俺にとっての異世界の住人諸君へ
異世界、異世界転生、俺つええ、チート能力、なんだかよくわからないワードをタイトルに並べただけで沢山の人々が心惹かれる。
俺が住んでいるここは、そんなわけのわからん世界とは違う。「いんたーねっと」も「ぱそこん」もない、俺にとっての「現実的な」世界。
これこそまさに「君たち」が好き好んで使う「異世界」というやつなんだろうが、そもそもそれが空想や妄想の産物であろうと何であろうと、そこに住む人間からしたらそれは「世界」であり、生を受けた場所、「この世」なのだから「異世界」などという呼ばれ方をするのは、やはりいい気はしない。
つまりこの世界には「異世界」ではなく、ちゃんとした名前がある。歴史も、多分きっとある。俺にとっての世界はこの「スカイランド」ただ1つで、他には世界なんてないと思っている、いや思っていた?だろうか。
なんで冒頭からこんなメタフィクショナルな事ばかり話しているかというと、この文言自体が「メタフィクション」であるが、俺の、俺たちの世界が「フィクション」であることを気づかせた人間がいたからだ。
奴と出会わなければ、自分が作り物の世界の中で動く作り物の人間だということを知って絶望することも、俺にとっての「異世界」、「君たち」にとっての「現実世界」に向けて文章という形で俺と奴の冒険譚を書くこともなかっただろう。
ロクな思い出なんてほとんどない作り物の人生だったが。
作り物じゃない「君たち」にこうして「世界を超えて」メッセージを送ることで、この人生を終えられるなら、俺はそれで幸せなのかもしれない。
ジョン・カーター