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第12話『魔法使いと魔王さま』

 朝、俺はコツコツという音で目を覚ました。

「何だ、コツコツってカルシウムなら足りてるよ」

 寝ぼけながら窓のカーテンを開けるとハトがくちばしで窓ガラスを叩いていた。

「何でハトが……」

 よく見ると足になんか付いている。窓を開けてやるとハトは中に飛び込んで来た。伝書バトか?


 俺がハトの足に付いている小さなケースを開けるとやはり手紙が入っていた。

 どうやらメルかららしい。


 手紙を取るとハトは、また窓から飛び立って行った。利口な奴だ。

 内容は、こうだった。


 タケルへ

 おばあさんにタケルの魔法の

 ことを相談したら連れて来なさいと言われたよ。

 今度来る時、一緒に行こうよ。


 あなたのメルより


「おおっ、これで魔力"ゼロ"の件、なんか分かるかもしれないな。」

 あなたのメルと言うのがよくわからんが……


 俺は、ケインズに手紙を見せた。

「なるほど、で、どうするんだ」

「どうするって、何が?」

「あなたのメルって書いてあるが」

 そこかよ!そこじゃないから!


「いや、じゃなくて行って来てもいいかな。結構時間かかるかも知れないから」


「別に構わないよ、店は大丈夫だから。ただ、あの人が連れて来いなんて珍しいな」


「ケインズは、知ってるの」


「ああ、あるよ昔ね。だってわたしの家内の母親だからね、大魔法使いミレシアは」


「大魔法使い⁉︎」


「そうだよ、なんせ唯一魔王と不可侵協定を結んだ人間だからね」


 ケインズの言葉に俺は驚いた。

 だとするとミレシアは、魔王に匹敵する力を持っていた事になる。


「底が知れないからねあの人は、ただあまり他の物事に対して関心無かったと思ったんだけどなぁ。まあ、怒らせなければ大丈夫だよ」とケインズは笑っていた。


 前回の事もありケインズに了解を取っておきたかった俺は、心置き無く出発する事にした。

 ただ最後の言葉が少し気にはなったが……


「こんにちは、メルっ……」

 言い終わらない内にドアが開いた。

 俺は、早速メルの家を訪ねたのだった。

「説明しなさい、タケル!」

 何だかメルは凄く怒っていた。

 俺なんかやらかしたかな?


「どうした何の事だよ、メル」

 俺には思い当たる節がない。


「ピコックの件だよ、リンカと二人で行った」

 ああ、アレの事か!どうやらメルは仲間ハズレにされたと思ったらしい。しかし、情報早いな


「ほんとはグレムリンを狩りに行ったんだけどな。早くメルに喜んで貰いたくてさ」


「えっ、どう言う事?」メルは、怒っていたのを忘れて不思議そうに聞いた。


「メルは、この前俺のレベルが上がった時、凄く喜んでくれただろ。だから内緒でレベルを上げて驚かすつもりだったんだよ、バレちゃったのは、残念だけど……」


 我ながらちょっとしらじらしかったかな。ダメならあやまるか


「そ、そうだったんた。あたしはまたメンドくさいと思われて誘われ無かったんだと勝手に勘違いして……」

 まったくもって正解です、意外と鋭いなコイツ


「いや、正直ピコックに襲われた時、メルがいたらなぁと何度思った事か。いつの間にか甘えちゃってたんだな俺」


「な、何言ってるの!あたしに甘えちゃっていいんだよ。あたしは仲間なんだからね。」


「ありがとう、メル。今度は一緒に行こうな」


「うん、楽しみにしてるよ」

 とメルは凄く嬉しそうな顔をした。


 その顔を見て俺は少し心が痛くなった。いや、やましいことはひとつもないんですけどもね。


「あの手紙の事なんだけど」

 俺は本題に入った。

「ああ、おばあちゃんの件ね。詳しい話は、行ってからみたいだよ」


「大魔法使いだってケインズに聞いたよ」

「うん、昔は凄かったみたいだね。でも、怒らせなければ優しいよ」

 と、またまた気になることを言うメル。


 なんか嫌な予感しかしない。

 もう怒らせる流れにしかならないような……


 しょうがない、ここは腹をくくって行くしかない。だって俺は、世界を皆んなを救うと妹に約束したのだから


 覚悟を決めた俺は言った。

「メルっ、おばあさんのところに案内頼むよ」

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