公爵家の朝(2)
私は着替えを終えて、アンナに案内されて食堂へ行くとラリーさんがやって来てました。
「ステラ様おはようございます。
旦那様ももうそろそろいらっしゃいますので、ご一緒に朝食をとの事でございます」
「はい、わかりました。
公爵様は朝お早いのですね」
「そうですね、毎日必ず剣の稽古を欠かさない方ですからね」
「ジュリアン様は?」
「ジュリアン様はお昼頃までお部屋を出てこないと思いますが」
「あー成る程。なんと言うか想像通りの方ですね」
「はい、ご自分で自由な所が取り柄だと仰っておいでですので」
真面目な顔でラリーさんが言うからなんだかおかしくなり、
「ぷっ! ふふふ
ご、ごめんなさい。 はしたなかったわ」
「いえいえ、少しでもステラ様に楽しんで頂ければ幸いです」
ラリーさんったらまたまた真面目な顔でそんな事を言うユーモアのある方なのですね。
ラリーさんは侍従長、常にご主人のサン・ジュスト公爵様の側にいらっしゃる。
昨日も部屋の隅で待機しながら、しっかり私の身の上話しを聞いていたから、同情されているのかしら?
「ステラ様どうぞこちらへ、ただいまお茶をご用意いたします」
そう言って席に誘導してくれました。
お茶を飲んでいると、サン・ジュスト公爵様が食堂へ来られました。
「サン・ジュスト公爵様、おはようございます。素敵なお部屋をご用意頂きありがとうございました」
私は立ち上がり丁寧にお礼を言った。
「おはようステラ嬢 よく休めたかな」
「はい、久しぶりにぐっすり眠れました」
「その割には随分早起きだな」
「伯爵家にいる時はいつも使用人と同じ時間に起きていたので、体が覚えているみたいです。
でも、昨日は久しぶりに日が変わる前にベッドへ入れたので、いつもの倍位寝れました」
「なんだって? なぜそんなに寝るのが遅くて、起きるのが早いんだ?」
怪訝な顔をする公爵様。
私は婚約者の姉の世話をさせられたり、ドレスの整理などでいつも夜遅くまで働かされていた事、朝も使用人と一緒に朝仕事もさせられていた事を言いました。
公爵様は額に手をあてて、ため息を吐き出しています。
「全くあの伯爵家はどうなっているんだ。
ステラ嬢は仮にも当主の婚約者だというのに、使用人の様に扱うなどあり得ない。
君は子爵令嬢だろ? よく耐えられたな」
とサンジュスト公爵様が私を気遣ってくれています。
「そうですね。最初はさすがにビックリしました。
でも、反論は許さないって言われていたし、伯爵家と子爵家では違う。
子爵家のような下級貴族には分からないでしょ? って言われると言い返せなくて」
本当は子爵家の家の方が余裕のある生活してたんですけどね。
使用人も3倍近くいたし、邸で使っているシーツやタオル、食器類に至るまで上等な物を使っていました。
だから、ダートン伯爵家の使用人のお仕着せなんかもあまりにも安物でビックリしたことを覚えています。
さすがに私にも同じ物を着せて、外の人間に見られるのはバツが悪いからでしょう。
少しましなの紺のワンピースを渡されました。
そんな事をつらつらと思い出しました。
「成る程な、ひどい環境でどんどん自尊心を傷付け絶対服従させようとしていたようだな。
一昔前の兵士に使っていた洗脳方法ににているな」
公爵様は難しい顔で言います。
「洗脳ですか… そうですね。
あのままずっとあの邸にいたら、本当にそうなっていたかもしれませんね。
体罰はさすがになかったですけど、いつも3人に囲まれて、嫌味や罵倒はされていましたから、精神的には疲れましたね。
もし使用人達まで私を敵視していたら、辛かったと思います。
あの邸で運が良かったのは侍女や厨房の調理人達が皆私に同情して、仲間の様に接してくれた事なんです」
そう、皆に挨拶も出来なかった。
せめて最後に皆にお礼がしたかったな。
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