知識の亡魔獣 クイズマン
「上は洪水、下は大火事なーんだ!」
突然ナゾナゾを言い出す姫奏さん。
「……?」
「なーんだ!」
満面の笑みで答えを待つ姫奏に真面目に回答を考える千雪。
(たしかお風呂っていうのが答えだけど、最近のお風呂は下から沸かさないし、なんて答えればいいんだろ……けど素直にお風呂って言っていいのかな……)
「ブー時間切れ! 答えはお風呂でした!」
(やっぱりお風呂でよかったんだ……)
「ちゅきは頭が硬いねー」
「そうなのかもしれないね」
「じゃあ第2問ね」
「うん」
「とらを食べちゃう車ってなんだ!」
「……?」
「5・・・4・・・3・・・2・・1・・・」
「あ…」
「時間切れ! とらをくうからトラックだよー♪」
「なるほど……ってなんで急になぞなぞ?」
「ガチャガチャやったらナゾナゾの本が出てきた!」
「あーそれなんだ……」
キーホルダーが付いた小さな本に『なぞなぞ100キミはいくつできるかな?』と書いてある。
「他の人にも出題してくる、ちゅきはナゾナゾ弱すぎ」
「……」
リビングでマニアのコレクションを整理しているかみやふくべえを見つけ、早速問題を出す姫奏さん。
「ふくべえさん! 上は洪水、下は大火事なーんだ!」
再びニコニコ顔で回答を待つ姫奏さんだが……。
「坂立ちしておしっこしながら火を吹いているゴジラですね、昔マンガで見ました」
「!!???」
「違いましたか?」
「そんな答え求めてないし! ふくべえさんも真面目に答えてくれないならもうナゾナゾしてあげないし!!」
「それは困りましたね」
ナゾナゾの本をパラパラとめくり適当な問題を選ぶ。
「じゃあ2問目! 点々をつけると、踊りだしてしまう家具って何?」
「この前戦った掃除機象ですか?」
「そういえばあいつ歌ったり踊ったりしてたね、って違う! 答えはタンス!」
「もうみんなナゾナゾちゃんとしてくれないから嫌いだ!」
怒って日課の夜の狩り飛び出していく姫奏さん。静寂に支配され街路を歩いていると、人影がぽつりと現れた。
ジェントルマン風の謎の紳士の様な出で立ちの男が話しかけてきた。
「お嬢さん、ならばワタクシがクイズで御相手いたしましょう」
優雅な会釈をして、ジェントルマンな口調の男、だがかみやふくべえ並の”へのへのもへじ”顔だ。
「私クイズでなくてなぞなぞがしたいの」
「ワタクシはクイズマンです、クイズしか出来ません」
「なぞなぞがしたいの」
「クイズをしましょう」
「なぞなぞが……」
「クイズを……」
「なぞなぞ……」
「クイズ……」
不毛なやりとりを数分繰り返す……。
「お前! さては亡魔獣だな!!」
「ふふふ……今のやりとりで見抜くとはさすがマニア城きっての天才少女八祇間姫奏嬢……」
天才少女と言われて少し照れくさくなる姫奏さん。
「え、私って亡魔獣の中で天才少女って事になっていたの?」
「女性はあなたしか居ないとの情報がありましたからね」
「なんだ、そういうことか……っていうか何時そんな情報漏洩が……!」
「ワタクシはクイズマン、知識の亡魔獣でございますですので……」
戦闘態勢になる姫奏に言葉を差し向ける。
「ワタクシには物理・魔法攻撃はききませんよ」
「なにっ!」
「ワタクシと勝負するにはクイズでお願いしますね」
「だからなぞなぞ……「クイズでしか勝負しません!」」
……………………。
「じゃあ帰る……」
「お待ちください!! なぞなぞもアリにしましょう!!」
帰ろうとする姫奏を焦って呼び止めるクイズマン。
「ほんと?」
「そのうそほんとです」
「えっ? どっち?」
「さて、どっちでしょう?」
「え……もしかしてもう始まっている?」
「さて、どうでしょう」
「…………」
姫奏は過去に戦った敵でここまで本気で倒したいと思った敵はコイツが一番になった。
「嘘が本当なんだから……ナゾナゾありっていうのは……嘘!」
「違います!! その嘘は本当になるという意味ですのでアリと嘘をいったけど本当になるためナゾナゾもアリなのです!!」
「なにそれ!! ずるい!!」
「とにかく、あなたはクイズに負けました……負けたものはペナルティがあります」
「!?」
まさか…魂が取られる!? と身構える姫奏。
「衣類を一枚脱いでいきます」
姫奏は過去にもこんな奴いた気がしたとデジャヴを感じた。
「ま……まさか、紳士は紳士でも変態紳士!」
「ふふふ……否定はいたしません、さぁ、脱ぎなさい」
悩んだ末、無難に靴下を選択した。
「じゃあ……靴下を……」
片足を上げて靴下を脱ぐ姫奏。
「その靴下を引き渡すのです」
渡せと言われて素直に渡してしまった姫奏の靴下をフリーザーパックに入れるクイズマン。
「な……なんでしまうの……?」
あまりにも手慣れた手つきで当たり前のようにこなすクイズマンに怯える姫奏。
「では2問目にいきましょう……イヴのオカルトクイズ……」
「イヴのオカルトクイズ……?!」
『イヴがゲ○を吐きました……なぜ?』
「えっ!?」
「さぁ……お答えください!!」
「え……食中毒?」
「残念、飴を喉につまらせたからです」
「そんなのわかるわけ無いよ! っていうかクイズでもなんでもないし!!」
「クイズとは既知の事実に対する質問を回答者に質問し答えるというもの、実際に喉に飴を詰まらせて嘔吐したことがあるイヴ様がいたのでクイズとして成立するのです!!」
姫奏の反論に容赦無い勢いだけの論破をしだすクイズマン、しかも姫奏の出題を飛ばすという暴挙をしでかしているにもかかわらずそれすら気づかせない男、それがクイズマンである。
「そんなの絶対ずるい!!」
「ズルくありません、もう片方の靴下を差し出しなさい」
「くっ……」
納得行かないまま靴下を差し出すと、さっきとは別のフリーザーパックに詰めだすクイズマン。
「えっ……袋分けるの?」
「当たり前でしょう……時間も角度も違うのですよ?」
ケンタ以上の本物の変態を相手に完全にペースを握られている姫奏さん、角度?
『では3問目! イヴがイヴを蹴りました、なぜ?』
「…………どういうこと?」
このイヴのオカルトクイズは全部で19問存在し、その全てが不条理極まりない答えの問題で構成されており、亡魔獣の身内のみで流行った完全アウェーな糞問題集なのである。
姫奏どころか、かみやふくべえすら答えることが出来ないかもしれないのだ!!
「降参ですか? 答えは臭かったからです!」
「自分が自分を臭くて自分で自分を蹴ったってこと?? わけわかんないよ!!」
「さて……次は何を脱ぎますか?」
「じゃあ……靴……」
当たり前の様に靴をフリーザーパック(大)にとじだすクイズマン。
『4問目イヴがボタンを押してくれと言いましたなぜ?』
「ボタンってなんのボタンだろ……そうだ自分で押すのがめんどくさかったから!!」
「あ……当たりです……」
初正解に度肝を抜かれ背景にイナズマフラッシュが起きていたクイズマン。
「えっ! ほんと? やったぁ!!」
「ぐぬぬ……ではワタクシの靴下を……」
変なおっさんの臭い靴下をもらってしまう姫奏さん、もしかしたら勝っても負けても自分が不利なのではと気づき始める。
『5問目イヴの書いてた小説が終わりましたなぜ?』
「え……ネタが尽きたから?」
「す……すばらしい、せ……正解です……」
まさかの連続正解にさっきよりも鋭いイナズマフラッシュでガーンという効果音までついていたクイズマン。
「あ……また当たった」
なんとなく、問題の傾向と対策が見えてきた気がして、もしかしたら勝てるかも!とやる気が出てきた姫奏さん、がんば!
けどもう片方のくさいおっさんの靴下(すね毛付き)を渡され意気消沈するのであった。
『6問目イヴの書いてた小説が終わりましたなぜ?』
「………え?さっきと同じ問題?」
「違います、さぁ、答えなさい10・・・9・・・3・・2・・1・・」
「えっ……いきなりカウント飛ぶとか卑怯だよ!」
「時間切れ、今のはサービス問題だったのに惜しいことをしましたね、答えは最終回だからです簡単だったでしょ?」
「そっか……最終回なら終わるのは当たり前だね」
答えについ納得していたら、クイズマンがほれはやくしろって手振りで催促しだした。
あっ……と思いだし片方の靴を脱いで靴を渡す、ついに裸足になってしまった。
『では7問目、イヴが本を買いましたなぜ?』
「わかった! 読みたかったからでしょ? このオカルトクイズの傾向は見破ったよ!」
「不正解です、答えは燃やしたかったからです」
「なにそれ! なんで買った本をすぐ燃やすのさ! 勿体無いじゃん!!」
言いがかりを付ける姫奏に、さて次は何を脱ぐのです?って表情で視線をとばすクイズマン。
実は今の姫奏の服装はワンピースタイプの服でこれを脱ぐと下着だけになってしまうのだ。
「…………」
「もう脱げないとは言わせませんよ、クイズで負けたものは脱ぐルールです……さぁ! 脱ぐのです!」
姫奏の服を剥ぎ取ろうとするクイズマン。
その時遠くから男の人の声が聞こえた。
「こらー何をやっているんだ!」
「あ、警察の人だ」
「…………」
警察をみて血の気の引いた顔をしているクイズマンだった。
◆次の日ニュースにて
『クイズに負けたから脱げといい、13歳の女子中学生にわいせつ行為をしたとして職業亡魔獣クイズマン被告年齢不詳を逮捕した、同署によると「間違いない」と容疑を認めているという……』
「亡魔獣が警察に捕まるとか、ほんとひどい世の中になってきたなぁ」
「ほんとにね」
次回予告
姫奏がクイズマンと戦っている時、マニア城で取り残された千雪
マニア城に尋ねてきた客との会話の末に自分の戦う意味を振り返ることになる。
次回それぞれの想い
このクイズマン、全裸にさせた後にもクイズを続けさせ耳や目など人体を次々剥ぎ取っていくタイプのホラー系の亡魔獣だったんです。




