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○○○ of the Dead

作者: sonora

                 ―――――――――――――――――――――


 いつからだ……俺達人類がこうなってしまったのは。

 ある研究者によると、史上最悪のこの事態は新型ウイルスによるものだという。それが真実か否か今となってはそんなことどうでもいい、重要なことは対抗策が無いということ。

 

 ここからの内容は知り合いの協力の元俺が独自に調べた結果、作成した奴等の行動だ。


 まず始めに、奴等は人間を喰う。

囲まれたら最悪だ、逃げ場なんて何処にもない。

 でも安心してくれ、直接人間を喰うなんてことはしない。奴等は分かっているんだ、そんなことをするよりも遥かに恐ろしい搾取するという方法を……

 知能なんて無いと思っていたがそんなことは無い、むしろ俺が思っている以上に賢い。

 腹が減ったら人間を脅すんだ。その悪魔のような声をあげて……

 こうなってしまったら奴等に生贄を捧げるしかない、注意がそっちに向いてる間に逃げろそれが唯一自分を救う方法なんだ。

 

 奴等は同じ食物を食べ続けない。だから用意するんだ。代わりの生贄を……機嫌を損ねないように。

 人間のようにグルメなのかって俺も気になったが、そんなこと考えるだけ無駄だった。だって奴等と俺は根本的に違うんだ。奴等に感染した人間共ならその価値観が分かるのかもしれないがな……

 

 最初にウイルスって言ったが、俺もその説には賛成だ。科学的なことなんて何一つ分からないが、奴等に出会って突然豹変した人間を何人も見てきた。

 だから俺は空気感染するんじゃないかって考えてる。もちろん奴等に触れてしまえばお終いなんてのはわざわざ言わなくてもわかるだろう。


 その豹変する人間ってのは奴らに向かって走るんだ。まるで戦地で狂った兵士のようにな。そして悪魔でも乗り移ったみたいな気味の悪い話し方になるんだ、。奴等の仲間になりたいのか時々声を真似たりすることもある。そうなったらもう駄目だ。例え友人でも家族でも救う手段は無い、いち早くその場を去るんだ。それが感染しない秘訣だ。


 俺の友達だった佐藤の話をしよう。

 佐藤と俺はこの異常な事態にいち早く気がついて情報を集めていたんだ。だけど佐藤はやられちまった……パソコンで調べごとをしていたのがまずかった。

 つい夢中になってた佐藤は気がつかなかったんだ。奴等が背後に迫っていることに……

 気がついたときにはもう遅かった。


 俺が遅れてそこに行った時には、佐藤の使っていたパソコンの画面に映る意味不明な言葉の羅列、それと奴等に襲われ変わり果てた姿の佐藤だったモノがあるだけだった。


 一応言っておくが逃げようとしても不可能だ。奴等は見ているんだ。扉の隙間から、草木の間から、ありえないような狭い所から……ずっとこっちの様子を……


 奴等と出会ったら一番気をつけなくちゃいけないのは腹と手だ。

 そこには何かがあると俺は見ている。

 俺の観察した結果、感染した人間は皆そこに向かっているように見えるんだ。理由も目的も分からないが、絶対に何かある。誰か奴等の隙を見てそこに何があるのか確かめてみてくれ。

俺がやれって? 悪いが生き残るには臆病なくらいがちょうどいいんだ。


 奴等を部屋に入れてはいけない、どんな手段を使ってでも防ぐんだ。

入れちまったら最後、その家に嘔吐を繰り返し感染を広め、廃墟になるまで内側から破壊する。簡単なバリケードなんて意味がない、佐藤は聖水が効果あるんじゃないかって玄関先に置いてたらしいが……気休め程度の効果だろうな。


 なるべく明るくしていたかったがそうもいかなくなってきた。

 今でも奴等は俺の家の前でうめき声あげ、扉を引っ掻く音を絶え間なく鳴らしている。

 頭がどうにかなりそうだ。食料も買い込んで部屋に引きこもっていたのだが、精神の方が持ちそうにない、楽しみの酒と薬が無くなったら俺ももう諦めるとするかな。

 


 地球上で感染していないのはもしかしたら俺だけなのかもしれない、だけどもしこれを読んでいる人間がまだいるのだとしたらどうか生き延びて欲しい。そして奴等から逃げるんだ、検討を祈る。

 

 最後に言っておこう、奴等の名前は


                 ―――――――――――――――――――――


 そこで文字は滲んでいる。

 机の上の倒れたウイスキーボトルがその原因であることは想像に容易いが、果たしてそれは事故で倒れたのか、奴等と呼ばれる生物が証拠を消す為に事故を装って倒したのかは知る由もない。









 20XX年世界は支配された。奴等――


 通称NEKO 


 人類のほとんどはNEKOの奴隷のような暮らしを始めた。

 その生物の食べ物を得る為に働き、その生物を崇め奉るようになった。

 人間の唯一の武器である頭脳も退行し、その生物に話しかける時には語尾に「でちゅね」と知能の欠片も感じられない。

 その生物の腹に顔をうずめ、足裏の匂いを嗅ぎ悦楽する様はもはや人と呼ぶにはあまりにも滑稽な姿である。

 生活権は奪われ、黒い衣類は全て着ることが適わなくなった。

 感染した人間の食料はNEKO‐MANNMAという。全ての資産をその生物に費やしてしまった為、穀物に大豆汁や干からびた魚を混ぜたそれを口にすることしか許されないのだ。

 本来その生物の食べ物とされていたものを人間が食べる事からもこの事態がどれほど恐ろしいのか分かるだろう。

 稀にその生物が捕獲した虫や鳥の死骸が人間に与えられる事がある。これらはその生物から人間に与えられた謂わば飴、それらをありがたく頂くのがこの時代に生きる人間の掟である。



 もはやNEKOに支配された我々人類が助かる術は



――ない。


文字数に微妙なこだわりをしました。


実在の小型哺乳類とは一切関係ありません。

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