49.魔王様とその後
そしてまた俺の魔法学園での新しい一日が始まった。
「起立ー、礼!」
カナリスが号令をかける。
マリナが居なくなった後、カナリスが学級委員に選ばれたのだ。
教卓に立つのはクザサ先生。
ようやくレノルの残した毒魔法が消え、教師として復帰することが出来たのだ。良かった良かった。
レノルが張っていた結界のおかげで学校にもさほど被害は無かったし、壊れてしまった箇所もレノルが元通り復元した。
学校の地下であんな戦いがあっただなんて、ほとんどの人は知る由もない。
「じゃあ次……マオ!」
クザサ先生がいきなり当ててくる。
「えーっと、えーっと」
しまった、授業を全く聞いていなかった。
焦りながら教科書をめくっていると、隣に座っていたセリがトントンと教科書を指さした。
首には黒い首輪が光っている。アクセサリーにしては派手だが、元々セリは派手なので、誰も気にする人はいない。
当てられた箇所を無事に読み終えると、精霊が時計塔の鐘を鳴らす。
「マオーっ、ご飯に行くわよ!」
ルリハが教室の入口で叫ぶ。
「うん!」
カナリスとセリと共に立ち上がる。
「あれ、セリちゃんも一緒なんだ?」
女子生徒がセリに尋ねる。
「まー同じパーティーになっちゃったから打ち合わせも兼ねて、仕方なくって感じ?」
不満げにポリポリと頭をかくセリ。
こんな感じだが、戦闘では役に立つので、実技授業でも大いに助かっている。おかげで俺もこのまま行けば落第は回避できるレベルになりそうだ。
学食に行くと、生徒会長と副会長が手を振っていた。毒を受けた生徒会長は、神殿でしばらく療養すると聞いていたけど、どうやら完全復帰したらしい。
「あれっ、二人とも、どうしてここに」
「いや、生徒会長がここの食事を気に入ったみたいでね。あんなに安くさいとか底辺の食事だとか言ってたのに」
副会長が大きな体を揺らし豪快に笑う。
「うるさい、そんなことは言っていない」
カツカツと靴を鳴らし、生徒会長は俺の方へと歩いてくる。
「私はただ、そこのお前に興味があるだけだ」
「えっ……僕?」
会長は俺を手招きし、耳元で囁く。
「そうだ。カナリスの素晴らしさについて語れるのは、お前だけなのだからな。お前が居ないと私は退屈になる」
「はぁ」
嬉しそうに食堂の椅子に腰掛けた会長は、隣の席を叩いた。
「ほれ、隣を開けておいたぞ。マオは私の隣に座るといい」
真顔で言ってのける生徒会長。
「えっ!?」
「なっ……!!」
「はぁ!?」
カナリスとルリハ、副会長がそれぞれリアクションをとる。
「せ、せ、生徒会長!?」
大慌てになる副会長。
「あ、そうそう。貴様には命を助けられたし、私とお前の仲だ。生徒会長ではなくシラユキと呼ぶといいぞ」
「だ、ダメだよシラユキさん。マオくんには……」
カナリスが、ぐいと生徒会長の腕を引っ張る。
「そうよ。あんたマオのことあんなに馬鹿にしてたくせに!」
ルリハも反対側の腕を引っ張る。
「おやおや、何やら楽しそうなことをしていますね?」
そこへ現れたのはレノルだ。
クザサ先生が復帰した後、今度は保健医が《《謎の病気》》で倒れたので、レノルはまんまと保健医としてこの学園に居座ることに成功したのである。
「皆様、私のマオくんに何か御用でしょうか?」
ニッコリと笑うレノル。
「私の……マオくん!?」
「や、やっぱりこの二人……」
「へ……変態保健医!」
女子たちに動揺が広がる。こいつ、絶対わざとだろ。
「じゃあ、私もー」
セリは後ろから抱きしめる。後頭部にデカい乳がこれでもかと押し当てられる。
「えー? だって私はマオの下僕だし、ショタコンどもから助けるのは当然っていうかー」
俺の頭に胸を乗せ、ニヤニヤ笑うセリ。
生徒会長は顔を真っ赤にした。
「私はショタコンじゃない!」
「私もよ!」
「僕も」
何だかわけが分からなくなってきた。
「はぁ」
俺はため息をついた。
どうやらこの馬鹿騒ぎは、これからまだまだ続きそうである。
【完】
これにて『魔王様は落第寸前!』ひとまず連載終了です。
カクヨムの方では1/15から番外編を公開していく予定ですのでぜひ読んでみてください。
◇カクヨム版
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それではまたお会いしましょう!!




