごまかせないですか」
ジェリアはため息をついた。
体調? そんな気配は特になかったんだけど……。
【森で少し怪我したでしょ。制服で隠しておいたけど、まだ治っていないと思うわ】
……あ。
そういえば、呪われた森で修練する時、ジェリアが少し怪我をした。結界周辺の魔物たちはそれほど強くはないけれど、休む暇もなく押し寄せてくる状況には慣れていなかったはずだから。私も最初はたくさん怪我をしてトリアに助けてもらった。
そんなことを考えていたところ、ピエリが前に出て剣を抜いた。練習用の剣ではあったけれど、大英雄である彼が直接剣を抜いたという事実に周辺が再びざわついた。
「ジェリアさんが今体調が悪いますので、このグループは私が直接テストします」
すると雰囲気が沸き起こった。
確かに、せいぜい実力テストといっても英雄として名高い彼と直接剣に向き合うことができるというのはかなり励みになるだろう。
もちろん私は少し違う意味でテンションが上がった。
「よろしくお願いします、ラダス先生」
「礼儀正しいですね。いつもそうですが、四大公爵家出身は教える甲斐があります」
「ありがとうございます。
ピエリは私に剣を投げた。彼が持っているのと同じ練習用の剣だった。
「〈魔装作成〉もテストしてみたいのですが、魔力で作ったものではなく武器に魔力を込めることも大切な素養ですからね。すみませんが、これを使ってください。あ、もし剣じゃなくて他のことが得意なら、今話してください。他の武器に変えます」
「大丈夫です。剣でいいです」
剣を抜いて詳しく見た。
……なるほど。国最大の教育機関で使う物だけに質が良い。練習用なので鋭さを抑える魔力処理が施されているけれど、丈夫さと重量分配、そして魔力伝導率は実戦用と同級だ。
「魔力出力については先ほどの測定である程度分かりましたので、今回は身体強化や剣術などを中心に手合わせ形式でやってみましょう。魔力の細かい制御も見ます。ご希望のタイミングで始めてください」
「じゃあ遠慮なく!」
ピエリの言葉が終わるやいなや素早く突進して剣を軽く振り回す。キーンと剣同士がぶつかって音が鳴った。
横斬りが防がれるやいなや剣を引き、両肩と首を狙って突き三回。肩は逸れ、最後の首の攻撃の時に剣を弾き飛ばして反撃が来た。体を反らして避けながら魔力を込めた蹴りで腹部を狙うと、ピエリは未練なく退いた。
「なるほど。すっきりしたし淀みないですね。それに物理的には姿勢が崩れて戦いを続けるのが難しい状況でも魔力を利用して補完する技が上手です」
ゆったりと評価するピエリに近づいて一閃。まるでジャブで牽制するように軽くて隙の少ない攻撃で攻勢を続けた。でも足を狙った途端、強い力で弾き飛ばされて姿勢が崩れた。
「くっ!」
力に逆らわず地面を転がって距離を少し広げた。直後、私の上半身がいた所をピエリの剣が切った。
すぐに立ち直りながらピエリの追撃を防ぎ、首を狙って精一杯剣を突き出す。ピエリはそれをギリギリ裂けて突っ込もうとした。
その瞬間、剣身を中心に魔力波を放った。
キィィンと空気が泣き叫び、突然の波動が体を揺るがすと、ピエリは眉をひそめた。
波動で彼の体が鈍くなった隙にまた一閃。
「ふっ!」
ピエリは自分の魔力波で私の魔力波を相殺してから後ろに身を引いた。私はすぐに地面を転がる彼を追いかけた。
低いのまま足を狙った斬撃が来た。それを避けながら空中に足場を作り、そのまま空中機動に移行する。ピエリの頭上を縦横無尽に走り回って攻撃を避け、内から一方的に斬撃を浴びせた。剣がぶつかる音が相次いで鳴り、炎が繰り返された。
しかし、次の瞬間、シュッと刃が突然飛び出した。
「!?」
ピエリの刃が頬をかすめた。ギリギリ避けたものの、ピエリは突いた姿勢のまま剣を振り下ろした。剣自体は防いだけれど、力に押されてそのまま地面に落ちてしまった。
倒れた姿勢のままピエリの腹部を蹴飛ばそうと魔力を込めた。でも足を出すより先にピエリが後ろに大きく退いた。
「反応も素晴らしいですね。魔力波を使うコツが少し残念でしたが、全体的にはとても優れています。総合的にも今すぐ現役騎士として投入してもいいくらいです」
終わったよね。
ピエリの態度から、これ以上続行する意思がないことを感じ、剣を鞘に納めた。近づいてきた彼に少し緊張したまま剣を渡すと、譲り受けた彼は怪しがる顔をした。
「どうしたんですか?」
「もしかして剣を納めた隙に奇襲をかけるかと思いまして」
「ははは、どうしても新入生をテストする場でそこまではしませんよ。それでも警戒する態度はいいです。その慎重さ、忘れないでください」
「もちろんですわ」
「ああ、そして魔力波を牽制用に使う時は、全方位に放射するより特定の方向に集中した方がいいです。一つの部位に集中して確実に麻痺させる練習をしてみてください」
助言に感謝し、退いてジェリアの元へ向かった。ピエリとの手合わせでまた周りの新入生たちが騒ぎを起こしたけど、私に直接話しかけてきた人がまだいないので適当に無視した。
ジェリアは私が近づくと小さく拍手を送った。
「お疲れ様。やはりすごいぞ。その年でラダス卿とそこまでするとはな。ボクも新入生の時はそれほどではなかったぞ」
「でも負けたわ」
「ふふ、やはり君は欲張りだな。実際にはピエリ卿が手加減してくれたと思うが、見た目はそれなりに互角だったぞ」
ジェリアの言う通り見た目はまあまあだった。しかし、実状はあまり良くなかった。
終始余裕があったピエリと違って、私は剣を一本だけ使ったとしても、一応身体的にはほとんど全力を尽くした。それでも全く通じなかったのがとても残念だった。
【ジェリアの言う通り欲張りよ。普通はわずか十一歳で大英雄に匹敵しようとするのがおかしいわよ。そもそも速度が速すぎて新入生たちはよく見ることもできなかったと思うよ?】
[重要なのはそうじゃないわよ。これからあることに備えるためには、少しでも早くピエリより強くならなきゃいけないもの]
【今は勝てないってどうせ分かってたでしょ。それであの男の実力を見ようとしたんじゃなかったの?】
[それはそうよ。実際にかなり有益だったし。でも……]
【? ……なるほど】
私が言葉を濁すと、イシリンはしばらく理解できないという様子だったけれど、すぐに笑みを浮かべた。……そんな気がした。
【何よ、悔しいの? いつも若年寄みたいだったのに意外と可愛いところもあるわね】
[うるさいわよ]
無理やり会話を切って、ピエリに目を向けた。
彼はちょうど他の新入生をテストしていた。一歩も動かず攻撃もせず、ただ防御だけで彼らを翻弄するのを見ると、新入生たちが少し可哀そうだった。
それでも終わってから助言を一つや二つ受けただけでも、彼らのテンションはむしろ上がった。
【あの生徒たちを見て。一歩も動かずに腕だけで振り回す剣に翻弄されるじゃない。貴方と比べるとレベルが全然違うわよ】
[新入生と比べるのは何の意味もないわ]
【もうそんなに焦るのは意味があるの? ……まぁ、それであの男、あのゲームってどんなに強かったの?】
[最後に出てくる中ボスだったからすごかったよね。私よりも後ろだったわ。しかもルートの一つではラスボスにもなったし]
『バルセイ』は各ストーリーチャプターごとにボスの役割をする中ボスがいて、ルート最後を担当するラスボスがいる構造だった。
私もかなり後半の中ボスではあったけれど、ピエリは最初から最後の直前のチャプターに出てくる準ラスボス級だった。それさえも早く出たルートが一チャプター前くらいだったし。
今の私の力はだいたい、ゲーム序盤のチャプターをなんとかクリアする程度。ゲーム開始時点のアルカが十六だったことを考えれば過度なほどだけど、ピエリには当然及ばない。
でも……。
[頭では分かるけど、どうも気分が悪いの。早くもっと強くなりたいのに]
【焦っても方法もないし、もう十分早く強くなっているわよ。ゲームが始まる時、アルカが十六で貴方が十八だったと言ったじゃない? まだ七年も残ってるの】
[正確には回想に出た大きな事件までは五年だわ。その事件をまともに解決できなきゃ意味がないの]
【とにかくまだ五年も残っているし、貴方はもうゲーム序盤の主人公より強いもの。まじめにやればいいのよ。少なくともピエリはまだ良い師匠のふりばかりしているじゃない】
あえて言わなくても分かる事実だ。だけど……妙に胸が騒ぐ感じが去らなかった。
そんな不安感を一人で抱え込み、私は人々の姿を見守り続けた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
ピエリ強そう! とか、テリアがいつか勝つのを見たい! とか、とにかく面白い! とお考えでしたら!
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