第15話『ひとりよりも』
"黒の使い魔"
アレスがともに連れていた相棒。
俺は、シリアスな展開に驚いていた。
メルのおばあさん"ミレシア"の家を後にしてからもずっとその事を考えていた。
帰りぎわにミレシアは、メルの事をくれぐれもよろしくと言って微笑んだが目だけは笑っていなかったのもシリアスだったが……
「メルは『黒の使い魔』の話を聞いた時、驚いていたけど何か知ってるのかい」歩きながら俺は尋ねた。
「知らないけど、カッコ良さそうだったから」
「そうだよなーっ、カッコいいよな。やっぱりメルもそう思ってたんだ。メルはやっぱり感性が洗練されてるって言うか……」
「あれっ、今の流れだと『聞いた俺が悪かった』とか『やっぱりね、期待していなかったけど』とか『やれやれ、いちいち言う事が可愛いな』とかのツッコミの入るところじゃ」
あれっ、ひょっとして俺のツッコミって毎回聞こえてるの?
メルが最後に言ったやつは無いにしても…
「ありがとうなっ、メル!お前のおかげで謎が解けたよ」
俺は、素直に礼を言うことにした。
「そ、そう、よかった。なんなら私が使い魔になってあげてもいいんだけどにゃ」
却下っ! てか、いつからネコキャラになった!
ケインズ邸に戻った俺は、早速内容を報告した。何か知ってないか聞く意味もあったからだ。
「まずは、無事に帰って来れて良かったよ」ケインズは少し目を潤ませていた。
えっ、そんなに危険だったのか!
「いや、特に怒られるような事はなかったよ」
「わたしは、なんとか家に帰って、10日間寝込んだけどな……」
ケインズは遠い目をした後にブルっと震えた。
何があったんだろう。完全死にかけてるよね、それって
「黒い使い魔のことなんだけどケインズは、何か知ってるかな」
「アレスの名前は、知っているけど黒い使い魔の事はわからないなあ、古い文献でも……あっ」
ケインズは、何か思いついたのか小さく叫んだ。
「どうしたの、ケインズ?」
「文献だよ、昔の文献を探せばいいんだよ。」
「文献なんてどうやって…」
「あるんだよ、カイザルには古文図書館がね」
ケインズは、いつも何かのヒントをくれる。あまり自分では教えてくれないけど……
俺とヒナは、商店街のカフェでランチを食べていた。
今回は、妹回になると決めていたからだ。そう妹の妹による、妹のための回だ。
「そう、いもうと、いもうと言われるとわたしも恥ずかしいから……」
あれっ、何かおかしい!俺の心の声きこえてるの?
俺は、先日のミレシアとの一件をヒナに説明した。もちろん、余計な部分をカットして……
「お兄ちゃん、それってすごい事だよね。わたしがなろうか"使い魔"」
お前らどんだけ使い魔に憧れてるんだよ!
ヒナもメルもそういってくれるのはありがたいのだが。
「やれやれ、いちいち言うことが可愛いな」メルの言葉を借りてみた。
「そ、そんな事ないっ……よ」
あれっ、これってありなのか!
妹がもじもじやり出したので本題に進む事にした。
「ヒナ、付き合ってほしいんだ」
「えっ、なななな」
「図書館に……」
「まぎらわしいよ!お兄ちゃんは!」
"グーパンされた"
ヒナは、図書館まで不機嫌だったのだ。俺のせいだけど
ともかく俺たち"プンプン"と"トホホ"は、ここ古文図書館にやってきたのだった。




