表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/33

亡魔獣編~悪臭事件

ここから亡魔獣編。

【本文】

 インキリノコトカンガニ……

 インキリノコトカンガニ……


 ああ……。

 この宇宙が終わり、次の世界の成立が告げられた経が唱えられた様だ。

 壊劫(えこう)の期が終わり、世界の空漠期(くうばくき)が訪れる……



「最近さーなんか臭くない?」「クサイクサイ~なんなのこの匂い?」

「おまえ屁こいただろ!」「してないよ!」


『○日より続く、悪臭事件ですが、政府としては依然原因解明に至らず、対応に追われています』


「変な匂いだよなぁ~」

「今までにないタイプのニオイだよね~」

「とにかくクサイヨォー助けてくれぇ!」


『○日より続く悪臭事件続報です、部屋の換気を怠っていたと言われる一人暮らしの30歳男性が呼吸困難で意識不明となり病院に搬送されましたがまもなく死亡が確認されました』


「えー窓開けたら臭いの部屋にはいってくるじゃんー!」

「それでも匂いが隙間からはいって充満して死ぬんだってー」

「うっわ、臭さで死ぬとか最悪な死に方だな~」


『悪臭事件ですが、今後ムニムニガスの設置を増やすなどの対応を……』


「オッソ!」

「今更増やしても間に合わなくない?」

「てか、あのタンク役に立ってるのかよw」


 世界中が謎の悪臭に包まれ、数ヶ月。人々は外を歩くときはマスクを着用し、部屋に戻るときは玄関に新しい着替えを用意し着替えてから家に入る習慣など個人的な対応策に知恵を絞っていた。



 子供用のマスクを着用しながら登校する姫奏と千雪。

「最近、悪臭問題のニュースばかりだね」

「うん……」

「あ……」

 突然何かを閃いたと思ったら奇怪な行動にでる姫奏。

「どうしたの?……ってなに!?」

 何か閃いたと思ったら突然千雪の服をめくって顔を突っ込んできたのだ。

 クンクン……

「ちゅきのニオイ嗅いでる」

「え……それはわかるけどなんで内側から??」

「外側はもうクサイんだもん」

「さすがに変態みたいにみえるから……やめたほうがいいよ…」

「うっ……」


「私耐えられないかも…ちゅきの靴下頂戴……」

「それも…変態みたいだからやめてよ……?」

「あぁ~臭すぎて頭がおかしくなってる……今ならケンタの気持ちがわかる気がする」

「相当重症だね……」

「けどちゅきは平気そうだね」

「そうでもないよ、すごく我慢してるよ」

「今度私の靴下貸してあげようか?」

「うん、助かる…ってなに言わすの?」

「ははは、ちゅきも変態だった♪」

「うう~……!」


 しばらくしてまた何か閃く姫奏。

「あっ……」

「さすがにパンツは渡さないよ?」

 先手を打ってみたつもりが。

「え?」

 違っていたらしい。

「あ……」

 思わず赤面してしまう千雪。

「……なるほど……ソッチのほうがいいか……」

 危ない表情をしだす姫奏にあわてて下半身を手で覆い守りの姿勢になる。

「納得しないでっ、別なこと閃いたんでしょ?」

「そうだった」

 危うくパンツを取られるとこだったとホッと胸を撫で下ろす。

 ホーリーライトを唱える姫奏。

「あ、臭くなくなった」

「でしょ? 」

 ホーリーライトの除菌能力と、光の粒子を振動させることでプラズマを発生させ臭気を下げた。

「姫奏ちゃん、ホーリーライトで何でもできるようになってきたね」

「私もようやく一人前のマニアになれてきたって感じだよね」


「最近ムニムニガス増えてきたね」

 街の至る所に、三つ足の球体のガスタンクが設置されていることが目立ってきた。

「あれ本当に効果あるのかな?」

「一応あるみたいだけど、すぐにメーターが満タンになっちゃうみたい」

「あのタンクが一斉に爆発したら世界が終わりそうだよね」

「うわぁ……恐ろしい……」


挿絵(By みてみん)


『○県の住宅街でムニムニガスの許容量が限界を超え爆発した事件で、地域住民は呼吸困難に陥り、35世帯のうち男女合わせて55名の尊い命が――……』


 世界は、確実に蝕まれていた、政府はこの匂いの原因に実際には気付いていたが隠しざるをえなかった。

 匂いの正体、ヨークサイテリア犬である。

 そして、ヨークサイテリア犬の正体こそ、亡魔獣の神“イヴ”なのである。


 正体を公表したところで解決する術はなく、ただイタズラに世間を絶望に追い込むことしか出来ないと政府は考えた。

 この世界の重役はこの星の運命を諦めた、イヴは既に世界を支配していた。



 町を歩くヨークサイテリア犬―――!!

「ギャウゥゥゥキャンキャン!」

 光剣で貫かれ、血しぶきを吹き上げ焼け溶けた内蔵がバラバラに飛散する。


「うわぁぁ! 天使様がっっ!! 動物虐待しておる!」

 突然小型犬を串刺しにした天使に恐怖で逃げ出す住民達。


「ふん……汚物除去をしてやっているのに、愚民どもめ……」


 世界中に存在するヨークサイテリア犬、その全てがひとつの魂を共有しており、唯一無二の亡魔獣イヴにつながっている。


 ――この星に存在するヨークサイテリア犬を抹消する。


 ただ一匹でも残れば、無の使いであるイヴは自身を生み出し続ける事が出来る、つまり前世界同時抹消しなければ無意味、政府が匙を投げた原因の一つだ。

 だが、倒し続けばければ人類は疎か、星に住む全ての生物が呼吸を奪われ死ぬ事になる。

「ただの一匹、されど一匹、この“イヴ”を消すことでこの地域のニオイは少しはマシになるだろう……次だ」


 ヨークサイテリア犬は、世間で言うヨークシャー・テリア犬に近い風貌をした犬だ。

 身体能力も基本的には普通の小型犬と一緒である。

 なので、殺そうと思えば普通の人間でも殺すことは出来る。


「し……知ってるか? この犬がニオイの原因なんだってよ……」

「まじか……っへへ…犬イジメても許されるって事か?」

 ヨークサイテリア犬を蹴りあげる市民。

「ギャウゥ……ブルルっ! ブルルッ!」

「何だこいつ…威嚇してやがる…」

「へへへ……犬っころ殺すだけで英雄扱いになれるのか…いいねぇ…」

「ブ~ルルルルル……ブルル……」

「何だこいつ……回り出したぞ……」

「ははは……きめぇ……しね!」

 ベチャ……

「うわ……こいつ糞しやがった…靴についたじゃねーか」

「キャハハ……その靴もう……おいそれ……糞なのか?」

 ―――――――――!!


『住宅街の一角で男性2人の変死体が発見された事件で、被害者遺体は黒い異臭を放つスライム状の液体に包まれ発見され、悪臭事件との関連を視野に……』


 ヨークサイテリアは、回転による魔法陣形成によって、肛門からスライム状の亡魔獣を召喚することがある(臭いスライムでクサイムと呼ばれている)

 クサイムは、ヨークサイテリアの悪臭を更に高濃度にした臭気を帯びていて触れたもの腐敗させさらに臭気を広範囲に散布できる仕組みになっている。



「あれ…あの犬、頭の先っぽ変じゃない?」

「ホントだなんかプルプル震えて……!?」

 ブシュゥゥゥゥ……!!

『○県○市で白い液体、政府はエクトプラズムの一種とみて……』


 さらに、ヨークサイテリアイヴは、自分の複製以外に特殊な遺伝子構造の有機物とも無機物とも言えない生物を生み出す力を持っている。

 この世界の“モンスター”と呼ばれる生物達、イヴはその全ての生みの親であり旧世代の亡魔獣をモンスターと呼んでいるに過ぎない。


『これが、先日○県○市で現れたエクトプラズムですか?』

『はい…まだ熱を持っていて…脈打っている……い……生きているのですかね』

『間違いないでしょう…しかし…なんて熱だ…』

 エクトプラズムのような物質からメリメリと何かが動き出した

『う……生まれるぞ!』

『―――――!!!』


 そして、新世代の亡魔獣が生まれだしてしまった。


「俺は、熱の亡魔獣…名前は…おい、お前。人間の世界で熱い事をかっこ良く言ってみろ」

「ぁぁ…ぁ……」

「……聞く前に溶けちまった、人間はこんなに簡単に溶けるほど熱に弱いのか……しかし、俺に名前がほしいぞ」

 キョロキョロ辺りを見渡すと、テレビ番組から暑苦しい男が実況している声が聞こえた。

『ファイヤー! 今日も暑苦しい男がお茶の間を熱気に包みます! ファイヤー!』


「……なるほど、ファイヤーというのか、俺の名が決まったファイヤーだ」



 悪臭事件に苦しむ人々、それはまだ滅びの狼煙ですら無かった…。

 世界各地でエクトプラズムが発見された、それは新世代の亡魔獣の繭。

 一つの概念を携え、無より生まれるイヴの忠実な下僕達。

 姫奏達はこの(エクトプラズム)から生まれる亡魔獣を倒すことが出来るのか?

 次回へ続く……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ