前編
「ついに世界初のクローン人間の開発に成功か?」
この記事が紙面の上を暴れまわったのは今からもう10年も前の話である。
クローン人間開発最大の問題、それは「人が人を作り出していいはずが無い」という人々の根本とでも言うべき概念であった。しかし時代が進むに連れて人々は進歩し、さらなる力を手に入れてしまった。
巨大な力を蓄えてゆくうちにだんだんと人々はある錯覚を起こし始めた。
「自分たちは神にも等しい力を手に入れたのではないのか」、「神にも等しい我々なら人を作り出してもいいのではないか」と。
そんな時代の流れのなか、ある科学団体がクローン人間の作製に踏み切った。そして彼らはいとも簡単にクローン人間を作り出してしまったのだ。
最初の頃は人々の良心が働き、反対意見もあったものの、そのうちに人々の中の罪意識も薄れていき、だんだんとそんな意見も少数派となっていった。クローン人間の作り方はいたって簡単。元となる細胞を、分裂させるための培養機に入れて1年ほど放っておくだけだ。ただこれだけのことでクローン人間は出来上がってしまう。
培養機から取り出されたクローン人間たちは生まれた頃から洗脳に近い教育を受け、何の疑問も持つことなくオリジナルの人間に従うように調整された。
こうして完璧に調整されオリジナルと変わらない能力を手に入れたように見えた彼らだったが、唯一オリジナルの人間と違うところがあった。彼らがオリジナルと違うところ、それは彼らの特異な成長であった。
彼らは生まれてから5年程でオリジナルの20歳に相当する体と頭を得る。そしてその後はその容姿と頭を持続したまま15年ほど生きたのち息絶える。
クローンの寿命は長くても20年が限度であり、オリジナルよりも遥かに短命なのだ。
この致命的なバグがどこから出てきたかを科学者たちは必死に探し出そうとした。しかし結局見つけることはできなかった。
それもそのはずなのである。そもそも膨大な量の計算式から間違いを見つけ出すという作業はサハラ砂漠に落とした1カラットのダイヤを1人で見つけるのと同じようなものだ。
結局科学者たちはこの致命的な欠陥を取り除くことはできなかった。
「なくなったら補充すればいいのではないか?」という考えも出たがそれは出来なかった。いくらクローンだからといって全くコストがかからないわけではない。コストがかかるという以上無尽蔵に作り出せるわけではない。無限に作り出すことが不可能な彼らを安定した労働力にすることはできない。
一人のクローンの値段がそのクローンが働いて発生する値段より下回った場合それは作れば作るほど赤字ということだ。実際一人の値段が3000万円で、彼らが寿命のうちに生産することが出来るのはせいぜい1500万円程度である。
この欠陥を克服できないままクローンたちは無用の長物になってしまうと思われたとき、科学者たちの頭の中にある案が浮かんだ。それは「クローンの寿命が短いのならそれを利用してしまえばいい」という案だった。
寿命が短く肉体的にも精神的にも若いうちに死んでしまうというなら、考え方も若いうちに死んでゆくということである。つまり彼らには年老いて考えが保守的になることが無いのだ。
たとえばオリジナルの人間の世界で、上に居座っているのはたいてい考えを変えようとしない頑固な老人だ。彼らは今まで自分がうまくいってきた経験があるから考えを変えようとしないわけだが、それでは刻一刻と変わる時代の流れにはついて行けない。
しかしクローンにはそれが無い。彼らは、若いうちに、考えが進歩的なうちに死んでしまう。そのため寿命の間分考え方は進歩し続け、考えが止まり始めた頃に死に世代交代がなされる。つまり思想的な進化が止まることが彼らには無いのだ。
そこで科学者たちはクローンのこの性質を元に計画を練り上げた。そうして出来上がったのが「箱庭計画」だ。
「箱庭計画」。それはクローン人間たちを縮小。そしてオリジナルの世界をそのまま小さくしたような大きな箱の中彼らを入れて彼らの動きを観察し、そして思想的進化を遂げた彼らの世界の制度をオリジナルの世界に取り入れようというものであった。
この計画は直ちに実行に移された。
世界各地から様々な人種や民族の遺伝子が集められそれぞれのクローンが生み出された。
そうして作り出された彼らは言語を統一され、今の地球と全く同じ環境の箱の中に入れられた。
クローンが入れられた箱はオリジナル側からは見えるがクローン側からは見えないような仕様になっている。
つまり箱中のクローンはただオリジナルの人間の為に生かされているだけなのである。
箱の中のクローン達の世界にあるのはどこまでも続いて見えるまやかしの世界と偽りの自由だけだ。
そして現在「箱庭計画」実行から10年が経とうとしていた…
(本編)
「キーンコーンカーンコーン……」
聞きなれた学校のチャイムの音。もう聞きたくないと思っていたが、これで当分聞けないと思うと少し感慨深いものがあるような気がする。
今日は7月14日。今日から夏休が始まるわけなのだが…
「はぁ…することもないし家に帰るか」
全くすることが思いつかないので、さっさと家に帰ろうと家路に着こうとしたとき、突然背中をものすごい勢いで押された。
「うわぁっ!」
俺は思わず叫びながら、バランスを崩し道路に転んでしまった。バランスを立て直そうとすると後ろから声が掛けられた。
「やっほー!!」
振り返ってみると案の定すぎる奴がそこにいた。
「ねぇねぇ? どうしたの浮かない顔しちゃってさ?」
「やっぱりお前か…」
「やっぱりとはなによ! せっかく声かけてあげたのに」
「遥…さっきのは声じゃなくて完全に手だったぞ」
「なに言ってんのよ!蓮ってばこうでもしないと全然テンション上げてくんないじゃん」
「別にそんなことないと思うんだけどな…」
「そんなことあるわよ…蓮って一人でいるときってものすごく暗いわよ……」
「そういうもんかな」
「そうよ。大体何であんたは自分で気付いてないのよ!!自分のことってのは自分が一番……」
なんだかヒートアップしているので遥は放っておくことにしよう。
ついでに俺の名前は
「澤村 蓮」。どこにでもいる平凡な高校生だ。で、いまだにヒートアップし続けているのが俺の幼馴染の「結城 遥」。小中高と全く同じ学校に通っているが、遥とはなんだかんだで幼稚園に入る前からの腐れ縁だ。
「考えてみれば長いもんだよな……」
「?? なに突然訳わかんないこと言ってんのよ…私の話ちゃんと聞いてた?」
「聞いてたよ。俺のテンションが低いって話だろ?」
「あんた何分前の話を聞いてたのよ…」
「え…ああ……ごめん」
「はぁ…まったくそんなんだから高校はいっても女の子の噂が立たないのよ」
「それは関係ないだろ!! こういう感じを好きになってくれる女の子だって…」
いるんじゃないか? と言おうとしたその時背後から突然声をかけられた。
「いや、そういうのはあんまりいないと思うけどな。」
「???」
突然失礼な返答が返ってきたので後ろを振り返るとそこにはよくみた顔の男が立っていた。
「おお!大樹じゃん!!」
「二人でまた痴話げんかですか? 仲のいいことで」
「ちょっ…大樹なに言ってんのよ!」
「なんなんでしょうねぇ?」
「あんたねぇ……」
バキッ!!…ドカッ!!
あーあ…大樹…御愁傷様です。
ついでに今、遥に殴られてるのはクラスメイトの「木村 大樹」だ。見ての通りのちゃらんぽらんなやつで基本的に一言多かったりする。
「痛いっつの遥!!」
「うるさい! あんたが悪いんでしょ!!」
「痛っ! 俺はお前らが話しやすくなったらな、と思って言ってやったのに」
「逆に話しにくくなったわよ!!」
「そんなことないだろ! 大体お前のことだから、まだ蓮にあの事言ってないだろ」
「うっ…そ、それは……」
「なんだ図星か…」
「これから言おうと思ってたのよ!!」
「本当かいな?」
「本当よ!!」
「ねぇさっきから二人で何話してるの?」
何だか二人の会話から完全に置いてきぼりにされていたのでなんとなく聞いてみた。
「うっ…」
「ほら遥、さっさと話しちまえ」
「うー……」
「何? どうしたの遥」
「…あのね蓮、今日って何の日か覚えてる?」
俺は少し頭をひねってみたが特に何も浮かんでこなかったのでつい当たり前のことを答えてしまった。
「夏休みの始まりの日だろ」
そういっては遥のほうを見てみるとそこにはなぜか怒った顔の遥がいた。
「…他には?」
「えっと…始業式まであと一ヶ月の日?」
「…ふっ、蓮はそんなに死にたいわけ?」
「えっ!? 何でそうなるの!!」
自体が飲み込めず必至に今日が何の日か思い出そうとしているが、全然思い出せない。そうしているうちにも遥の顔がどんどん怒りに染まっていく。
「えーっと、えーっと…」
こっちが必至に考えてるっていうのに大樹が後ろで大爆笑している。
と、その時突然頭の中を電流が走った。
「そうだ思い出した! 今日は遥の誕生日だ!!」
目の前の遥が一瞬驚いたような顔をした後にうれしそうな顔をしてくれた。
つーか大樹は残念そうな顔をするな。
「蓮のくせに良く思い出したわね」
「そりゃあ一応幼馴染の誕生日だしね」
「…うれしい事言ってくれるじゃないの。」
「でもそれがどうしたの?」
「いやそのね…暇だったらでいいのよ、暇だったらで。」
「うん」
「今日この後、私の家に来て誕生日会でも…しない?」
そういうと遥は顔を赤くして俯いてしまった。
「何だそんなことか」
「そんなこととは何よ! で、来るの来ないの?」
「そりゃ行くよ。特にすることも無いしね」
また遥がうれしそうな顔に戻った。
やっぱり遥はこうでなくちゃね
「じゃあこの後着替えて私の家に集合ね」
「了解」
約束をして家路に着き蓮が見えなくなったところで私は大樹に話しかけた
「さっきはありがとうね」
「どうしたんだいきなり?」
「私たちが話しやすくしてくれたでしょ」
「そんなどうでもいいこと気にするな」
「どうでもよくなんか無いわよ…大樹が間に入ってくれなかったら私絶対蓮を誘えなかった」
「まあそういうもんなのかねぇ…」
私が大樹に、蓮が好きだということがばれたのはだいたい3ヶ月前ぐらいの話だ。
その日私は蓮に自分の気持ちを伝えようとしていた。
携帯があるこのご時勢にラブレターと言うベタな方式だったが素直な思いを伝えるならこれが一番だと思った。
放課後私はそっと蓮の机にラブレターを入れた。
しかしそこで私は、まさか自分だけはするまいと思っていたラブレターの入れ違いをしてしまったのだ。
そしてその入れ間違えた先が大樹の机だったというわけだ。
「そういうもんよ…」
「ふーん。まあこの調子で本番もがんばれよ!」
私は本番のことを考えると恥ずかしくてただ頷くことしか出来なかった。
「お誕生日おめでとう!」
「ありがとうねみんな」
「みんなと言っても二人だけだけどな…」
「別にいいじゃないの大樹。三人だけでも面白いんだから。」
「それもそうだよね」
実際に思ったので同意しておいた。
「はぁ…それにしても最近は本当に時間が経つのが早いわよね」
「なに年寄り臭いこと言ってんだ遥?」
「別にそんなこと無いでしょ!?」
「いやそんなことあると思うけどな」
「大樹は何でそういうことしか言えないのよ…私が本当にそう思ったんだから別にいいでしょ?」
「でも遥、その発言は本当にオヤジくさいよ?」
「蓮まで何言ってんのよ!?」
凄く意外そうな顔で俺の事を見てくる
「やっぱり年長者の言うことは違うなぁ…なあ蓮」
「年長者っていってもほんの一週間じゃないの!?」
「その一週間の差が大きいんじゃないですかぁ?」
ブチ…
またなにかが切れた音がしたと思ったらもうすでに大樹の姿は俺の視界から消えうせ、遥か後方に吹き飛ばされていた。
「たかが一週間でしょ!? だいたい私だってまだぴちぴちの4歳よ!!」
「…ぴちぴちの4歳だって」
と、大樹が言ったかと思うと即座に遥の回し蹴りが大樹の腹に命中し、大樹がたおれてしまった。
「おーい大樹大丈夫か? まあ自業自得なんだけど」
「まあ…なんとかな。それより俺はのどが渇いたから下に言って飲み物を飲んでくるよ」
そういうと何か遥とアイコンタクトをとり下の階へ行ってしまった。いったいどうしたんだろう。
そして遥のほうを向くと遥と目があった。
遥は何かい言いたげな目をしている
「どうしたの遥?」
「…あのね蓮、少し大切な話しがあるんだ。」
「なに? どうしたのいきなりかしこまって?」
「……あのね、私ずっと前から…蓮のことが…」
「成功じゃぁぁぁぁ!!!!!」
遥が何かを言おうとした時、突然下の階から叫び声が聞こえてきた。
遥が言おうとしていたことは叫び声に消されて良く聞き取れなかった。
「今のってもしかして遥のおじいちゃん?」
「そうだと思うけど…どうしたんだろ」
「またいつもの研究?」
そういって遥のほうを見ると凄く悔しそうな顔をして唇をかんでいた。そんなに身内の失態が恥ずかしいのだろうか。
「…多分」
遥はそれだけしか答えなかった。
遥のおじいさんの東郷源十朗といえばこの辺りではかなり名の知れた変人だ。
その昔はとある大学で研究をしていたらしいのだが、違法な実験をしたため大学を追放。それでも自宅にこもり隠れて実験を続けていたらしいのだが噂はかなり立っていた。
訳の分からないアンテナを立てていたり、一日中家の中から変な音がしていれば変な噂の一つや二もたつはずである。
「とりあえず見に行ってみようよ」
「そうね」
下の階で合流した大樹と三人で地下への階段を下りていく。そうして行くの連につれてだんだんと下からの変な音が大きくなっていく。電子音の様にも聞こえる。
ようやく下につくと奇妙な装置がまず目に入ってきた。次に目にはいったのは15歳ぐらいの人だった
「やっぱりおじいちゃんだったのね…」
「おお、遥じゃないか!!」
「おお…じゃないわよ! どうしたのよおじいちゃん?」
「そうじゃ…そのことじゃよ!! とうとう捕まえたんじゃよ!!」
「何を捕まえたのよ?」
東郷さんはかなり興奮しているのか手をばたばたと振り回している。
「電波じゃよ、デ・ン・パ!」
「何の電波よ? まさかまた法律に引っかかるようなことしてるんじゃないでしょうね!?」
「法律どころか世界をひっくり返すかもしれんのじゃぞ!!」
「どういう意味よ?」
「それはな………」
それから東郷さんが話してくれたことを要約するとだいたいこんな感じだ。
この世界は誰かによって作られたものであり最近作られた可能性が高いという。
東郷さんは大学の頃からこの研究を続けていたらしい。
大学に入った当時東郷さんは通信関連の学部に所属していて日頃から電波の研究をしていたそうだ。
そんなとき、東郷さんはある電波を捕まえた。見たこともないような複雑な電波で、そのときは設備不足のためにすぐに捕まえられなくなってしまったそうだ。
その後、大学から追放処分を受けながらも機械に改良を重ねついに今日その電波を捕まえたのだそうだ。
そして捕まえた電波を解析してみると、なんとそれは全く違う世界から来たものだったのだ。
しかもおかしなことにその電波の出所は自分たちの頭の上、わずか20キロメートルだったのだ。
このことから考えられるのは、自分たちは何かに作られ、そして監視されているということである。
「……というわけじゃ」
しばらく皆、東郷さんが何を言っているのか理解しきれず困惑顔だったが、しばらくすると遥が口を開いた。
「それって誰かに生かされてるって事?」
「まあ言い方を変えればそうなるかものぉ…」
「誰かに監視されてるって…それって本当なんですか東郷さん?」
言いようの無い怒りが心の底からこみ上げてくる。もしそれが本当なら許すことは出来ない
「言い切ることは出来ないがその可能性は高いのぉ」
「何とかして確かめる方法は無いのおじいちゃん?」
「ふっふっふ…遥ならそう言うと思ったわい」
そういうと何やら内ポケットから赤いボタンを取り出し始めた。
「こんなこともあろうかとしっかり遥に誕生日プレゼントを用意してあったのじゃ!!」
そして東郷さんは自分の手にある赤いボタンを押した。すると突然目の前の床が開き始めた。
「おい、じいさん何だよこれ!?」
「まあ見ておれ」
そういってるうちに見る見る間に床が開き、そしてその下から流線型の銀色の物体が出てきた。
「何よこれ?」
「ロケットという物じゃ」
「ロケット?」
「そうロケットじゃ。こいつは垂直方向に空を駆け上るための乗り物じゃ」
「それってどういう意味があるんだよじいさん?」
東郷さんが少し呆れ顔になった
「この乗り物にに乗れば上空20キロメートル…つまり問題の電波の発生地点までひとっ飛びで行けるのじゃ!! どうじゃ気の利いた誕生日プレゼントじゃろ?」
「東郷さん凄い…」
俺はついついいそういってしまった。
「そうじゃろ? 早速乗ってみるかい?」
「ダメよ蓮! 危ないじゃない!!」
「危ないことはないぞ。機体にはチタンを使い、そして外に何が待ち構えていてもいいように光学迷彩まで備えておるのじゃぞ?」
「そんな設備まで…やっぱり行ってみようよ遥?」
「…でも危ないじゃない」
「確かに危ないかも知れないけど遥はこのままで許せるの? 誰かに監視されてるかもしれないこんな生活が!?」
「……」
「それにもし本当に監視されてるんならいつ何をされるか分からないてことだよ?」
「それには俺も賛成だな。どっちにしろこのままじゃ危ないかもしれないしな…」
「大樹まで…」
「そうだよ遥。俺たち以外にこのことを知っている人はいないし、言ったところで誰も信じてくれない。こんなのじゃますます危ないよ」
「そうだ、だから俺たちが行って証拠を取って来るんだ!!」
「そうだよ大樹! だから遥も行ってみようよ」
「…そこまで言うなら付き合うわよ……」
「さっすが遥! なあ蓮?」
「やっぱりそれでこそ遥だよね!」
このとき俺たちはただ違う世界を見てみたいという好奇心にのみ突き動かされていた。
この行動の結果がどのような自体を招くのかを全く予想もしないままに。
「それじゃあ決まりじゃな」
そういいながら東郷さんが間に入ってきた。
「じゃあみんなロケットの中に入ってくれ」
そういわれたので三人でロケットの中に入ってゆく。
「それではシートベルトをつけて席についてくれ。ロケットの操作はこちら側からする」
いわれた通りにして席に着いた
「それじゃあカウントダウン開始じゃ!!」
そして東郷さんがスイッチを押すとカウントダウンが始まった。
「10・9・8…」
だんだんと緊張が高まってゆく。
「…3・2・1」
「0」
そう機械音が告げるのと同時に俺の体が凄い勢いで座席に食い込んだ。機体が一気に上昇し、そこで俺は意識を失った。
〜あとがき〜
どうも始めまして雀卓の騎士と申します。このたびはこの文集をお手にとっていただき本当にありがとうございます。
さて今回の作品のコンセプトですがズバリ「ベタ」です。
なんのひねりも無くドストレートに書いてみました。変にこるよりかはこういう書き口のほうが面白いのではないかと言う独断と偏見によるコンセプトです。
皆様はどうだったでしょうか?
蓮と遥のベタベタな会話には正直なところ作者自身も腹が立ちました。
とにかく「今時こんな恋愛はねぇ!」という皆様からのツッコミがいただけたなら幸いだと思っております。
今回は前編と言うこともありなかなか物語の確信には入り込めませんでしたが後編ではしっかりと書いていきたいと思います。
どうぞこれからも雀卓の騎士をよろしくお願いします。