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地の竜、空の虎  作者: 遠縄勝
序編
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第1話 竜の国3

 タギ地区の王国軍駐屯所は槍の広場の近く、王国の施設が集中する街区にある。駐屯所といっても強固に造られた石壁の門をくぐれば木造建ての質素な建物があるくらいである。


 島全体が王国の支配下であり、150年余り続く王国の歴史の中でも大きな反乱と呼べるものは起こったことがなかった。また、海には人を喰う魔物が住んでいると言われており海からの外敵の侵入もない。


 そんな平和な状況もあり王国軍の兵士といっても街の治安を維持するためのパトロール、巡回が主な仕事だった。それでも農業が主体産業であるハーク王国で毎日の飯が保障されている兵士は羨望の対象である。軍への入隊には体力と愛国心が必要とされ、3年に一度行われる試験を通った者のみが入隊を許される。しかし、安定した生活を送るために兵士を目指す者も多かった。


 4人が駐屯所の石壁の門をくぐると兵士たちが数人集まって談笑している姿が見えた。建物内に入ると今度は輪になって賭博をする兵士たちの姿が目に入った。4人はその横を抜けて建物内の一番奥の部屋にノックをして入る。


「失礼します。ファイア班巡回から戻ってきました、アイス隊長。」


 お疲れ様、と言いながら4人のほうを見る男は口にアイスキャンディーをくわえている。


 アイス・ミルトンはタギ地区王国軍駐屯所を束ねる男である。33歳という若さで武術に長けており王国軍の中でも将来を有望視されているが、それを鼻にかける様子も無く部下にも親切なので若い兵士に慕われていた。


「また共食いですか隊長。さすがに毎日食べすぎですよ。」


 シェンが冗談口調で弄ると、アイス隊長は「好きなものは仕方無い」とか「アイスキャンディーを食べると仕事がはかどる効果が得られるんだ」などと開き直りとも言い訳ともとれる切り返しをする。


 ファイアたちは2人のやり取りを「またか」という表情で眺める。最初はこのくだりにファイアたちも笑っていたが、それに気を良くしたシェンはアイス隊長がアイスキャンディーを食べるたびにこの弄りをするため他の者からすれば食傷気味である。


「もう行きますよ、シェンさん。では失礼します。」


 ミラがシェンを引っ張って部屋を出る。ファイアとパジェも一礼してこれに続いた。


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