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第75話『侵入は水着に着替えて』

俺達は、バルセイム近くの森に降り立った。空からの侵入では、魔王軍に狙い撃ちされる可能性が高いからだ。



バルセイムは、高い城壁に囲まれた王国だが傾いた時計台は、近くの森からでも充分に確認できた。王国の象徴でもありメルの母アメリアの亡くなった場所でもある。


「グライド、バルセイムの中に入る為の抜け道なんかは無いのか?」


「ああ、バルセイムは王国を横切る様にして一本の川が流れている。水中からなら比較的侵入し易いはずだ。恐らく船は魔王軍の奴らがチェックしているはずだから潜って行く必要がある」


「「「「えええーーーーっ」」」」

グライドの提案にウチのメンバーだけでなくマシュまでもが嫌がっていた。マシュは、今、人型美少女に姿を変えていたのだ。


「あたしは、それで構わないよ、だって早く中の人を助けないと!」

メルがカッコイイ事を言った。浮き輪を小脇に抱えていなければ危うく感激する所だった。


「なあ、皆んな、どうする?」


「タ、タケルは、どんな水着が可愛いとおもうかなっ」リンカが顔を赤くして言った。


「…………へっ?」

意味わからんのですけど……


気が付くと皆んなが俺をガン見していた。またまた面倒臭い展開になった様だ。どうする俺!

いや、答えは出ている、こいつらは水の中に入る事を嫌がってる訳では無かったのだ。可愛い水着持ってないよ、どうする? と言う事なのだ。


「俺は、機能性が高くて泳ぎ易い物であれば、どーでも……み、みんなによく似合うと思うよ」


「やたっ!」

アリサが珍しく小さくガッツポーズをした。

確かにお前があの水着1番似合うけどな


ひとまず全員が紺のワンピース水着に着替えた。どうしてこいつらはいつも水着を持ち歩いているのだろうか、それは永遠の謎なのだ。



「よし!」

何がよしなんだよ、グライド!


「じゃあ、そろそろ行くぞ」


「「「「「はあ〜〜い」」」」」


ヒナとメルが全員に風の魔法で空気の膜を作った。あれっ、これって水着いらないんじゃ、なんて事を言う間もなく全員が川に飛び込み見えなくなった。


「お、おいっ、準備運動っ……いらないか」

俺も仲間を追いかけて川に飛び込んだ。


川の流れは緩やかであったが、それでもかなりの速さで水中を移動する事になり、すんなり城壁を越えた。俺が泳ぎ着いた頃には、もう皆んな無事に川から岸に上がっていた。


ちょうど辺りは木々に囲われており、俺達は戦闘の準備を進める事にした。本当は、来る前に作戦なんかを練るべきなんだけどウチのメンバーに個別行動させるのは危険なんだよな。なら、いつも通りまとまって行動した方がいいと思う。


「グライド、国王軍に合流出来るかな?」


「出来る事はできるが、最前線にいきなり飛び込めば俺達も敵と判断される危険性があるぞ。だったら、まずバルセイム城に向かった方がいい」


「なるほど、わかった。まず、バルセイム城に向かおう」

俺はグライドの最もな意見に賛成した。


「お兄ちゃん、どう?」

ヒナが後ろから声を掛けてきた。


「…………に、似合うんじゃないかな」

ヒナは、死神の仮面を着けて黒いローブを羽織っていた。妙に嬉しそうな声に良からぬ影響を受けていなければ良いのだがと少し心配になった。


ヒナは、メルに向かってイイねをして、良からぬ影響の主もイイねを返していた。


「皆んな、そろそろ行こうか、あと聞いて欲しいんだけど、俺、今回は本当にヤバイと思ってるんだ。だから危ないと思ったら逃げて欲しいんだよ。」

俺の言葉に黙ってグライドもうなずいた。


「わかったよ、お兄ちゃん、ねっ、皆んな」

そう言ってヒナは死神の仮面を外し、仲間達を見てにこりと笑った。メル、リンカ、アリサ、マシュの4人もにこりと笑った。


「危なくなったらタケルが助けてくれればいいよ、私は勇者タケルを信頼してるんだから」

メルが冗談混じりに言った。


「恥ずかしくなるような事言うなよ、メルっ、だけど俺は全力で皆んなを守るよ」


メルの言葉に俺は安易に答えたのだが、この時はまだ魔王軍の、いやアイツの恐ろしさにまだ気付いていなかった。

ただ、メルの言葉は妙に俺の記憶に残ったのだった。


「よし、行こう!」

俺達は、森を抜けた先にあるバルセイム城に向かって歩き始めた。

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