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第71話 『一難去って』

ダンジョンでの死闘? を終えた俺は、レイラの作ったワープホールで地上に戻って来た。勿論、黒き使い魔のマシュも一緒だ。


「全くバカだなあ、先に帰ってろって言っただろ」


ヒナと俺の仲間達は、ダンジョンの入口のあった一階層でずっと待っていたのだ。


ヒナが俺に駆け寄って来た。妹は、誰よりも俺の事を心配してくれていたのだのだろう。そうかそうか、お兄ちゃん無事帰って来たよ……っ


どかーん!


ヒナの鉄拳が俺を貫きダンジョンの壁に叩き付けた。


「ぐはっ、な、何故だ?」

壁にめり込み虚ろな意識のまま、ヒナの声が響く。


「お、お兄ちゃん、私がどんなに心配してたか分かってないよ! なのに誰なのっ! その可愛い子は」


そうだったマシュは、ずっと俺の腕にしがみ付いていたんでした……


俺は、朦朧としながらも事情の説明を試みた。相棒のマシュの事を伝えないと


「この子はマシュ……お、俺の……あい……」


キイーーーーン!


今度は、一瞬にして体が凍りついた。どうやらメルの仕業のようだ。今は口を開くことすら出来ない。


「タケルっ! あたしというものがありながら、愛人を作るなんてふざけ過ぎだよ!」

いやいや、あいぼうだよ、俺が言おうとしてたの……


ちょっと待て! 俺の視界にとんでもないものが飛び込んできた。

炎だ、炎の塊が渦を巻いてこちらに向かってくるじゃないか!?


「オイッ、リンカっ流石に死ぬぞ俺!」


灼熱の炎が氷を溶かしなおも俺を襲う……かと思ったのだが、突然炎は消失し氷だけがガラガラと崩れ落ちた。


どうやらマシュが伸ばした手のひらに全ての炎が吸い込まれてしまった様だ。


「た、助かった。ありがとうマシュ」


「はい、タケル様、私はあなたの使い魔ですから、この位当然です」

そう言ってマシュは、ニッコリ笑った。


「「「「え、えええーっ!?」」」」

仲間達は、驚きの声を上げた。

聞けよ! お前ら人の話を!


アリサ以外のみんなが引きつった顔で俺から眼をそらした。


「「「ご、ごめんなさい」」」

謝る3人にアリサがたたみかける。


「私は、最初から気付いていた。お兄様は、ハーレムを拡げているわけではないと」

もっと言い方あるだろアリサ……

それにお前もなぜか召喚獣出てるんだけど


力無くその場にへたり込む仲間達に俺は近づいて文句を言った。


「お前ら帰って待ってろって言っただろ……」

ビクッとしたみんなに俺は続けて言った。

「だけど、ありがとうな、待っててくれて」


その言葉で4人は、嬉しそうな顔をして

「「「「お帰りなさい!」」」」

そう言ったのだった。


「あれっ、そう言えばアレスさんはどうしたの」

俺はアレスの姿がみえない事に気付いた。


「じじいは、光ったホコリになって消えたよ」

いや、光の粒だろう、そこは


どうやら思念体としての時間の制約があるのだろう。俺は、消えてしまったアレスさんに感謝した。


「そうだ、新しい仲間ができたんだ。黒き使い魔、俺の相棒だよ」


俺は、あらためてみんなにマシュを紹介した。


「マシュです。皆さんどうか可愛がって下さいね」


「それにしても黒くないね」

メルが不思議そうに呟いた。

他のみんなもうなずいている。

白髪の美少女からは黒き使い魔の印象は無かったのだ。


ボフッ!


マシュは、元の丸いペンギンのスタイルになった。


「「「「あっ! 黒い!」」」」

黒いのそんなに重要じゃないから、お前ら!

むしろ姿が変わった事に驚くべきだろ


その後、みんなにぎゅうぎゅうに抱きしめられたマシュであった。


俺はマシュが受け入れられた事にひとまずほっとしてそろそろ帰ろうかと入口の辺りを見つめた。


「!?」

誰かが倒れている?


駆け寄ってみるとボロボロになって倒れている人の姿があった。知った顔だ。


「おいっ、グライドどうしたんだ、お前」


「タ、タケル……た、頼む……ち、力を貸してくれないか……」

グライドの言葉に俺は嫌な予感を抑えることが出来なかった。

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