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第59話 『赤い竜だよ』

赤いドラゴンは、俺達をにらみ威嚇していた。


「アレは、レッドクリフドラゴンだと思う、お兄たん」

アリサは、赤いドラゴンの事を知っているようだ。しかし、お兄たんと呼ばれるのは、さすがにこっちが恥ずかしくなって来た。


「お兄たん、あいつは、私に任せて欲しい」

リンカが、ひるむ事なく剣を抜いた。

『お兄たん』は、確実にワザと言っているよな……。


「……いいけど、強そうだよあいつ、勝てるのかリンカっ」


「お兄たん、前から思っていたんだけどリンカは、何で力を封印してるのかな」

ああーっ、メルまでもお兄たんかぁ。


んんっ、ちょっとまて! 今なんて言った!


「おい、メルっ、リンカがどうしたって?」

俺が、驚いてメルに聞き返した時、リンカは、何かの詠唱を始めた。


リンカの魔力は、ほとんどなかったはずだ。あいつが魔法を使おうとした事なんて今までなかっただろ。


「母が封印した、わたしの力、今ここで解き放つ」

リンカの体は、光に包まれ、やがて閃光となり周囲に拡散した。


レッドクリフドラゴンは、光にたじろぎ炎のブレスを繰り出そうと口を大きく開けリンカに狙いを定めている。炎の塊が大きさを増しドラゴンの口から放たれた。


「危ない! リンカよけろ!」

俺が叫んだ時にはすでにリンカは、炎の渦に飲み込まれていた。


慌てた俺とは対照的にヒナとメルはなぜか落ち着いてリンカの立っていた辺りを見ていた。


「死んだお母さんとの約束だったんだ……」

剣で炎が切り裂かれ、爆炎の中から無傷のリンカが姿を現した。


「幼い頃、化物じみた能力を持ったわたしの事を心配したお母さんは、その力を封印した。決して、信じられる仲間が出来るまでは、封印を解いてはいけないと言う約束と共に……」


ドラゴンは、鋭いキバでリンカに襲いかかる。それを素早い剣さばきでうけながす、リンカ。


「今のわたしには、わたしの為に真剣に怒ってくれる仲間がいるんだよ、お母さん!

そして、今度はわたしが、みんなの為に戦うから、どうか天から見守って下さい。そして、わたしは今日……」



" ドラゴン・スレーヤーになる !! "



攻撃をしのいだリンカは、ドラゴンの鼻先に剣を振るい皮膚を切り裂いた。


鼻先を傷つけられたドラゴンは、ひるんで動けない、リンカは、剣に魔力を込めてドラゴンの頭上に跳び上がった。


リンカの振り下ろした剣は、ドラゴンの頭頂をわずかに外したのだが左目に深々と付き刺さった。


「まだだっ!」


素早く剣を引き抜いたリンカは、回転しながら床に降り立った。逆上したレッドクリフドラゴンは、もがきながらも尻尾を振り回して攻撃を仕掛けて来た。


避けきれず、ガードした剣と共に吹き飛ばされるリンカの体。

激突するかと思われた瞬間に体制を変えて側壁に着地したリンカは、反動を利用しドラゴンの喉元に向けて跳躍した。


そしてそのまま、ドラゴンに剣を突き立て振り下ろし、喉元を切り裂いた。


咆哮に近い断末魔をあげて崩れるように倒れたドラゴンは、細かい光の粒へ姿を変えていく。


「だ、大丈夫か? リンカっ! 勝ったんだよ! お前がドラゴンにさ!」

俺は、リンカの元へ駆け寄った。


疲れ切って膝をついたリンカは、俺を見てホッとした顔をした。そして、本当に嬉しそうな顔をしたのだった。


ゴブリンスレーヤーと馬鹿にされても解かなかった封印……。

だけど、本当の力は、解放されてドラゴンに勝ったのだ。


「みんなと戦ってきて、わたしの力は、さらに上がったんだと思うよ。仲間にしてくれて本当にありがとう……」

リンカは、駆け寄った俺達を見廻して安心したのか、そのまま意識を失った。


「眠ってるみたいだね」

メルがリンカの無事を確認した後、俺は彼女を背負い上の階に向かう事にした。


「お兄ちゃん、あそこに何か落ちてるよ」

ヒナが、レッドクリフドラゴンの現れた魔法陣の辺りで何か見つけたようだ。


近づいて確認するとそれは1振りの剣だった。


" ドラゴンソード "

アリサが、つぶやいた。


「これってもしかしてアレスが封印してた物かな」

「そうかもしれないよね、お兄ちゃん」


だったら持ち主は決まりだ!


「リンカの剣でいいよな、みんな」

俺の問いかけにみんなは、親指を立ててイイねをした。


どうやらウチのドラゴンスレーヤーは、また強くなるようだ。未だ眠っているリンカを背負い俺は、上の階に向かうのだった……。





「って、おい、階段ないじゃん」

ドラゴンを倒せば現れるんじゃないかと思っていた階段らしき物は、このフロアのどこにもなかった。


「タケル、早く行こうよ」

メルが俺を呼んだ。

部屋の隅に光の魔法陣があり、みんなは迷わずそこに向かっていたのだが、俺だけ階段を探してウロウロしていたのだった。


「し、知ってたよ……」

俺は、小声でつぶやいてから、てけてけとみんなの方に向かった。


「「「「どんまい」」」」


痛いほどの励ましどうかヤメて下さい



ともかく、光の魔法陣を通り、二階層に向かう俺達だった。

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