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たしか、咲森。
そうだ彼女は咲森会長だ。
昨日は色々焦っていて顔が一致していなかったが今は確実にわかる。だが、今の状況はさすがにおかしい。仮にも生徒会長でもある彼女が必死に声をかけても、アピールしても誰一人反応しないのだ。いじめにしても不自然すぎる。
そんなことを考えている間に彼女は教室から出て行った。
一体なんだったんだ?新手のドッキリでも仕掛けてるのか?
そう思っていると
ガララッ
教室の扉が開く
そうすると担任の岡本先生が来た。
「よーし、朝礼をはじめるぞ。ほい、挨拶あーまだ級長は決まってなかったな。えーと、そうだな、じゃあ赤崎一旦頼む」
「え?僕ですか?…。起立、気をつけ」
「「おはようございます」」
「ほい、おはよう。じゃあ連絡するぞー、えーとたしか…」
そう言いつつそのまま何事もなかったように朝礼が終わり、その後もクラスメイト達は普段と変わらない雑談や談笑をしていた。
あれは一体なんだったんだ?
そう思いつつ一日の授業が終わった。
やっと終わったー。はぁ、でも確か先生に呼び出されてたよなぁ。めんどうだなぁ。
そう思いつつも俺は進路指導室に向かった。
コンコン
「あー、失礼します。岡本先生はいますか?」
「はいはい、なんだ黒崎用事か?」
「えっ、先生が昨日来いって言ったからきたんですよ。特にそれ以外用事なんて、」
「うん?昨日私黒崎のこと呼んだっけ?」
「えっ?、言ってたじゃないですか。えーと、ほら咲森会長と話してたときにですね…」
「うん?咲森?誰だその子は?」
「趣味悪いですよ、先生。生徒をからかって楽しいんですか?」
「いや、だからだな昨日私は黒崎を呼んだ覚えはないし、しかも咲森って生徒も知らない。」
「いやだから咲森会長ですよ。この学校の秀才で会長の…」
「いや、知らんよ。会長はおろかそんな生徒は聞いたことがない」
「それでもう用事はないのか?」
「……あーっといや、俺の勘違いだったみたいです。違う先生の話がごちゃごちゃになってたみたいです。失礼しました。」
「あぁ、また困ったこととかあったらどんどん相談していいからな」
そうして、進路指導室を俺は後にした。
なんだったんだ…さっきの会話は…昨日確実に話していたのに。
そう思いながら教室にある自分のバックを背負い学校を出た。
この時間の夕方のこの風気持ちいいなぁ
そう思いながら家に向けて自転車をこいでいると道路に人影が見えた。
咲森さんだ。
彼女は道路の上に大の字で寝っ転がっていた。
周りは特に反応するわけでもなく学校の時と同じように人々は反応をしない。
なんであんなところに?そんな状況に疑問を抱いていると、前方方向から軽車一台走ってきた。
彼女は特に様子が変わる様子もなくそのまま寝そべり人々もそれを止めようはしない。
ガシャンッ
「ッッ!!、失礼します」
咄嗟に自転車から飛び降り彼女を抱きかかえて走り、歩道に行き彼女を地面に降ろした。
「あ、あの迷惑かもしれないですけどさすがに俺も自殺は見逃せなくて…」
生きてきてこの方家族以外に女性というものに対して免疫がないため言葉が詰まる。
彼女は黙ったままこちらをじっと見つめてくる。
「あ、あのー、喋れます?無理っぽかったらいいんです。…すみません」
対人コミュニュケーション能力がなさすぎて言葉が、会話が続かない、そうしていると声が彼女からではなく後方から聞こえてきた。
「どうしたんだい君?」
振り向くとおよそ30代だろうか妙に胡散臭い雰囲気で使い古したであろう小汚いベストを着た男が話しかけてきた。
「えーっと、眩暈がしてちょっと休んでるんです。」
「あはは、君、ちょっと面白いね話をしないかい?黒崎くん。」
そう言い彼は手を差し伸べてきた。