第19話『パーティ始めました』
「アリサは、どう言ったモンスターが召喚出来るんだ。まあ、秘密だったら言わなくてもいいんだけど」
俺は、なんとなく興味本意で聞いてみた。アリサには、戦力的に壊れキャラの予感がしたからだ。
「お兄さまには、教えてもいい。私は現在3体の召喚獣と契約している。それぞれ火属性、水属性、雷属性の召喚獣で高い魔力を備えている」
「へえーっ、すごいな、お前」
「ほめるなら、頭を撫でても構わない」
えっ、なんだろ、なに言いだした?
アリサは、頭をグイと近づけて来た。
まあ、頭を撫でるくらいなら……
「こ、こうか?」
俺は、アリサの頭を優しくなでなてした。なんだかアリサは、赤くなってモジモジしだした。心無しかうるうるしている。
「これで契約は、完了した。き、今日から私はお兄さまの召喚獣になった」
役に立つのか、この召喚獣!
「ほめて育つタイプだ」
俺はブリーダーかっ!
今日は、商店街にあるパンデミックスと言うカフェにみんなで来ていた。
ミックスサンドが美味しいと評判の店なのだが、どうしてこんな飲食店に相応しくない名前にしたのか謎である。
集まったメンバーは、ヒナ、リンカ、アリサ、魔女っ子だった。
今回は、アリサの顔見せの意味もあった。そう言えばヒナとリンカも初めてだったな。
俺は、まず自己紹介をしてもらう事にした。最初は、ヒナからだ。
「えっと、ヒナです。タケルの妹やってます」
やってますって、職業か?
つぎは、リンカ
「わたしがリンカだ。お菓子作りが得意だ」騎士道は、どこかに置いて来たらしい……
そしてアリサ
「アリサです。メロンが好きです」
別に知りたくないからソレ!
可愛いけど
最後にメル
「メルだよ、よろしくりきんとん」
栗きんとんにあやまれ!
自己紹介とプチツッコミを終えて、あらためて俺は言った。
「実は、今日集まってもらったのは正式にパーティを始めようと思ったからなんだ。」
「えっ、あたし交換用のプレゼント持って来てないよ!」
そのパーティじゃねえよ、メルっ!
「いや、モンスターを倒す為にはチームを組んだ方がいいかと思ってさ」
俺はまだ魔王を倒すだのと言った話はあえてしなかった。その時は、またあらためて皆んなに聞こうと思っている。
「わたしは、構わない。むしろ、よろしくお願いしたい」
「リンカ、ありがとう」
「あたしは、一生タケルについていく」重いな、おいっ!
「ありがとう、メルっ」
「もう、契約は済んでいる。わたしはマスターの召喚獣だ」
なんだよ、マスターって!
「ありがとう、アリサ」
「あたしは、まだ自分で修行したいから今回は、ないけど、たまに参加したいと思ってるよ」
「わかった、ありがとうヒナ」
ともかく俺たちは、パーティを組む事になった。当面の目標は、カイゼル・ソウルの捕獲だ、黒き疾風の異名を持つそいつは、アレスの塔に封印されているらしい。
ひとりでは、無理でも仲間と協力すればきっと出来るはずだ。
俺は、決意をあらたにメンバーを見て……
"皆、ミックスサンドを食べていた。"
そうだよね、美味しいよね、ココの。
だけど俺いま盛り上がってたんだよ。
「早く食べないとお兄ちゃんの分なくなるよ」ヒナが、言った。
そして皆んな嬉しそうに俺を見ていた。
まあいいか、今日は俺たちの大事な記念日なんだから……
そう思って俺は、ミックスサンドをひとつ取ったのだった。




