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第25話 『本をさがして』

 アレンの書斎は、奥に執筆用のデスクがある以外は、ほとんど本で埋め尽くされていた。


「すごいなこれ、一体何冊あるんだよ、アリサっ」


「数えたことはないが、数千冊は、あると思う、お兄様」


「す、数千冊だって…」


 この中からアレスに関する本を探し出すのは簡単な話じゃないぞ。

 タイトルにアレスと入っているとも限らないし……


「アリサ、検索用の水晶みたいなものは無いのか?」

「無い」

 即答かよ!


 ともかく手分けして探すしかないか


「みんな、悪いけど手伝ってもらっていいかな」


 3人は、無言で俺に向かってイイねをした。

 やっぱり仲間っていいよな!こんな時は、本当に心強いもんだ。

 俺も無言で親指を立てイイねを返した。


 しばらく、みんなで手分けして探し始めたがなかなか目的の本は、みつから無かった。


 俺は、何か手掛かりがつかめてないか他の仲間のところに様子を見に行く事にした。

 疲れているだろうから少し休憩を入れようと考えたせいもある。


「おーい、みんな少し休憩を……」

 あれっ、手分けして探しているはずの3人が、かたまって一冊の本を見ていた。


 熱心に見つめる様子は、何か見つけたのだろうか

「おい、なにか……」

 3人は、ビクッとして振り向いた。

 リンカが、慌てて本を後ろに隠した。


 やれやれ、少し予想はしてたけどね

「リンカっ、怒ってないから、何の本か見せてくれるか」


 リンカは、おずおずと本を差し出した。

 "恋のチートめし"

 すごいタイトルの本だ

 なんか、プロテイン感がすごいな


「ええーと、著者は……」

 アレン・スペンサーだった。

 俺は、アリサを見たが目を逸らされた。


 チートという言葉に興味をひかれた俺は、少しページをめくってみた。

 結構、色々な料理やスイーツが写真付きで紹介されていた。


 チートケーキ、チートフォンデュ、

 チートパイ、チートオムレツ、チートブリュレ、etc


 どおりでお菓子好きの3人が熱心に見るはずだ。

 あとメルは、ヨダレを拭いておけよっなっ!


 しかしチートフォンデュは、一体なにに付けるんだろう。

「あれっ、何だコレ、チートの実って……」


 本にチートの実に関しての注釈が添えられていた。どれどれっ


 チートの実…精霊樹プロセスになるハート型の実、経験値を豊富に含み食べた者のレベルを飛躍的に向上させる。

 ドロミドロの数百から数千倍の効果があるとされている。


 ちょっとすごくないかチートの実!

 軽く引くぐらいの設定だよっ!


 覗き込んだメルが、驚いていた。

「すごいよチートの実!ハート型だよっ!」

 そっちかよ!


「タケル、提案なんだが、そのチートの実を取りに行かないか。ハート型の……」

 リンカお前もか!


「わたしも気になっている、お兄様、そのハートの実の効果が」

 ハートの実じゃないからっ!

 形だよね!気になってるの


 3人は、とびきりの笑顔で俺に向けてイイねをした。

 それは、俺がアレスの本を諦めた瞬間でもあった。


「しかし、精霊樹の場所が、わからなければ探すのは無理だろう?」

 俺は、もっともな疑問を口にした。


「それなら問題ないお兄様、さっきみんなで資料を探した」

 おかしいだろっ!すぐ見つかるの


「アレスの本は、あんなに見つからなかったのに…」


「今回は、あたしが頑張って見つけたんだよっ」

 お前は、さっき頑張れよ!メルーっ


「タケルっ、この『世界のすごい木、気になる木』と言う本によると…」

 俺はリンカの話の途中でアリサを見たが目を逸らされた。


「精霊樹は、エルフの森にあるらしい」

 なんだってっ!いるのかエルフ、この世界にも。


 俺のテンションは、いっきに高まったのだった。


 家に帰る前に俺は商店街に寄った。

 今の自分のレベルがどれくらいか知りたかったからだ。


 おそらくあんなでもメルとアリサのレベルは、けっこうあると思っている。


 メルは、優秀な魔法使いの血筋だしアリサの召喚獣にもビビらされたばかりだ、色んな意味で……


 リンカにしても剣を振るう速さは俺と比べものにならない。

 今のところ、パーティの中で一番弱い事は、自分でわかっているのだ。


 だったら、せめて現状くらいは把握しておこうと思い、久しぶりにレベル測定器の前に立ったのだ。


 俺は、また装置に10ウェンを入れて所定の位置に手を置いた。

 スイッチを押してしばらく待っていると手のひらに結果が出た。


 握った手のひらを少しづつ開いて数字を確認してみる。

 なんだか返ってきたテストの結果をこわごわ見るような心境に似ている。


 完全に開いた手のひらに前回と同じように数字が浮かんでいた。


「あれっ、おかしいな壊れてんじゃないのこの装置、よく考えたら、だいたい1回10ウェンっていうのが安すぎるだろ」


 ブツブツ文句を言っていたら、店の中から人が出てきた。

 どうやら店主のようだ…

 筋肉質でプロレスラーのような体つきをしている。


「どうしたんだい、店の前でブツブツと」


「おじさん、この機械壊れてないですか?数値がおかしいですよ」


「ええっ、そうかい、そんなはずは……ナイジェリア……」

 この世界に無いからその国っ!


 おじさんは、自分で試そうと装置に10ウェンを入れた。

 しばらく待ったあと数字が出てきた。


 "レベル 10"

 やっぱり壊れていたようだ、こんなヘラクレスがレベル10なわけがない。


「大丈夫みたいだぞ、小僧。やり方間違えたんじゃないのか」

 おいっ、なんであんたがレベル10なんだよ、おかしいだろ!


「この前、グレート・タイニーマウスを倒したからレベルがひとつ上がっているがおかしくは無いだろう」

 わかりにくいよ、モンスターの大きさ!あと、おじさん、まだ伸び盛りじゃん


 俺は、手のひらに浮かんだ数値をあらためて確認した。


 "レベル32"

 悪くない数値だと思う、でも、なんでこんなに急激にレベルが上がったのかわからなかった。


 特にモンスター討伐みたいなこともしてないんだけど……


 まあ、帰ってケインズに聞いてみよう、俺がそう思って歩き出した時、前から知った顔がやって来た。


 そいつは小柄な体型にくせっ毛の髪、貴族風のスタイルで腰にサーベルを差していた。


 俺は、グライドに偶然出会ったのだ。

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