ニート脱却か?!
小さい頃
俺はピアノが好きだった。
大好きだった両親が
それを知ってピアノをかってくれた。
小さな小さな頃の
大きな大きな思い出。
今でもピアノは弾く。
今でもピアノは好きだ。
でも―…
ガタンッ
「たっだいまー!!」
「…あの」
ここはお前ん家じゃない。
毎度毎度回想の邪魔しおって。
「あっれー?ピアノイス座ってーなにしてんの?」
「こっちのセリフですよ。まだ外明るいのに。」
「あー…」
翼が小さな茶色いカバンをさぐる。
なにかファイルから白い紙を俺に差し出す。
出してきたのは―…
「…履歴書?」
「そーっ面接!行ってきたの!!」
「それで…結果は…?」
にたぁ…
…なんだこの
憎らしいというか
なんとも言えない笑みは。
「おちた!」
いや
そんな嬉しそうにいうことじゃない。
なんで満面の笑みでそんなこというんだこいつ。
やっぱ変なやつだ。
関わらない方が身のためだ。
「おちた!!」
「わかりましたよ。なんでそんな嬉しそうに言うんですか…。」
「実はねー行く途中すっごく素敵なカフェを見つけたの!」
「はぁ…」
「そこで働きたくなっちゃったのよー♡」
なんだコイツ。
それでわざと落ちたとでもいうのか。
アホだ。
「で、そこバイト募集してるんですか?」
「えぇもちろん!そーたくんの分の履歴書とってきてあげたよ!」
…?!
なんつったコイツ
…俺のも?!
「いや…俺はバイトとかしなくても大丈……」
言い終わる前に履歴書を顔に押し付けられた。
「じゃーね☆」
また嵐を巻き起こして帰っていった。
アイツのあだ名は低気圧だな。きまり。
いやそんなこと考えてる場合じゃない。
俺は永遠にニートの設定なんだけど。
…貰っちゃったもんはしょうがねぇよなぁ…。
とりあえず俺は
履歴書に書いてあった店名をネットで調べ始めた―…