第69話 『水着と変身』
俺は、レイラに名を名乗り、ここまで来た経緯を簡単に説明した。
レイラは、ふむ、と頷き口を開いた。
「お前がマシュと呼んでいるその役立たずが『カイゼル・ソウル』なんだよ」
幼女にしか見えないレイラは、手加減無しの毒舌を浴びせかけた。
黒き使い魔カイゼル・ソウルは見ためは、結構アレだ。何というか凄く弱そうだ。丸いペンギンのイメージに近い感じなのだが今は、レイラにつぶされてマンボウに似ている。
「カイゼルは、アレスの頼れる相棒と思っていたんですが」
俺は、炎を吐きながら戦う勇敢なカイゼルを期待していたのだ、少しだけね
「何処で聞いたのか知らないが、こいつに戦闘力を求めるのは間違っているぞ。こいつが出来るのは、人の思考を読み取り変身する事だけだ。先程は、お前が妹の事を考えていたからその姿に変身したのだろう」
おいっ、それって凄い能力なんじゃね
少なくとも俺にとっては!
よし! 決めた。
「レイラさん、マシュ、いやカイゼルを俺に譲って下さい」
俺の言葉にレイラは、椅子に座った足をブラブラさせたまま不思議そうな顔をした。
「ふむ、なんかお前急にテンション上がったよな」
幼女は、椅子から降りてローブを脱ぎ捨てた。
いやいや、水着じゃん! それっ!
レイラは、紺色のワンピースの水着を着ていた。胸に白い布が縫い付けられレイラと書いてある。
「どうだ似合うだろう、タケルとやら」レイラは、ドヤ顔でニヤリとした。
ああもう、これはダメな家系だ、メルにしっかりと受け継がれているよ
「あ、あの、レイラさん何か意味があるんでしょうか、これって」
「ある!」
あるのかよ!
そう言ってレイラは、鼻の下を指でこすった。ガキ大将かよ。
「カイゼルよ、今のタケルの考えているものに姿を変えよ」
オドオドしていたマシュは、また光を放ち姿を変えていった。
「なにーーっ!?」
レイラは、なぜか超驚いた。
「おいっ! タケルおかしいだろうコレ」
そこには、またヒナの姿があったのだ。
しかも紺色のワンピースの水着でだ!
「いや、あの、そのそれは、えへへ」
俺は、もうしどろもどろですよ、でも謝るつもりもない。
「えへへ、じゃないだろう、ここは私の姿が現れるトコじゃん」
レイラは、プライドを傷付けられ、しまいには涙ぐんだ……
お、俺悪くないよね、とにかく一度落ち着こう。幼女を泣かしたままだと好感度だだ下がりだよ。
「違うんですよ、レイラさん、俺は今、心配して待っている妹の事が気になってしょうがないんですよ」
だったら妹が水着である必要は全くないよねと自らに突っ込む俺……
「そ、そうか、ま、まあそれならしょうが無いにゃー。さすがの私も危うくヘコむところだったぞ」
よし、いける! 俺はやれる子だ!
しかし、にゃーってなんだっ?
「ご、ごほん、と言う訳でカイゼルは、強くイメージしたものに変身出来るのにゃー」
あんた、まさか猫キャラで通すつもりじゃないよね……
「なるほど、ある意味戦闘力よりも価値があるという事なんですね、レイラさん」
「えっ、あ、ああ、うん、そうかも」
眼を逸らしたレイラの返事は歯切れが悪かった。
「な、何か本当の理由があるなら言って下さいよ、レイラさん」
俺はレイラに詰め寄り肩を揺さぶった。
「い、いや、ちょっと本物当てゲームをやったら面白いかと……」
レイラは、ぼそりと言った。
はあっ!? 何言ってんの、あんた
「レ、レイラさんは、冗談がうまいなあ」
「は、ははっ、冗談だと分かってくれて嬉しいぞ、ともかくカイゼルの変身とは、こう言うものなんだ……にゃー」
にゃー、要らないでしょう今のとこ!
そんな訳でまたまた時間だけが過ぎていったのでした。




