3話 敵対する居候
「な、なんだよ、GPSって」
こんな事するのはおそらく……というか100%アゲハの仕業だろうが、なるほどなだからあいつ、俺が帰るといつも家にいるのか。
「ねね、大丈夫?」
俺がGPSを見つめてワナワナしていると、俯く俺の顔を琴葉が覗き込んできた。
「お、おう大丈夫だ、ただちょっと緊急事態かもだ」
「う、うんそうだよね緊急事態だよね、てかもしかさて彼女とかいる?」
GPSや俺達の後を追うように来店した人物を怪しんだのか、琴葉は心配そうにそう訊いてきた。
「いやいやいないよ、本当に」
「そう、ならいいんだけど……」
いないとは答えたが、琴葉はまだ疑ってるのかじーっと俺の方を見てきた。
あーまずい、絶対納得言ってないよ。
でもなぁ、同居してる女の子がいるとか勘違いされるよなぁ……。
「すみませんお客様、一度受付までいらして頂いてもよろしいでしょうか」
「え、ああ、そうですね」
「すみません、知り合いの方でなければ警察を呼びますので」
「……はい」
店にこのまま迷惑をかけ続けるのはよくないので、とりあえず受付に行くことにした。
あ、ちなみに店員さん知り合いでも警察呼んでいいんで、もう呼んじゃっていいですよ。
「あ、私もいくよ」
俺と店員さんが受付に行こうとすると、琴葉もついていくと言ってきた。
いやいやそれはまずいだろ、絶対キレるじゃんアゲハ、それと色々勘違いされるじゃん俺。
ダブルでまずいのに行かせられるわけない、ここは丁重にお断りムーブしないと。
「え、いいよ琴葉はここで待ってて、多分知らない不審者だと思うし、ちょっと行って警察呼んでくるよ」
「やだ私もいく、そんな不審者まず危ないし、あとなんかたいちゃんあやしい」
そう言うと琴葉ぴたっと俺にくっつき、訝しげにこちらを見てきた。
おいおい可愛いすぎるだろ、てかなんでくっついてくるんだよ。
これはもうフラグじゃないだろうか、いやフラグでしょう。
でもまずいぞ、これじゃ今後の進展とかもあるし断れない、とりあえずついてきてもらって事情を説明するか。
まぁアゲハと俺はただの幼馴染でやましい事は何もない事だし……。
「あー!五反田くん、もうひどいよー置いていくなんて!」
「……やっぱお前かよ」
受付に行くとおもいっきしアゲハがいた。
しかも家にいる時のニートモードではなく、ちゃんと外行き用のおしゃれ全開モードにしてやがる。
俺の場合、家でのダメダメな姿を知っているため全然恋愛対象外だが、客観的に見てアゲハは美人だ。
身長は少し低めで目が大きく、髪は短め、スタイルも細すぎず、太すぎずでちょうどいいと思う。
あと何より性格が人懐っこく、誰とでもすぐ仲良くなれる。
そのため高校時代、アゲハの事を好きな奴から相談された事が数えきれないほどある。
まぁ要するにモテるのだ、俺と違って……。
「お客様お知り合いでしたか?」
「え、まぁ、はい」
俺とアゲハが知り合いだったのを確認すると、店員さんはホッとしたのか、嬉しそうにペコっとしてどこかへ行った。
いや行くなよ……。
琴葉はというと、ちゃんと俺の背中にピタッとくっつき、俺の背後から覗き込む感じでアゲハを見ていた。
「うっわ何その反応傷つくんだけど、てか五反田くんその後ろであなたにくっついてる女、誰?」
アゲハも俺の後ろの琴葉に気がつき、こちらをギロッと睨みながらそう言ってきた。
「お、おう……」
「おうって、何がおうなのかな、ちゃんと日本語喋ろうよ、五反田くん」
こわい、こわいよぉ。
普段はこっちが怒る立場なのになんでこんなにやりづらいんだ。
助けて、助けてよ店員さん。
「あのちょっといいかな」
「あ、あなた話せたんだー、てっきり後ろに隠れてるだけかと思ったよ」
「はは、それはないかな、私も言いたい事あるし、というかそもそもあなた本当に呼ばれてるの?呼ばれてないなら帰ってほしいかな」
「は?」
こ、怖え、女同士のやり合いマジ怖い。
アゲハは攻撃的な性格してるからまだわかるけど、琴葉も結構言うんだな。
てか間に俺を挟まないでほしい……。




