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実戦訓練①

いつもの授業風景。

 担任の先生が、生徒たちに指示を出す。


「みなさ~ん、実戦訓練の日が来週に迫ってきましたよ~。今日の特別活動の時間は来週の実戦訓練に向けてパーティーを決める時間です!! パーティーはバランスよく、仲間を守る戦士系のjobと攻撃を務める魔法使い系のjob、そしてパーティーを支える大事な衛生班である聖職者のjobなど上手に分けてしっかり考えて組んでくださいね~。あ、仲間はずれを作ったりはしてはいけませんよ~」


「は~い!!」


 生徒たちは元気よく返事をして、先生の合図とともに席を立ち、教室中でパーティーが次々と出来上がっていく。

 殆どの生徒は普段の友達同士の仲良しグループで固定化されたメンバーでパーティーを作り上げていくのだが、たまに職業縛りなどのパーティー作りに条件が加わった時、その固定メンバーが崩壊し、パーティーグループが出来上がらないことがある。


(衛生班としての聖職者か……、わたしは誰と組もうかな……)


 今回に限らず姫奏はこういったjob職業が影響する授業と、クラスメートが絡むグループワークが苦手だった。毎回パーティーを組まされる授業の度に一人取り残されることになり一人ぼっちになっている。

 だが、今回の実戦訓練は社会に出て外の世界でモンスターと戦う擬似訓練でもあるため、必ずパーティーを組んで、モンスターを狩りしなければならない。

 外の世界で生きていくには、社会性を身につけ仲間と協力するコミュニケーション力も必要とされる。この仲間を集めてパーティーを作るといった過程からすでに授業は始まっているのだ。


「いいですか~、実戦訓練は、他の学校のような修学旅行とは違います。小等部で学んだ知識と経験を使い、外の世界に存在する本物のモンスターと戦わなければなりません。みなさんは一流の魔術師、騎士を目指すわがシャトレーヌ学園の生徒ですからねー。学園長も見に来ますよ~」


 先生がパーティー決めをもたつかせる生徒に活を入れるように言うと、一部の生徒の眼の色が変わった。

 この学校における学園長の存在をちらつかせたからだ。

 姫奏の通うシャトレーヌ学園の学園長デジレ・シャトレーヌは、今世紀最強と言われる魔術師のjobであるアン・シャトレーヌの姪孫てっそんで、魔術師を目指す生徒達の憧れである。

 もし、今回の実戦訓練で好成績を残し、デジレ・シャトレーヌの目に止まれば、飛び級もありうるし、運が良ければ専属の弟子に選ばれる可能性もあるため、魔術師の卵たちは必死になるのだ。


 更に討伐対象のモンスターは外の世界の遠地にわざわざバスで遠征して、モンスターの中でも特に強力な部類と戦う。

 その敵の強さの基準は、大人の冒険者が一人でギリギリ倒せるレベルとして選定される。なので、引率に選ばれる教師も緊張感があり、教員会議では毎年実戦訓練で戦うモンスターが選ばれる度に、選定されたモンスターを倒すことが出来ず自信喪失し引退する教師も珍しくない。

 最近では、こういった事情から子どもたちの親が我が子に死の危険を晒すことへの異議を唱え始め、実戦訓練のモンスターは攻撃力の少ないものが選ばれたり、訓練そのものをやめたりと言った小学校も増えている。

 そういった生徒はそもそも、job訓練がカリキュラムに含まれない専門学校に行く場合もあるが、このシャトレーヌ学園は歴史ある名門校として容赦無いことで有名だった。


 といっても6年生まで退学や転校をせず残ったというだけでこの場にいる生徒達は十分に優秀で、「私達ならばどんなモンスターが来ても余裕♪」という自信が備わっていた。

 今回の実戦訓練も、教師が発破をかける割に緊張感はなく、軽い気持ちでいつも同士の仲良しグループがあっさりとまぁ出来上がっていくのだった。


「カノ、俺達とパーティー組める支援がいないんだけど」

「……仕方ないわ、あの子にしましょ……八祇間さん、パーティー組みましょ?」


 今回の実戦訓練で本気になるのは、先ほど教師の言葉で目を光らせた魔術師の卵である。


 〈高槻たかつきカノ〉 シャトレーヌ学園小等部の魔術師のjobで、今回のパーティーではリーダーを務めることになる。

 メンバーのレベル・ステータスも、上位の人材で固められた先鋭パーティー。

 ステータスの優秀さで、聖職者枠として姫奏はこのパーティーに入ることになった。

「パーティー招待ありがとう、よろしくね」

「よろしく、八祇間さん。期待してるよ」


 とりあえず、パーティーに入ることが出来た姫奏だが、メンバー達は渋々承諾したという感情が強く顔に現れていた。

 誰もが、姫奏がホーリーライト狂の聖職者だと気づいているからだ。

「早速だけど、これから訓練での一週間のスケジュールを決めましょ、初日は狩場の地形把握、モンスターの情報収集、二日目は戦闘開始……」


 他のパーティーが、「面白いネタパーティー名を決めようぜw」とか「○○ちゃんは誰が好きなの~」など戦闘と関係ない話をして修学旅行気分で浮かれている中、姫奏のパーティーだけは本格的な作戦会議が開かれていた。


「初日から狩りはしないの?」


 実戦訓練は、モンスターを倒した数やスピードも成績に含まれる、いわば早い者勝ちなところがある割に、リーダーは初日に動かない方針を決めていることに姫奏はふと疑問に思い尋ねた。


「はぁ……これだけ生徒がいるのよ? 初日は狩場が混んで狩りにならない、そんなこと常識なんだけどね、他の雑魚どもには人柱になってもらうのよ」


 カノは、小さくため息をついて冷笑して応える。

 今まで一緒に過ごしてきたクラスメートを自分たちの戦闘を有利にするための糧にする考え方は姫奏には全く思い浮かばない作戦だった、そしていい気分ではなかった。だが、今回のリーダーは彼女である、とりあえず相槌を打って彼女の作戦を聞いていく。


「毎回実戦訓練に選ばれる敵がいやらしくなってるしね、まぁ……、私達以外のパーティーで初日で倒せるパーティーは、まず、いないでしょうし、ほっといてOKなのよ」

「ふ~ん、毎年違うんだ」


 姫奏の無知な発言に、パーティーメンバーが凍りついたよう驚く。


「ちょっとあんた、そんなことも知らないの? 実戦訓練なんて小等部で一番大事なイベントだよ? 過去の敵のデータや傾向をみて予測計画建てるの常識でしょ?」


 実戦訓練に掛ける思いの温度差に魔術師のカノが姫奏を一喝する。

「……ごめん」

 魔術師のカノに限らず、成績上位者、つまりは本気で将来冒険者として外の世界を目指す生徒には一生を左右する出来事で、人生をかけた日になるにも関わらず、無頓着な姫奏に、パーティーメンバー達は不安になってきた。


「……とりあえず、皆の覚えてるスキル把握しておきたいから、自分の使えるスキルを書いて提出ね」

 仲間が使えるスキルを覚えて戦闘を有利に進めることは、パーティーリーダーの勤めである。

 カノは、女の子らしい可愛い便箋を用意して、配っていく。

 スキル以外にも、簡単なプロフィールとかも書けるやつだ。

 こういうのを初めて渡されたので、全ての項目も真面目に書いていく。


(名前、八祇間姫奏、血液型は……友達ランキング……? 他のクラスでもいいのかな?)


 便箋を記入していき、それぞれが自分のスキル・趣味や性格など紹介する中、姫奏も書き終わりリーダー達が姫奏のスキルを見る。

 自己紹介をこんな形でするのは少し照れくさい感じもあり、反応に少しだけ期待してワクワクする姫奏だったが、現実は非情である。


「あんた……ほんとに聖職者なの? 全然支援スキル覚えてないとか、6年間何やってきたの? 常識なさすぎるんですけど」

「…………」

 カノが急に立ち上がり、担任の教師のもとへ駆け寄って行く。

「ちょっと先生、パーティー変更今からできますか?」

 姫奏のスキル詳細を知り、支援職として使えないから変えて欲しいと直談判されるのを黙って聞いている。

 その光景は目立ち、関係ない周囲のパーティーからも見られ、心が締め付けられる思いになる姫奏だった。

(この反応は、わかっていたよ……)


 だが、今更もうかえられないと却下され、カノは、肩を落としながら席に戻ってきた。


「はぁ……ちょっと皆いい?」


 この皆の中には姫奏は入っておらず、姫奏だけ席に残り他のパーティーメンバーが教室の隅に収集をかけられ相談が始まった。


「あの子は使えないから、当日は私達だけで狩りするしかないわ」

「まじかよ、回復係いねェのはつれェよォ」


 前衛を務める剣士のjobの少年が駄々をこねる、モンスターからの攻撃を一番多く受けることになる職なので、聖職者のjobの支援をもっとも必要とするからだ。


「仕方ないから、当日は消耗品を沢山積んでいくことね」


 消耗品とは、昔から存在するHPの回復する水薬ポーションや薬草の事。


「はぁ? 一週間もつわけねぇよ! 地味にポーションって重たいんだぞ」

「なに? だったらダメージ受ける前に避ければいいでしょ? あんたも使えない系?」

「なんだと!」


 魔術師と剣士が喧嘩を始めだし、アタッカーとなる射手のjobの少年が仲裁に入る。


「まぁまぁ、ようは俺たちアタッカーが速攻で倒せば済むことだろ? 俺のデューロックの弓は強いから問題ないさ」


 〈デューロックの弓〉外の世界に存在するモンスター、デューロックの弓兵が使うとても大きな弓。小学生が持つには大きめで扱いは難しいが、武器のもつ殲滅力は高く、大人の冒険者も現役で使用できる程優秀な武器。


「ま……私の魔法の詠唱時間だけ稼いでくれたならあとはなんとかするわよ」

「そーいうこと、攻撃こそ最大の防御だからなッ!」


 力強く弓を構えてパーティーの士気を高める射手の少年。

 完全に蚊帳の外になっている姫奏は、こんな状況でも自分のことより千雪の心配をしていた。

(ちゅきはイルネスと同じクラスだけど、イルネスは病気で欠席するだろうし、ちゅきもクラスで一人になってるんじゃないかなぁ~、はぁ、ちゅきと同じクラスだったらよかったのになぁ~)




 波乱のパーティー分けが終わり、場面は実戦訓練の討伐モンスターを決定する職員会議の日に移る。



 シャトレーヌ学園の6年生のクラス担任が机を囲むように座っていて、ざわめきが起きていた。

「デジレ先生! 正気ですか? あなたは子供たちを皆殺しにするきですか!!」


 一人の教師が、学園長に申し立てている。

 そこに、泰然と構える学園長デジレ・シャトレーヌの姿があった。


「死なないでしょ? うちの学園の子は、これくらいの敵も倒せないと?」

「……私達でさえ、対策がなければ苦戦……いや、勝てるかどうかもわからないモンスターをッッ……!?」

 別に座っていた教師がそう呟いた瞬間、学園長の鋭い目線が向けられ教師の背筋が一瞬で凍りつく。

「ふぅ……そういう冗談が言える教員がうちの学園にいたのですね」

 並の人間では発せない、闇のオーラ、殺意の波動に戦慄する教師達。

 この学園の教師たるもの、倒せないモンスターが存在してはならないのだ。


「私はッ! せ、生徒のレベルを思って……! 代弁しているのです……!」

 デジレ・シャトレーヌのオーラに晒されただけで、呼吸が乱れ脂汗を流し顔面を蒼白させ応える教師。

「ふーん、ま……いいです。当日の生徒たちの戦いっぷりが楽しみですね……」


 悪魔のようなほほ笑みを見せ、強制的に会議を終焉させるデジレ・シャトレーヌに、恐怖を感じる教師たち。


(デジレ先生は狂っている……小等部の生徒だぞ……何を考えているんだ!?)




 ――そして、運命の実戦訓練の日が訪れた。


 不吉を知らせる暗い灰色の雲が広がる日だった。

 目的の狩場には、大型のバスでクラスごとに別れて移動する。

 唐突に、移動中のバスの中で今回の討伐モンスターの名前が公表された。

「皆さん、聞いてください。今回の討伐モンスター“あかなめ”に決まりました」

「ふはっ、あかなめかァ~」

「うわぁ…よぉーゆ~♪ すっげー雑魚じゃん!」


 今回の課題にでる敵はかなり強いと噂を聞いていた生徒たちが、一斉に緊張の糸が切れたように笑い出す。

 あかなめは、垢を舐めるだけしか脳がない雑魚モンスターで攻撃力もなにもない安全なモンスター、その代わり数がものすごく多い。


「八祇間さん、よかったわね、どのみちあんたに頼らなくて良さそうだわ、今回の討伐は質より量をこなす系みたいね」


 グループごとに近い席で座っていた魔術師のカノが、後ろに一人座っていた姫奏に笑顔で言う。

 本人は悪気がないのかもしれないが、酷く失礼な言い方だ。


 しかし、誰もが“垢を主食とするあかなめ”を連想するなか、姫奏はただ一人“別のあかなめ”の存在を考えていた。


(この世界とはまた別の世界から来たといわれるあかなめが、マニア城の図書館で見たことがあるんだけど……まさかね)


 姫奏の目線は、教師の怯える姿を捉えていた。

 違和感が姫奏を飲み込んでいく。


 ――なぜ、現地でなく、バスの中で公表したのだろうか、学年合同のイベントはタイムラグの不公平が生じないように、現地で全員集まってから課題を公表するほうが良くないだろうか?

 担任の表情は、目的地に近づくごとに引きつり、今すぐ逃げ出したいと訴えているようだった。


 そして、バスがとまった。

 現地についたのだ。

 子供たちは我先にとバスを降りていく、修学旅行にきたように浮かれている。

 草木が点々と生えるだけの広い荒野に、周囲は岩石で出来た山で覆われた隔離地帯。

 空は相変わらず曇っていて肌寒い。


「さあってと、あかなめ大量虐殺祭りはじめっぞ~!!」


 ガチャガチャとアーマー姿で完全武装した男子生徒の一人が、剣を振り上げて気合充分に叫ぶ。

 すると、子供たちを全員降ろし終えたバスが急発進しながらとんぼ返りを始めだした。


「は? なんだ? 置いてっちゃうのかよ~ヒデェ~」


 なんとなくいつもと気配が違うとは感じたが、全員特に危機感もなくバスを見送る。

 生徒だけのサバイバルもあるのだろうなど、勝手に納得するものもいる。


「せんせ~! ついでにジュースと漫画もかってきてー! なんちゃって」


 ノーテンキな生徒とは逆に、バスの中では必死な形相でアクセルを踏み全力で逃げ出す教師の姿があった。

「ぁぁ……罪深い私をお許し下さい……許しくだ……ヒィッ!?」


 その時――。


「あ……」


 バスが突然爆発を起こし、周囲に爆風と噴煙が吹き荒れた。


「バスガス爆発~なっつってw」

「ちょっと、ふざけないでよ……なに、あれ……どういうこと?」


 突然のバスの爆発、おそらくは担任教師の死に、怯えだし不安になり、ざわつき始める子供たち。

 その時、ある生徒が何か影を見つけ、指を指す。

「あれ……なに?」


 バスの爆発の原因、それはモンスターの襲撃だった。


「飛んでる……羽が生えてるぞ……」

「ここにいるのはあかなめじゃないのか? あんなモンスター見たことないぞッッ!!」

「あれ……ドラゴンじゃない!?」


 状況把握ができない生徒たち、初めて見る未知のモンスターにパニックになっていく。

 その中で、遂にモンスターを視認した姫奏が、自分がマニア城の図書館で見たモンスターであると確信する。


「吸血竜……あかなめ!? 間違いない……図鑑でみたモンスターと一緒だ……」


 バサバサと大きな翼で飛行していたあかなめが、地上に降りたった時、地響きを感じさせる程地面が揺れた。


「なんだ? あいつ一匹かよ? とりあえず、俺が引き付けるから皆続いてくれ!」


 最初にバスから降りたフルアーマーの少年が大剣を構え、あかなめに斬りかかっていく。


「近くで見たら、意外とでけーな……、ま、集団でボコっちまえばいけるっしょ、というわけで簡便なあッ!!」


 吸血竜あかなめはドラゴンの中では小型だが、それでも大人の3倍はある体躯をもつ。

 少年は自分の身長ほどある大剣を力任せにあかなめに叩きつける。すると……。


 バキン! 吸血竜あかなめの皮膚は、鋼のように硬い鱗に覆われていて、少年の大剣は無様に折れてしまった。


「? あれっ?」

 少年は、あまりにも簡単に折れた剣の姿をスローモーションのように眺めていた。

「? いてっ?」

 さらに、なにか衝撃を受けた気がしたが、少年はまだ何が起きたのかわからないでいた。

「! はは、笑えるぜ……」

 完全武装していた鉄の鎧を簡単に貫いていた吸血竜あかなめの鋭い爪は、少年の背中まで貫かれてしまっていた。


「うわぁあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁっぁぁ!!!!」


 周囲に、鮮血の雨が降り注いでしまった……。


 〈吸血竜あかなめ〉その名は血液の赤からつけられている、戦場で血の雨を降らせ、長い爬虫類の舌をちらつかせているおぞましい姿からこの名前がつけられたとされるモンスター。


「救護班!! 急いでヒールしてやれよ!! 何やってんだよッッ!! 死んじまうぞッッ!!」

「くそぉッ!! どうせこの辺が弱点だろぉがぁ!!」

 射手のjobの少年が素早く弓を構え、あかなめの眼球に狙いをつけて矢を放った。

 鋭く風を切ってあかなめの眼球に殺到する矢、だがあかなめの眼球は頑丈なクリスタルで覆われていて傷一つ付けられなかった、しかも不運なことに射手は逆に狙いを付けられてしまう。

 吸血竜あかなめは、スゥ……と息を吸うと口から上級と思われる強力な灼熱魔法を放ってきた。

「なんだコイツゥーッ!! 魔法までつかえるのかよぉぉォォ!!」


 もはや、状況は獰猛どうもう猛獣もうじゅうの檻の中に放り込まれた状態だった。

 たった一匹の吸血竜あかなめの異常な戦闘力に、子供たちは紙くずのように散り捨てられていく。

 だが、絶望はこれからだったのだ。


「皆見て!!」

「う……うそだろ……」

「こいつ……一匹じゃ……ないの……?」


 実戦訓練として、討伐数が設定されているので当然といえばそれまでなのだが、あかなめは一匹だけではなかった。学年のクラスのパーティーの数だけあかなめは用意されていた。


「もうやだぁぁぁ!!」

「死にたくないよぉォォ!!」

「助けてくれぇぇ!!」


 あまりにも規格外に強力なモンスターの集団に囲まれ、完全に戦意喪失状態に陥る子供たち。

 果たして、生き残ることは出来るのか……。



 ――続く。


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