スラムの魔道士
登場人物説明
魔法の潜在能力は、魔力を持つ者の平均を100とした。ちなみに9割の人は、潜在的には魔力を有していない。
○ハデス
冷静で論理的だが、感情豊か。優しい。
魔法の潜在値は182
知性の潜在値は146
○ザイール
感情的、情熱的。優しいが、あまり考えない。
魔法の潜在値は85
知性の潜在値96
○マルネ
感情的、論理的。だが思考は浅はか。やや自己中心的。
魔法の潜在値は121
知性の潜在値は97
○オッセム
まさにリーダー
○アブダム
論理的。優しさと残虐性がある。
知的な大人といったかんじ。やや柔軟さに欠ける。
魔法の潜在能力は159
知性の潜在値は126
(値は全て平均を100としたときの偏差であり、知能と教養は別のものと解釈する(端的に説明すると、知性の潜在値はIQ)。)
暇つぶしして書いてるので完結しない可能性大。反応があれば毎週水曜日(できれば日曜日も)投稿していきます。
王国の魔導技師がやってきた。目的は有能な人材の確保と、王国への反乱分子の排除である。魔導技師はスラムをまとめるオッセムの家から、なんらかの魔法で声をスラム全体に響かせている。
「王家から遣わされてきたアブダムである。これから街を徘徊し、8から10歳の子供のうち、魔法に才がある子供を引き取る。我々にはその権力と義務があり、抵抗は無駄である。また、引き取られた子供の安全は守られるものと誓おう。以上だ。」
ハデスは今日もいつもどうり親の仕事の手伝い、(鉱石の採掘)をした帰り、友達のザイールと布製のボールを蹴り、話しながら帰っていた。そこに、アブダムの声が響いた。
「おい、聞いたか!アブダムって王直属の魔導技師だよな。俺も魔法の才能あるかな。」
興奮した様子でザイールが尋ねてくる。
「どうだろう。でももし俺たち魔法の才能あったら、王国までいけるかもしれないぜ!」
ザイールは10歳だし、ハデスも9歳なので、もしかしたら、2人で王国にいけるかもしれない、という期待が頭をよぎる。
「なぁ、ちょっと父さんたちに話して、アブダムのところに行ってみない?」
ハデスもそうしたいと思っていたが、疲れている父さんたちがどこまで行ってくれるか。
「いいよ!でも、広場の方までしか行ってくれないと思うけど。」
「充分だよ!広場のほうなら子供も多いし、あそこにアブダムがこないはずないよ!」
広場に出ると、予想通りというべきか、それ以上の数の子供が集まっていた。ハデスとザイールは、なんとか頭を出してアブダムをさがすが、それらしき人は見当たらない。
「まだ来てないみたいね!間に合ってよかった。」ザイールが言う。
「うん。よかったー。」
とは言うものの、ハデスは人混みが苦手だ。ザイールもハデスが人混みが苦手なことを知っており、心配になったのか、手を握ってくれた。「俺がいる。」言外にザイールの優しさと強さを含んだ小さな手に、安心し、ハデスは少し恥ずかしかったが、強く握り返した。
その時、ハデスの体は大きな穴に落ちるかのように、すっと壁に入って行った。「うわっ!」と大声がでる。ハデスは理解できない。なにがおきたのか。なにも見えない。「おい!ハデス!大丈夫か!」ザイールの声が大きく響くが、さっきまでの窮屈さとみんなの声は聞こえない。ザイールはハデスの手を握る力を強める。
「ん。大丈夫だけど、え?」ハデスは動揺を隠せない。太陽を見たあとに残る白い跡のようなものが視野全体にひろがっていて、未だになにも見えない。
「壁に吸い込まれたんだよ!びっくりして、俺、ハデスを壁から出そうと思ったんだけど、俺も壁に吸い込まれちゃったんだ!」
ザイールの声に安心した。でも、怖い。
返事をしようとしたとき、視界はもとに戻った。
ハデスとザイールは、手を握ったまま、コンクリートが敷かれた広場に立っていた。広場とはいっても、先ほどまでいたスラムのものとは違った。子供はたくさんいるが、立ったまま死んだように動かず、みんなスラムの汚れた服を着ている。広場自体も針葉樹に囲まれ、木々は明らかに人が手入れしているものだった。ハデスは状況が理解できず、ザイールと手を繋いだままあたりを見回す。なんとなく王都にいるんだろうと直感した。そして、ハデスはここにいる理由もなんとなく理解した。
「ねぇ、ザイール。俺たちアブダムに選ばれたんじゃない!?」
「え、ああ。え!すごい!?」
ザイールは混乱して、まだ状況が掴めていない様子だ。ハデスはザイールと握っていた手を離す。手が離され、ザイールはもう一度あたりを見回し、息を呑んだ。ハデスも状況を完璧に理解したわけではないが、一旦思考を停止して空を見上げ、落ち着いた。
「ここ、やっぱり王都だよね?」
「う、うん。そうだと思う。」ザイールも一旦落ち着いたようだが、なにか困ったように下を向いている。周りの子供たちが死んでいるようで怖いのはわかるが、それが原因ではなさそうだ。
「ねぇ、どうしたの。なにか気づいたの?」
「い、いや。もしかしたらさ。ハデスは魔法の人に選ばれたのかもしれないけど、俺は選ばれてないんじゃないかって。俺、ハデスを掴んでただけだし。これからどうなるんだろうって。」
「ザイール。。でも、アブダムだよ。あんなに有名な人がそんなミスしないよ。俺たち、選ばれたんだよ!」
「うん。。」ザイールは納得していない様子だ。
「ねぇ、ここ、どこ?」ハデスと同い年くらいの女の子が、突然に後ろから話しかけてきた。ここに来てすぐのときは動いていなかったので、今目が覚めたんだろう。
「うわっ!」ザイールは驚いた後、一瞬ハデスと目配せする。
「俺たちもわからないんだよ。多分王都だとは思うけど…」
「王都…ねぇ、どうやったら帰れるかわかる?」
「ごめん。わからないな。」
「そうだよ。そもそもここが王都だって確信してるわけじゃねーし。」ハデスは首を振って同意する。




