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春、価値観は違うが自分にとってはその季節を何らかの節目だと考えている。その春は青春が始まる最初の季節でもある。大体の場合は良き人生のスタートでもあり、新社会人のスタートでもあり、学生にとってのスタートでもある。新学期というのは、憂鬱なものでもあり、感慨深いものであり、億劫なものである。その時期になると自分の身なりを整えだして自分を嘘の自分で偽ろうとする。そして、自分は周りからよく見られていると思い始める。だが、それは杞憂である。よってそんなことを考えること自体が煩雑である。こんな勝手な考えは恣意的であると思うかもしれない。だが、どうであろう?今自分たちが見ている視線を変えてみよう。身だしなみを整え始めるのは上位グループ層だけであり、彼らは如何にも人生の中心は自分だと言わんばかりに行動する。そして、その中には他人に干渉し、その事について共感し慰め合う。その反面、下位グループ層を見てみよう。俺たち下位は、他人に干渉せず、何もせず、人にはそこまで立ち入ることはない。そのような点を見ると下位グループは優秀だとも言える。そして、彼ら上位グループは仲間内で哀しきことに問題を起こす。こんなにも、世界は美しいのに何故彼らは自分で問題をおこすのだろう。それは簡単である。なぜなら無駄に友達を作るからである。友好関係を作るから彼らは問題を起こすし、日々の生活に悩みを抱える。よって、下位グループで友達がいない方こそが至高なのである。結論を言うならば、青春とは幻想であり、虚像でもあり爆発する存在である。
二年 黒瀬 俊輔
春の下旬、冬の寒さも徐々に薄れほんのりと春の暖かさを感じるようになってきた頃。
俺は、いつものように家から徒歩30分くらいにある高校の入学式に遅れないように時間として、10分前には着くように自転車で学校に登校していた。
いつもと言っているように俺は、今年になって高校二年になる、そしてこの私立今一色高等学校に俺は通っている。
ここら辺じゃ頭の良さ的にはまぁまぁな学校で俺はそこの普通科に通っている。
いつもと同じように自分の自転車を自転車置き場に停めた。
その後いつもなら学校につき教室に向かうのだが今日は始業式があり、これから始まるため体育館に移動していた。
自分自身が体育館に近づくにつれてだんだんと人の量が増え、当然話し声も増えていく。
そうすると、必然的に人とすれ違ったりはする。
その中のある男子生徒がこちらの方向を見て
「よ!久しぶり!春休みの間どうだった?」
「ひ、久しぶりだ……」
「おう、久しぶりだな!俺としては春休みゲーム三昧で最高だったぜ。お前も元気だったか?」
「おいまじかよ!?俺は春休みの間最悪だったよ」
「ま、その話は歩きながら聞くから早いとこ体育館行こうぜ。」
「そうだな、今年も同じクラスになれるといいなぁ。それでさぁ〜…」
(……い、いや俺に話しかけてなかったことは最初から気づいてたしそんな勘違いして挨拶しようとしてないし、第一この前同じクラスだったからって勘違いして挨拶してないんだからねっ!)
そう心の中で自分を慰めながら体育館に向かった。
席に着くとちょうどその数分後、始業式が始まり挨拶をしてから校長のいつも通りの馬鹿みたいに長い話が始まり聴きながらそのままうとうとして、下を向き寝てしまった。
俺だけが例外ではなく周りもちらほら寝始めていた。
「えー、最後は生徒会長の挨拶です。」
結構眠った後その言葉を聞き目を覚ましてそろそろ終わりかと思い、寝惚け眼のまま前方に注意を向ける「私達は春休みも終わり新しい学年を迎えようとしています。さて、〜」彼女が話し始めると、今まで寝ていたはずだったのにその生徒会長の挨拶に男子どもは先程まで閉じていたまぶたを開き熱い視線を向けている。
なぜなら、視線の先の彼女、生徒会長は整った目、鼻、輪郭それらを総合して芸能人ではないだろうかと思えるほどの見た目だからである。
その点などを含めて彼女はこの学校ではなかなかの注目を集めている。
まぁ、他の理由もあるのだが。
唯一欠点といえば生徒に対して何故か冷たいという点だ。
話は少しずれるがこの学校は、特殊で成績が最も優秀な生徒が会長になると何故だか代々決まっている。
そして選ばれる基準というのが一年間の成績の合計で決められる。
だから、彼女は秀才でもあるのだ。
ま、こんなこと俺には関係がないのだが。
「やっぱ、かわいいよな。笹森さん。」「だがなぁ、ちょっと冷徹すぎるところもあるんだよなぁ」「そこが、クールでいいんだろぉ!?」「ああ、そうだな。あれでも会長そんな名前だったっけ?」
その会長の挨拶も、終わりクラスが発表された。俺は何処かなぁ?そう思っていると自分の名前を見つけた。
二年六組 、(うわまじか、なんとも言えないな…)。
まぁ、どのクラスでも同じなのだが…
そして、そのままクラスに向かい入ると、そう、やつがいた。
最上位グループに属する。奴は、赤崎薫。去年ここに引っ越してきた彼は、二年だけでなく三年までにも名が轟く有名人である。
カーストトップ、イケメン、秀才。Mr.完璧人間、それほどといえるだろう。
まぁ、同じクラスになるのはそこまで驚くようなことでもないのだが自分としては一緒のクラスになるなんて少しだが驚いてしまった。
今日は始業式ということもあって、担任の挨拶と自己紹介と新学期への抱負のプリントを提出して1:30くらいに終礼の挨拶と共に終わった。
その後、みな各々メールアドレスの交換などしていた、だが俺にはそんなこと関係がない。
まぁ、友達なんて少しいればいい。
少しというか俺の場合1人もいないが…。
俺にはこの後大事なゲームの発売当日に買うという使命があるからそんな時間がないんだ。
関係ないんだ!!そんな事を思いつついると
「黒瀬、ちょっと付いていてこい」
そう言われ俺は帰宅のための準備の途中で呼び止められた。
「はい、なんですか」
「お前に話がある」
担任の岡本先生に言われ、俺は渋々付いていった。