謎の少女
…俺は冷静になって考えた。
見間違いかもしれない。
ていうか見間違いだ。絶対。
1度ドアを閉めて[こすが]の文字を確認する。
俺の名字。
あっている。
ドアを開ける。
少女がいる。
ドアを閉めて名前を確認する。
明らかにおかしい。
もしかして幽霊とかか
座敷童子とか。
そういえばこのアパートはいわくつきだ。
だから駅近のくせにめちゃくちゃ安い。
しかも19時までなら楽器演奏おーけー。
こんな好条件で都心に2万5千の物件なんてここくらいだろ。
6畳1間でせまいけど。
うん
妖怪だ。決定
あれ
座敷童子ってどうやっておいだ…
「君誰?」
こっちのセリフだこの女め。
ドア半開きにして覗いてんじゃねぇ。
てか、座敷童子ってモノに触れられんの?
すーって消えてくんじゃないの?
「あの…座敷童子ってモノとかに触れるんですね」
そんなことよりもっと重要な事あっただろ俺。
何聞いてんだよ
「え?!君見えるの?!」
え。もしかしてほん…
「やっぱいるんだァ座敷童子って。ここってそう言う噂あるもんね!」
お前じゃねーのかよ。
「とにかく ここ俺の部屋なんで。」
やっと言えたよこのセリフ。
全くもう。
絶対俺の部屋だもん。
あの敷きっぱなしの布団、絶対俺の。
「え 私の部屋じゃないの?!」
なんでそうなるんだよ。
「だってこすがってあったもん」
「いやうん。俺の名前こすがですし。」
「私もこすがだもん!」
「…は?」
「だーかーら!私は木菅翼!19歳!」
自己紹介しろとは頼んでない。
なんだコイツ俺と同じ名字なんて
そんな偶然あるのか?
「今日からラントン桜102号室で一人暮らしデビューです!」
ラントン桜って言うのはこのアパート名。
ってか102号室って…確か…
「102は隣ですが。」
「あれ?そなの?」
…俺の平穏だった日々が
狂いだしそうになる気がした。