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第67話 『やったね!』

「サンダーインパクト、サンダーインパクト、サンダーインパクトーーッ!!」


俺は、魔法を乱発しやっとの事で20階層に辿り着いた。20階層までの敵はかなり手強かったのだが尽きる事のない魔力が何度も敵を吹き飛ばしたのだ。


「ふうっ、こいつを倒せば、あと10階層だ! 」


俺の目の前には、巨大な何かがいた。何かに例えるならば、巨大なウミウシの様なヌルヌルとした感じのモンスターといったところだ。


「うううっ、なんかキモいな、あと生臭いよコイツ」

もう、なんか別の意味で攻撃力の高いモンスターなんですけど……


こう言う輩は、短期決戦に限る! キモいし


俺は、クサナギの剣を振るい斬撃を放った。これは、このダンジョンで習得することが出来た俺の新たな力なのだがグライドと初めて戦った時に奴が使っていた剣技でもあった。


学ぶことは、真似ることだと誰かの言葉にもあったが、今はとにかく出来る事を増やしていこうよとナイスミドルにポンと肩を叩かれるイメージが湧いた。


「よし、この剣技は『ナイスミドル』にしよう」

どうでも、いいかもしれないが後でグライドに報告しておこう


「ナイスミドルーーっ!」

二度目のナイスミドルが初撃と交差しウミウシを十字に切り裂いた。

呆気なくスパンと4つに切り分けられるモンスター。


「あれっ、か、勝っちゃったのか?」


「キュー、キュー」

少し離れて見ていたマシュが、急に騒ぎ出した。


「どうしたマシュ! お腹が空いてキューキュー言ってるのか」


「キュッキュー!!!」

マシュは、何だか怒ってらっしゃるようだった。


「いったい、どうしたって言うんだよ……」

そう言って倒した敵を見た俺は、目の前の光景に驚いたのだった。


え〜っ、無いよコレ、マジ勘弁して欲しいよ


ウミウシは、4体に増えていた……


「キュー!」

マシュは、俺に伝えていたのだ、きゅーは、急げの『急』なのか、いや、違うな、落ち着け俺



「だったら氷の魔法でどうだ!」

俺は、ウミウシを氷の魔法で固めようと考えたのだ。一旦動きを止めて一体ずつ処理すればなんとか出来るはず……いや時間稼ぎだなコレ


ともかく魔力を溜めて氷の魔法を放つ


氷の魔法は、一瞬で4体のウミウシを凍らせ…………なかった。


「な、なんだ! き、効いてないし、聞いてないよ、こんなの」


魔法は、全て跳ね返されてしまったのだ、魔法耐性どころじゃ無いよ。完全魔法耐性だろ


「はあぁ、どうするのコレ?」


考えてる暇も無く、ウミウシは俺に向けて液体を吐いた。とっさに避けることが出来たのだが液体を浴びた地面は、ジュワジュワと音を立て溶けている。


「どどどどどどど、どうすすすする⁉︎」

このまま4体のウミウシの吐き出す溶解液を避け続けるのは難しい。だが物理攻撃も魔法攻撃もダメではジリ貧になるだけだ。



待てよ、レイラは、このダンジョンを勇者の力を見極める為に作ったのだから解答はあるはずだ。きっとまだ、試して無いことがあるのだろう



俺は、マシュを抱きかかえて岩陰に身を隠した。ウミウシは、辺り構わず溶解液を吐出している。その内の一体が吐いた溶解液が別のウミウシに当たりその体を溶かした。ちょうどナメクジに塩をかけた様に小さくなりやがて消滅してしまった。


「えっ、そう言うことなのかっ」


俺は駆け出して氷の魔法で高さの違う足場をいくつか作った。ヒナだったら綺麗な階段を作れるんだろうなと思いながら氷の足場を飛び移り一番高いところから一体のウミウシの背中に飛び乗った。


他のウミウシは、俺目掛けて溶解液を飛ばす、その瞬間また別のウミウシに飛び移る。溶解液で溶かされ残りは、ようやく一体となった。


俺は、また一番高い氷の足場に移り、やつを見据えた。すると思惑通りウミウシは、また俺に溶解液を吐き出したのだ。


「終わりだ!」


俺は、吐き出された溶解液を魔法で凍らせて剣の斬撃でウミウシの頭上に弾き飛ばした。


「ファイヤーインパクト!!」


炎の魔法で氷の塊が溶け溶解液が奴に降り注いだ。消滅していくウミウシ


「キュー!」

マシュが叫んでいる、まだ何かあるのか⁉︎


しかし間も無くウミウシは、消滅し切って何も起こらなかった。


まぎらわしいな、おいっ! 今のは『やったね! お兄ちゃん』のキューだったようだ。

お兄ちゃんは、あえて付け加えてもいいよね


「やったぜ! マシュ!」

俺は、マシュを抱きしめて勝利を喜んだのだった。

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