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第5話 家同じなんだし一緒に帰ろうぜ



「どこいった、あいつ……」


 俺は居酒屋を出るとすぐにアゲハ探し始めた。

 あーもったいねー、せっかく琴葉と飲みいけたのに、まさかGPSで追ってくるとはアゲハのやつ。

 とりあえず今後1週間は、あいつの嫌いなそら豆メニューで決定だな。

 

「えーん、泰平のばかぁ」


 ん?なんかわりとすぐ近くから、アゲハの声がする。

 しかも後ろから……。


「って、お前後ろにいたのかよ」


 声のする方へ振り向くと、後ろに子供みたいに泣くアゲハがいた。


「ひっく、悲しくて歩けないから居酒屋の前で泣いてたの、そしたら泰平が店から出てきたからついてきたの」

「そ、そうだったのか」


 なんだよてっきり、遠くに行ったのかと思って焦ったのがバカみたいじゃないか。

 まぁでも探す手間が省けてよかったか。

 そうしてそのまま俺はアゲハを宥めながら居酒屋から離れ、俺とアゲハの住む家の近くにある公園へと向かった。


「ひっく、ねぇあの女マジなんなのぉ、言いたい放題言ってさ、それに泰平とは一体どんな関係なの」

「あー、琴葉は昔の幼馴染なんだ」

「幼馴染!うそだ、私だけだよ泰平の幼馴染は」

「いやいたんだよ、ちょうどお前と会う前に離れ離れになっちゃたけど……」


 そうアゲハと出逢ったのは、琴葉が引っ越してすぐのことだった。

 小4の頃俺は、琴葉が引っ越してなんか心にぽっかり穴が空いたみたいでなんにも興味が持てないでいた。

 そこにアゲハが現れ、一緒に遊んでくれた。

 お互い気が合うからか普通に楽しかった、そして気づいたら心の穴も埋まっていた。


「なにそれ、そんなの聞いてないよ、それにたいちゃんっても呼んでたし……」

「まぁ、琴葉からすれば小4で止まってるんだし、呼び名くらいは仕方ないだろ」

「……私も呼ぶ」

「は?」

「私もたいちゃんって呼ぶ!」

「はぁ?」


 何にムカついたのかはわからないが、アゲハは急に泣き止みそう言った。


「いやいやいいだろ泰平で」

「やだ、あの女に負けたみたいになるし」


 そう言うとアゲハはふーんと効果音を出してそっぽを向いた。

 アゲハさん、ふーんとか言わないでよまったく恥ずいよ大学生にもなってさ。

 女の子がやるから可愛いってなるだけで、男がやったらドン引きするでしょうに、まったく。


「負けたとかそんな何言ってんだよ、負けてもいいだろ別にそんなの」

「やだよ、だって泰平には私がいるんだから他の女は来ないでほしい」

「何が来ないでほしいだ、まったく」


 そんな風に話しながら歩いていると、気づけば公園についていた。

 時刻は夜7時、まだゲーセンでもカラオケでも余裕でやってる時間である。

 このまま家に帰ってもやることは、家の家事とアゲハの世話くらいしかないし、あと1、2時間くらい外で時間潰してくるか。

 そう思った俺は、公園の前で歩くのをやめまた街の方へと向かうため体を家への帰り道とは逆の方へ向けた。


「悪りぃアゲハさき帰っててくれ、俺は寄り道するからさ」

「はぁ、何言ってんの?家同じなんだし帰ろうぜ、たいちゃん!」


 そう言うとアゲハはガバッと俺に抱きついてきた。


「おい!やめろよ」

「やめないよー、浮気の罰として今日は私とゲームしなさい」

「何が浮気だよ、付き合ってもないのに」

「あーそんなこと言うんだ、じゃあもうスマブラで手加減してやんないから」

「いや、手加減はしてくれよ」


 気がつくと俺の身体は家への帰路へと向き直っており、アゲハも笑っていた。

 まったく、こいつには敵わないな。

 余談だが、アゲハは格ゲーやスマブラでがマジで上手い。

 そのため、手加減してくれないとゲームにならないのである。

 

 

 



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