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魔王様は落第寸前!~本当は俺が魔王だけど青春学園生活のためには正体を隠すしかない~  作者: 深水映
6.魔王様と襲撃事件

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37.魔王様と新担任

「えー、今日からクザサ先生の代わりにこのクラスの担任をすることになったレノルと言います」


 翌日。ニコニコとレノルが教壇に立つ姿を見て、俺は思わず筆箱を落とした。


 ガシャーン!


「マ……マオくん大丈夫?」

「何だか顔が真っ青よ」


 カナリスとマリナが筆箱の中身を拾ってくれる。


「あ、ありがとう……大丈夫だよ」


 俺は頬を引き攣らせ、愛想笑いを浮かべた。


 あ……あいつ……!!


 クザサ先生が動けないほうが都合がいいとは言ってたけど、その理由がこれか!


「クザサ先生にこのクラスのことを頼まれました。よろしくお願いしますね!」


 レノルが胡散臭い笑みを浮かべると、女子どもがザワザワと色めき立った。


「やだっ、カッコイイ!」

「若い!」

「彼女とかいるのかしら?」


「彼女はいません。私は神に使える清らかな身なので……」


 平然と言ってのけるレノル。


 清らか……


 どの辺が??


「せんせー」


 セリがニヤニヤしながら手を挙げる。


「クザサ先生が襲われたってマジ?」


 レノルはわざとらしくしょんぼりとした顔を作る。


「ええ、そう聞いてます。犯人は毒魔法使いだとか」


 毒を盛ったのは自分のくせに白々しい奴である


「毒? マジで。それで、先生は生きてんの?」


「はい。神殿で治療中です」


 生徒たちがザワザワとしだす。


「怖いね」

「早く回復するといいけど」

「一体、誰が」


 ホームルームが終わり、レノルの元へと駆け寄る。


「レノル……先生!」


「おや、どうしました、マオくん」


「先生、ちょっと相談があって」


「そうですか。では、生徒指導室に」


 生徒指導室に入り、鍵をかける。レノルは結界を張り、中の会話が聞こえないようにした。


「いいのか? あんなに襲撃や毒のこと堂々と話して。もしお前の正体がバレたり怪しまれたりしたら」


「大丈夫ですよ。それに、そのおかげでバカが一人釣れました」


「えっ?」


「一人いたでしょう。妙な言動をしている人が」


「あー……」


 先程の教室での様子を思い出す。


「セリか。あいつ、表向きはクザサ先生は事故で入院したってことになってるはずなのに襲われたって言ってたしな」


「その通りです。それに彼女はクザサ先生が生きていることや毒を盛られたことに必要以上に驚いていましたし、あの襲撃に関して明らかに何かを知っています。おそらく先生を襲った張本人かと」


「でも、犯人は人狼か獣人系のモンスターだろ? まさかセリが」


「彼女も魔王様と同じで、魔力制御装置で人間に化けているんでしょう。ほら、彼女もピアスをしているでしょう?」


 俺はセリの姿を思い浮かべた。確かにピアスをしている。ついでにネックレスやら指輪やらブレスレットも付けている。


 ついつい短いスカートから見えるパンツやボタンをろくに閉めていないブラウスから見えるブラジャーに目線が行くからか、全く気にしていなかった。


「なるほど。あいつがいつも派手な格好をしているのは、ピアスを付けていても違和感がないようにするためか。頭空っぽに見えるが意外と考えてるんだな」


「証拠は何もありませんけどね。彼女が隠し持っているであろう魔王様の体を見つけられればいいんですが」


「ああ、そうだな。でもとりあえず、やるべきことは分かった。ありがとう」


 まさかレノルがここに来て一日で犯人の目星がつくとは。

 初めは余計なお世話だと思っていたが、レノルがこちらに来たのは正解だったかもしれない。


「お前が来たからにはもう安心だな。何たって四天王だし」


 俺が笑うと、レノルは厳しい顔をした。


「残念ですが魔王様、貴方の復活にかなりの魔力を消費しましたので、今の私はかなり弱体化しております」


「えっ、そうなのか?」


「はい。それに私は元々、単独ではそこまで強くありません」


 レノルが言うには、レノルが四天王となったのはあくまで回復役としての優秀さが評価されたため、ということらしい。


「そうだったか?」


「はい。あなたは最強でしたので、他人の能力にあまり興味がなかったのかも知れませんが、回復役というのは、他人の能力を活かすことで強さを発揮する職業なのです」


「……他人の能力か」


「ええ。ですから仲間が居なくては私の能力は存分に発揮できないのです。どうかその事はお忘れなく」


 ということは、レノルが来たからと言って油断はできないということか。


「では今夜寮の部屋に伺って色々と相談させてもらいますが、よろしいですか?」


「ああ、大丈夫だ」


「では、また今夜」


 相談を終え、生徒指導室を出ようとした俺だったが、一つ重大なことを忘れていたことに気づいた。


 俺の部屋――。


 どうしよう。カナリスのこと、まだレノルに話していないんだった!!


「いや、待て、部屋はまずい!」


「部屋は駄目? なぜです」


 困惑の表情を浮かべるレノル。


「勇者の息子が同室になった」


「は?」


 レノルはこれ以上無いほど顔を歪ませた。俺はしどろもどろになった。


「……だ、だから、勇者の息子が同室になって」


「いや、そんな重要なことをさらっと」


「でも大丈夫だぞ? 俺が魔王だってのはまだバレてないし。普通にいい子だし可愛いし」


 レノルの顔色が変わる。目が蛇のように光った。


「消しましょう」


「やめろ」


「駄目です。消しましょう」


 スタスタと歩き出すレノル。俺は慌ててレノルの法衣を引っ張った。


「いやいや、いきなりこのタイミングでカナリス消えたら逆に俺が怪しまれるから。それにいい子だし。可愛いし、おっぱいも可愛いし」


 カナリスは貴重な俺の学園青春ラブコメ要員なんだから!


 怪訝そうな顔をしてレノルが立ち止まる。


「おっぱい?」


「あ……いや、カナリスは女で……えっと」


 どう言って説得したらいいんだろう。変にレノルに関わられると絶対ろくなことにならない。


「良いんだよ、カナリスは……俺が女にしてやったんだからな!!」


「ま、まさか、魔王様……勇者の娘を手篭めに……?」


「ああ。体で分からせてやったのさ、俺の女だとね。それ依頼、奴は俺の言いなりさ」


 適当に口からでまかせを吐くと、レノルはぺこりと頭を下げた。


「流石は魔王様です。感服致しました」


「ふ、ふむ、だから心配しなくても」


「ではさっそくそちらに伺い、その様子を見させて頂くことにしましょう」


「え、あ、ちょっ、待って、それはダメだ」


「やっぱり嘘じゃないですか」


「でも今のところ正体はバレてないし、上手いことやってるんだからじゃましないでくれ。それより、まずはセリだ」


「分かりました。まずは魔王様の部屋の様子を覗いてからセリについてのことを色々決めましょう」


「いや、だから……」


 引き留めようとした俺に向かって、レノルは仄暗い笑顔でニコリと笑った。


「それで、魔王様と忌々しい勇者の娘の住む部屋はどこです?」


 まずい。


 カナリス、逃げてくれ。


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