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第45話 『光の道しるべ』

朝、目を覚ますと何だかふわふわしたものが体に当たっている感触がある。寝ぼけながらペタペタ触っていると「キューッっ」と声がした。


「ええっ、な、なんだっ!」


俺が、驚いてベッドのシーツをめくると銀髪の女の子が、俺に寄り添うような形で寝ていたのだ。妖精か? いや違う!


「お、おいっ、メ、メ、メル! な、何やってんだよ、しかも、キューッって言ったぞ、今」


「ふあぁーっ、おはよう、タケるん」

メルは、薄いパジャマ姿で俺の横に寝ていたようだ。確かこいつは、別の部屋にいたはずなんだが。


「おいっ、なんでお前は、ここで寝てるんだよ! なんで俺の呼び方がリズミカルな感じになってるんだよ!」


「タ、タケるんが、変な所を触るから目が覚めちゃったよ、あたしは……」


さ、触ってねえわっ! ちょっとしか。


俺は、どこかメルのふわふわした所を触ったらしいのだか……


「何度も聞くけど何でお前は、俺のベッドで寝ていたんだよ」


「それなんだけど昨日、あたしは家に帰ってアレスサブレを食べながらおばあちゃんに手紙を書いていたんだよ……」


ええっ⁉︎ そこからなのか‼︎


「そしたら、何とおばあちゃんがウチにたまたまた遊びに来たんだよね、それで、あれこれあって気が付いたらタケルのベッドに寝ていたんだよね、ああ〜っ」


ああ〜ってなんだ!その、あれこれの部分を聞いてんだよっ‼︎


メルは、ようやく怖々と真相を語った。


「で、夜中にトイレに起きたらシューシューと、変な音がしたから怖くなって俺の布団に潜り込んだと……」


「そうなんだよ、タケル、あれはやばいよ。きっと闇の執行人だよ、あたしは、心底震えるよ」

普段から死神と言っている奴の言葉とはとても思えないんだが……


「多分もう大丈夫だから、下に降りようか」


「わかった、ちょっと、着替えるから待ってて」


「ち、ちょっと待てよ、こ、ここでか!」


メルは、魔法で服を着替えた……


「にひひひっ」

笑ったメルの頭をグリグリしてやった。

「いたい、いったあーーーいっ」

がっかりなんてしてないんだからねっ、俺っ!


俺たちは、下の階に降りて闇の執行人に挨拶をした。


「おはよう、ケインズ」


ケインズは、昨日も夜遅くまで剣をシューシュー研いでいたのだろう、メルは、どうやらその音にビビったらしい。


俺たちが、起きていた時には、もうケインズは、朝食の用意をしてくれていた。

独身男の悲しい習性だ。言わないけれど


「おはよう、ふたり一緒とは仲がいいな」


「し、新婚なので……」


冗談のつもりだろうが、モジモジするのは、やめろよ、メルっ


俺たちは、パンとスープにスクランブルエッグといったメニューで軽めの朝食を摂った。


「なあ、アレスの剣って俺が貰って良かったのか? ミレシアにとってはお父さんの形見の品になるよな」

俺は、アレスの剣"クサナギ"を見ながらメルに言った。


「うん、おばあちゃんがタケルに使って欲しいって言ってたよ。あたしと一緒に」


メルは、クサナギにもれなく付いてくるオマケのような扱いだった。


「タケルは、随分とミレシアに気に入られたようだな、よかった……のか」

歯切れの悪い言い方やめろよ、ケインズ!

そこは、せめて言い切ろうよ


「ああ、そう言えば、おばあちゃんからタケルに伝言があったんだ」


メルから一枚のメモを受け取ったのだが俺は、こいつが、ここに来た本当の理由は、コレだと気付いた。メルの顔を見ると目を逸らして口笛を吹いている。

間違いない!こいつは、今までそのことを忘れ去っていたのだ。


俺は、メモの内容を確認した。

「ええっと、すぐキューッとなる気ままな娘ですが、どうかメルをメルをお願いしますね……」

やっぱりキューッとなるんだ。


「……アレスの剣は、塔への道標となるもの、タケルが使いなさい。鞘に魔力を込めれば道は開けるでしょう……」

アレスの塔への道標! やはりアレスは、手掛りを残していたんだ。


俺は、クサナギの鞘に触れて魔力を込めた。これで何か手掛りがつかめるはずだ。


「ああーーっ、ケインズさん」

メルが思わず叫んだ。鞘から光の筋が出て真っ直ぐにケインズの額を指し示していた。


「私が、アレスの塔への道標だ……と」

ケインズも動揺して震えていた。勇者の血筋が影響しているのだろうか?


「タケル、光が突き抜けてるよっ」

ケインズに近づいたメルは、家の壁まで光の筋が繋がっているのに気が付いた。


たまたまその方向にいたケインズに光が当たっていただけだった。


どうやら、光は、アレスの塔の方向を指しているようだ。これでようやく黒き使い魔の手掛りも掴めそうだ。


期待が外れてしょんぼりしているケインズをなだめながらも俺とメルは、大いに盛り上がったのだった。

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