表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/33

究極生命体亡魔獣ゲムイチソ

 全ての亡魔獣はイヴのエクトプラズムから生まれる。

 亡魔の神イヴは自身の細胞の一部を元に無より生命を創りだす能力がある。


 生命の元となるエクトプラズムを頭部の突起物より放出しそれが繭状に形成された後。予めインプットされた“概念”を鋳型として変態していく。


 基本的には一体のイヴから一体の亡魔獣が産み出される。


 だが今、複数のヨークサイテリアが集まり、一つの実験的な試みが行われようとしていた。

 エクトプラズム排出期のイヴ5匹。

 その5匹のイヴが一箇所に同時にエクトプラズムを排出する。

 複数の“概念”が複雑に混ざり合いより高等な亡魔獣が出来上がるのか、拒絶により失敗するのか…。


 ドクン・・・ドクン・・・


 この悪魔的実験から数日が経過、繭の内部では亡魔獣が成長し生まれようとしていた。

 その誕生の瞬間を見守る、亡魔神イヴと反転の亡魔獣マリア。


 ビキッ・・・バラ・・・バラ・・・


 複数の亡魔獣の集合体、キメラ亡魔獣とでも言うべきか?


 最初に言っておく、この亡魔獣は失敗作だった。

 亡魔獣は亡魔獣とし生まれるに当たり“概念”をもち生まれることが条件とされる。

 この亡魔獣は複数の概念を持ち合わすことは出来なかった、二律背反のように競合した概念が消失してしまったと言える。

 この亡魔獣は3つの頭部をもち、それぞれに独立した頭脳を携えていた。


 一つは。

「オウ!ママー!オハヨウゴザイマスデース!」

 陽気なエセ外人の頭脳。


「早速ですが、二つ名を決めても構わんであろうか?」

 勘違いした中2病患者のような頭脳。


「フォーラム!」

 動物が鳴き声を放つように「フォーラム!」しか喋れない何を考えているのかわからない頭脳。


 この3人? を一つの体が支えその体にはまた別々に独立した手足が3対ある。

 当然の如きコントロールは難しいのだろう。

 操縦をだれの頭脳で行うのか、お互いの頭脳と相談しあう。一つはフォーラムしか言えないので基本的には二人?で会話している。

 切磋琢磨していると、母であるイヴが名前を決めてくれると申し上げてくれた。


『あなたは、記念すべき亡魔獣私自ら名前を決めてあげましょう』


 繭から生まれた亡魔獣が母自ら名を決めてもらえることは、基本的には無い。

 この亡魔獣は余程期待感にあふれた状態で生まれてきたに違いない。

 “概念”を忘れているという事実が気付かるまでは。

 本当に特別に愛された亡魔獣だった。

 母からの命名を、いまかいまかと待ちわびる3つの頭脳達。

『あなたは、ゲムイチソ、究極生物という意味よ』

 究極生物とよばれ3つの頭脳は互いの顔を見合わせ、大喜びをした。


「ママ! ネーミングセンスファンタスティックデース!」

究極螺旋遺伝子(アルティマスパイラルゲノム)という意味ですね」

「フォーラム!」

 名前の次は、性能のテストである、既に只ならぬオーラを身に纏うゲムイチソは通常状態にして過去に存在した亡魔獣を全て足していったとしても埋まらないほどの力を持っている。


『ゲムイチソよ、早速あなたの力を見せてご覧なさい』

 最愛の母イヴの期待にこたえるべく、ゲムイチソは自身が持つ最強にして究極の魔力を練り上げていく大気が震えだし張り詰めていく。


「オゥケー! ママ!! ミーノスペシャルパワーミテクダサーイ!」

 6つの腕が六芒星の点を指し示すとゲムイチソの背後に暗黒の六芒星の魔法陣が展開される。


「手始めにそこの大陸ごとを消し去って見ましょう、混沌の嗜虐六芒(カオティックデモンスプリクト)!!」

 紅電の光が結ばれゲムイチソの6つの掌にバチバチと甲高い音を放つ雷球が出来上がる。


「フォーラム!」

 6つの掌を一つに結びあげると練り上げた六芒星の魔力が一点に集中される。

 離れてみていた亡魔獣マリアがその魔力を見て感じたことは、この力こそ、魔力の終着点そのものだろうと思った。

 だが、その力を解き放たんとする刹那。

 遥か上空より光る星の瞬きの様に御徒原ユウユの天使の傀儡が飛来した。


「そうは行かない!」

 交差する瞬間、ゲムイチソの腕を切り落としたユウユの光り輝くレイピア。

 充填していたエネルギーが暴発しゲムの体が吹き飛ばされる。


「産まれる前に倒したかったが…関係無かったようだな…、イヴよ、どうやらお前の試作品は完全な失敗作だったようだな」

 ユウユがゲムイチソを倒し、空中浮遊しながら宿敵のイヴと対峙する、だが。


 亡魔神イヴが“ニヤリ”と笑うと突如ユウユの背後に“影”が出現する。

 ゲムイチソは生きていた神速の回避、ユウユが切り払ったものはゲムイチソの残像だったのだ。

「ミーハイキテマース」

「フッ……残像も見極める事が出来ないのですね……」

「フォーラム!」

 敵に背後を奪われ更に“声”を聞いて初めて存在に気付くレベルの実力差だった。


「なにっ?!」

 ユウユの背中を蹴りあげ上空からいっきに地面に転落する。

 その時のスピードは音速を越え、衝撃波で周囲の木々は押し倒されていった。

 傀儡が持つ天使の力アストラルパワーによってある程度の衝撃に耐えることが出来るユウユだが、その力をもってしても互角の魔力、地上でうまれたゲムイチソが天使の力をひっくり返した瞬間だった。

「ぐっ……」

 追い打ちを仕掛けるゲムイチソ。

 ユウユが地面に叩きつけられる瞬間にアストラルパワーの逆噴射で直撃を免れ、体制を整えている僅かの隙に“嗜虐六芒”を展開し何時でも放つことが出来る状態に。

(あれだけの魔力を…一瞬で蓄積したというのか!?)


「デハシンデクダサーイ!」

「避ければどうなるか……あなたならお解りですね? ニヤリ」

「フォーラム!」


「舐めるなよ!」

 ユウユが傀儡の翼からアストラルパワーを掌に充填、宇宙に煌めく星々の力、ユウユの全身が燐光を放ち、プラズマのような火花を漂わせる形成されていく神の光。

 対抗する暗黒と混沌の魔力。

 対極する二人の力は互角であった。

「ありえん! アストラルパワーと互角の魔力だと!?」


「オウ! ノォ! ミーのビームトソックリネェ!」

「バカな…究極生命体である私の嗜虐六芒(デモンスプリクト)と同威力だというのですか!?」

「フォーラム!」


 威力は誤差0・001%の狂いもないほど互角。

 まるで何も起きなかったかのように互いの技は消滅した。


「亡魔獣め……」


「コレジャーショウブガツキマセンヨー」

「これが、アストラルパワー……」

「フォーラム!」


 初撃は油断したユウユだが、その後は傀儡の力をフル稼働し、パワースピード共に完全に互角の攻防戦が繰り広げられた。

 やがて、その拮抗した戦闘力をみて反転の亡魔獣マリアが参戦を決意する

「私が倒してあげるよ…」


「オウ! マリア…タスカリマ~ス」

「確かに……彼ならば反転の力を使うほうが効率はいいでしょうね」

「フォーラム!」


 対峙した二人の間に入るようにマリアがユウユを見つめあげる。

 ユウユにとってみれば、マリアは唯の少女型の亡魔獣でパワーもスピードも何一つ感じることのない雑魚亡魔獣の一匹でしかなかった。

「女子供でも亡魔獣ならば容赦はせん!死に急ぐならば貴様から死ね!」

 マリアのレベルからみればユウユのスピードは瞬きをしている間に事が過ぎる程である。

 だが、ユウユの光剣がマリアを切り裂いた時、ユウユの傀儡が分断された。

「な……なにっ!?」

 傀儡が空中分解され制御できず大爆発を起こす。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ユウユの傀儡はバラバラに分解され黒煙を上げながら崖に落ちていった。

 あっけない幕切れだった。

「コノタカサカラオチテタスカルワケアリマセーン! ワレワレノショウリデース!」

「さすが、反転の力…彼も高レベル故にお気の毒ですね…メガネクイッ」

「フォーラム!」 


「崖落ちは生存フラグって人間界にいた時見たよ」

 岸壁に立ちユウユの行方を見るマリア。

「あ、川に落ちた……」


「……オウ……」

「フラグ確定……」

「フォーラム!」


「川に毒でも流しておけばそのうち飲んで死ぬかも」

 崖の下に流れる川を見てマリアが提案する。


「グッドアイデアデース! ミーノシッポドクヘビデース!」

「フッ……面白いですね……魍魎拡散(ランダムデリート)……!」

「フォーラム!」


 マリアは、自身の反転の力が100%発動したことに前回の姫奏との戦闘を思い出していた。

(あいつには普通に反転の力が働いた…八祇間姫奏には何か特殊な力がある…)

 なぜユウユには効果があったこの力が姫奏には効果が薄かったのか未だに理解不能。

 自分の能力をもっと見つめなおし、根本的に理解していく必要があると学習する。

 生まれながらにして人間界におけるマニアの力を“概念”として搭載する亡魔獣が自身の力をより研究することで精度と応用力が進化する。

 だが、自身の成長が自身の概念に相反するという矛盾にマリアは気づけないでいた。


「それより、いちいち3人で喋らないとダメなの?うるさいんだけど…」

 ゲムイチソの尻尾の蛇の毒牙から毒液を分泌し川に流している間ゲムイチソに話し掛けるマリア。

「オウ……ソーリー……」

「うう……」

「フォーラム!」

 マリアに叱咤され今まで3人でいちいち声を発していたゲムイチソだが大人しくなる。


 そして、禁断の質問は投げかけられてしまった。

「あなたはどんな概念を持って無から産まれたの?」


「ファッ……」

「……」

「フォーラム!」


 質問に答えられず、流していた毒もストップし、沈黙するゲムイチソに目を丸くして驚くマリア。

 ゲムイチソは震えていた、亡魔獣として生まれてきた自分の存在意義を答えられない自分の痛恨の愚かさとこの後に予想される母と兄弟達の対応を察知できるからだ。

「え…まさか忘れちゃったの……?」

 やはり、落胆している、期待を裏切っている。

 自分の名前を、亡魔獣としては初めてにして唯一母から名前を貰えたにも関わらず最大にして最悪の欠陥。


「…………」

「…………」

「フォーラム……」

 亡魔獣として重要な“概念”の記憶、これがなければ人間と変わらない、ただ強いだけの生物。

「イヴ様…この子って……」

『どうやら、亡魔獣としては失敗作ね』

 最愛の母からはっきりと失敗作と言われてしまう。


 失敗作……

 失敗作……

 失敗作……


「オゥ……ママ……ユルシテクダサイ……」

「うっ……眼が……疼く!?(現実逃避)」

「フォーラム!」


 強さだけ見れば、確実にこの星を支配できる程の完成度を誇る最強の生命体であるゲムイチソだが、たった一つの欠陥があるばかりに一瞬にしてゴミ当然に変わってしまった。

 マリアが反転の力で消去しに近づいてくる。

「概念を忘れた亡魔獣など、仲間ではない…無に還ってもらいます」

 先ほどの期待感が幻だったように、ゲムイチソは処分されるのだ。

 これが、亡魔獣達の価値観だった。

 マリアが手を下そうとゲムイチソに触れようとした時、慌てたゲムイチソが足を踏み外し崖に滑り落ちた。


「フォーラム~~~~~!!」

 墜落していくゲムイチソを冷たいまなざしで見つめるマリア。

「…自ら流した毒で死ぬのも滑稽でいいかもね…さよならゲム」


 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・


 崖に落ち、自ら流した毒を飲み込むゲムイチソだが究極の生命体としての生命力と運命力の力により生き残ることが出来た。

 わずかに気を失っていたが目を覚まし、周囲を見渡し、自分の現在位置を確かめる。

 崖から転落し、川に流された先はダム湖になっていた。

 湖端に打ち上げられていたようだ。

 別々の意識を持つそれぞれの頭達、先に気がついたエセ外人のゲムだったが、他の頭の反応が無く不安に襲われる。

「セントラル……フォーラム……イキテマスカ……!」

「うう……」

「フォーラム……」

 他の頭達の意識が戻り安堵する……が、この後自らの運命を悟り心が揺さぶられていく。

 自分自身の3つの頭脳で相談するゲムイチソ。

「ヨカッタデース…ワタシタチコレカラドウスレバ……」

「イヴ様に捨てられ、堕ちた我々に…生きる理由などない……」

「フォーラム…」


「オォウ…ソンナノイヤデース……」

「しかし…自らの毒でも死ねない究極の生命体……生きる屍……か」

「フォーラム……」

 ダムに蓄積した自ら流した毒水を吸い上げ飲み干すが結局自殺することは出来なかった。

 自らの生き末を悩むゲムイチソ、その姿を先に落ちた御徒原ユウユが見つける。

(あれは……さっきの亡魔獣……いったいどうしたのだ……?)


 その気配に察知するゲムイチソ。

「ダレデス!?」

「あなたは先程の……」

「フォーラム」


「しまった……」

 傀儡を破壊され修復までに数ヶ月以上かかる、いま戦闘になれば確実に殺される。

 だが、ゲムは攻撃を仕掛けてこない、それどころか話しかけてきた。


「ユーナラ……ミーヲ、コロセマスカ?」

「……嗜虐六芒と同威力の力を持つ者ならば……」

「フォーラム」


「……どういうことだ?」


 ゲムはこれまでの話をユウユに話した。


「くだらない、貴様は亡魔獣だ。そんな心配イランすぐに討伐される……」

 傀儡は敗れたが、この世界にはまだけてマニア率いるマニア達がいる、そして御徒雅穂をもつ千雪…。

 ゲムイチソを倒せる戦力は残されている。

「だが貴様…そんな事を頼むなどイヴに対する裏切りではないのか?」

(敵にアドバイスをするなど、どうかしている……)

 ユウユは自分自身の甘さにほとほと飽きれていた。


「オオウ……ママノコトハウラギレマセン……」

「……」

「フォーラム……」


「ならば、敵である我らにそんなことを祈願するな…だが亡魔獣としての枠組みから外れて生きるというのなら、まだ道は存在する死を急ぐことはないだろう・・・」

 そう言ってユウユは去っていった。


 敵である彼は生きる望みがあると言ってくれた、だが自分には生きる目的がない、最愛の母であるイヴからも必要とされず兄弟達である他の亡魔獣からも迫害される身。

 ただ図体だけがでかい自分に何が出来るのか。

 亡魔獣として生まれてしまった以上、他の生物との共存も出来ないだろう。

 3つの頭がある事だけが支えだった。

 3つの頭で互いに支えあい、一人で生きていくこと、多くは望まず、生まれてきたことだけに感謝をして生きる。

 ゲムは3人で相談した結果、それが一番理想的な自身の人生だと結論した。


 だが、大きすぎる体は目立つ。

 何もせずとも、敵は自分の命を狙い討伐に迫ってくる。

 究極生物として生命力だけは高いゲムなので、例え軍隊が攻めてきても死ぬことは出来なかった。

 だが、ゲムイチソは敵を殺そうとしなかった、その気になれば殺せるし幾らでも奪える力があると自覚するが、本当に殺したい自分を殺せない力などで他人を殺すことに必要性を感じなかったのだ。

 むしろ、それでも寄ってきてくれる生命に感謝していた。

 母に捨てられた自分だがそれでも相手をしてくれることに安らぎを感じているのだ。

 やがて、討伐隊としてマニア城の住人が現れる。

 予め、ユウユからゲムイチソの情報を聞き、これまでの経過からゲムイチソには既に人類に害意は無く、友好的な亡魔獣になり得る存在としてのアプローチだった。


「ゲムイチソさん、マニア城の入居者になりませんか?」

 かみやふくべえが亡魔獣ゲムイチソに入居の誘いを行う。


 究極の生命体として産まれたゲムイチソだったが、孤独に勝つことは出来なかった。

 全てを諦めていた時に自分を受け入れてくれる場所を人間側が用意してくれたという衝撃に、その優しさに涙を流した。

 生まれてきたことにやはり意味など無かった、そう悟った矢先の出来事だったのだ。

「アリガトウゴザイマス…」

「この世界に……光はあった……」

「フォーラム~」


 だが、そこに亡魔獣マリアが現れる。

「ゲム、まだ生きていたんだね……よかった」


 けてマニアと共にゲムイチソを迎えに来ていた姫奏がマリアと対峙する。

「マリア! 今日こそ決着をつける!」


「相変わらず争うことしか頭にないの?」

 うぐっと…黙りこんでしまう姫奏を消してしまいたいマリアだったが、未知数の力を警戒し戦闘は避けたかった。

 それよりも、今は一度破棄した兄弟の回収を先決したかった。

「喜びなさい、ゲム、イヴ様があなたをもう一度転生する方法を見つけてくれたわ」


「テンセイ……デスカ?」

「……それは……いったい……」

「フォーラム?」

 姫奏達を差し置いて会話を続ける亡魔獣二人。

 しかし、その内容は穏やかではなかった。

「あなたの肉体をイヴ様が吸収し、もう一度エクトプラズムとして排出することで、あなたは無敵の亡魔獣として産まれてくる事が出来るわ」


 無敵…無に還ることは許されない程の罪を自分は作り上げたということ。

 転生した後も生き続け、永遠の魂の牢獄に閉じ込められるということ。


「シスターガ……無ニ還シテクダサイ……」

「生まれ変わることなど…出来ない……!」

「フォーラム!」


「あなたの今の悩みなど忘れられるよ、何を恐れているの?」


「シスター! 無ニ……!」

「もう諦めよう……逃げるしか無い……」

「フォーラムゥ!!」


 逃げ出したゲムイチソを追いかけるマリアだが、姫奏達に阻まれる。

「人間界の神けてマニアと八祇間姫奏」


 逃げ出して離れていくゲムイチソ、目線の先にイヴがいた。

 逃げ出したゲムイチソを25センチ程の小さなヨークサイテリアの口が20メートル以上に大きく広がりゲムイチソを一飲みした

 その一瞬の出来事にその場にいる全員が驚愕する。

「うそ……っ!?」

「亡魔神……イヴ……!」

「イヴ様の口……そんなに大きく開くんですね……」


 ムシャムシャとゲムイチソを咀嚼しているイヴ。

 げぷっと胃の中の空気を吐き出し、イヴの胎内でゲムイチソが新しい生命体として転生されていく。

『彼の名は生まれる前から決まっている、無敵の亡魔獣、ムテーキよ』

 姫奏たちがイヴとマリアに戦闘を挑もうとするが。

「これでもイヴ様は懐妊してます、あまりストレスは与えないようにおとなしくして頂けるかしら」

 イヴが“おなかにあかちゃんがいますストラップ”をつけてしまい周辺での戦闘ができなくなる、この魔法(マジック)アイテムを装備したキャラは行動が制限される代わりに攻撃対象に選ばれなくなり、更に周囲での戦闘は不可能になるのだ。

 姫奏たちが狼狽しているうちに2匹は霞に消えていった。

「あのアクセサリーを装備させられてしまっては、こちらから攻撃をすることはできません…今日のところは引き上げましょう」


 亡魔獣のイヴでもあのマークをつけることに姫奏の心に戸惑いが生まれたが、ひとつの欠陥だけで簡単に殺せるイヴたちの愛情の無さに一層怒りが沸き起こるのであった。

 自分のホーリーライトの光を見つめ、姫奏はこの魔法を大切に育てていくことを固く誓った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ